• 配信日:2026.09.03
  • 更新日:2026.09.04

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AIOとは?生成AIに選ばれる製造業の技術広報戦略|AI認識率90%の実証データ

この記事は、リンカーズ株式会社が主催したWebセミナー『生成AIに選ばれる次世代の技術広報戦略 〜自社の強みをAIに正しく認知させ、新たなビジネスチャンスを掴む方法〜』(2026年7月2日開催)のお話を編集したものです。

株式会社スペックホルダー 代表取締役/リンカーズ株式会社 顧問の大野 泰敬(おおの やすのり)氏が、約1年におよぶ自社オウンドメディアでの実証実験をもとに、AIO(AI Optimization/生成AI最適化)の実態を解説。SEO対策を一切行わない無料テンプレートのサイトでも、コンテンツの質だけで大手メディアを上回り、AI認識率90%超・投稿から約6時間でAIに認識されるという検証結果を、具体的な数字とともに紹介しています。

技術・特許・研究データという「エビデンス」を持つ製造業こそがAIO時代の主役になる——技術広報・研究開発広報・マーケティングのご担当者に向けた実践的な内容です。AIOはGEO(生成エンジン最適化)、LLMO、AEOとも呼ばれる領域で、従来のSEO対策の延長だけでは対応しきれない論点を含みます。

※本記事は、当日の講演内容を書き起こし、読みやすいように編集した書き起こし記事です。

※本記事の内容は2026年6月時点の検証・調査に基づいています。生成AIの仕様は頻繁に更新されるため、記事内の数値や仕様は現在と異なっている可能性があります。

目次
● AIの普及で「検索」はどう変わったのか|3人に1人がGoogleを使っていない
● なぜB2B・製造業にAIO対策が必要なのか|購買担当者94%がAIで一次リサーチ
● AIOとは何か?AI Overview(AIによる概要)で7割が満足して離脱する
● 【用語整理】AIO・GEO・LLMO・AEO・SGEの違い|生成AI時代のSEO用語
● 「SEOをやれば大丈夫」は本当か|Gemini・ChatGPT・Perplexityに聞いた答え
● 【実証データ】AIO実験の結果|6時間で認識、認識率90%、1記事20万MAU
 ○ 事例1:大手新聞社を超えた「経済効果」記事
 ○ 事例2:企業の自社発信より上位に表示されるケース
● AIに選ばれるコンテンツの条件は「数字」と「エビデンス」
 ○ キャッチコピー・曖昧な表現はAIにスルーされる
 ○ 強度が売りの素材は「試験条件」まで書く
 ○ AIは「なぜ?」を繰り返す赤ちゃんのような存在
● 製造業がAIOで有利になる理由|特許・論文・研究データという武器
● AIOの成果は「広報」だけでなく「採用」「営業」にも波及する
● コンテンツが9割、それでも構造改革が必要な理由
 ○ AIクローラーの許可設定と構造化データ
 ○ リンカーズによる無償のAIO診断
● 【実践】製造業の技術広報が明日から着手できるAIO施策8つ
● 【Q&A】セミナー参加者からの質問と回答
● まとめ:エビデンスを持つ企業こそ、AIO時代の主役になる
● 講演者紹介
● オープンイノベーションを支援するリンカーズのサービス

AIの普及で「検索」はどう変わったのか|3人に1人がGoogleを使っていない


生成AIの登場によって、情報を「調べる」という行為そのものが変わりました。買い物で迷ったらAIに聞く、仕事の進め方をAIに相談する。コンシューマーの世界だけでなく、ビジネスの現場でも同じ変化が起きています。

セミナーで大野氏が示したデータは、その変化の速さを物語っています。

  • 3人に1人は、すでにGoogleを使っていない
  • ・ChatGPTの利用率は66%。Googleの利用率69%にほぼ並んだ
  • ・「最初の検索窓口」としてAIを使う消費者の割合は37%
  • ・ChatGPTの世界アクティブユーザー数は9億人を突破。わずか1年で2倍
  • ・1日あたりのクエリ数は25億件を突破

「私はこれまで数多くのサービスや事業に関わってきましたが、これほど短期間でユーザー数が一気に増え、一気に広がっていったサービスは、この30年見たことがありません」(大野氏)

この変化が意味するのは、ランディングページやオウンドメディアを用意して告知しても、そのページに来る人自体が減っていくということです。ユーザーはWebサイトに移動せず、AIに直接尋ねるようになっています。

そして、この流れは今後さらに加速します。Google自身が「検索してください」ではなく「AIに聞いてください」というマーケティングに切り替え始めているからです。有名タレントを起用したCMでは、旅行の相談をAIに投げ、検索結果ではなくAIが提案する——という体験が描かれています。

実際に、Webサイトへのアクセス減少に直面している企業は73%。日本国内のメディア関係者に聞くと、PVが半分以上減少したメディアサイトも出てきています。広告を出し、SEOをしっかりやっていればモノが届けられた時代は、急速に終わろうとしています。

なぜB2B・製造業にAIO対策が必要なのか|購買担当者94%がAIで一次リサーチ


「AIなんて結局B2Bの世界には関係ないのではないか」「あれはコンシューマーの話でしょう」という声は少なくありません。しかし、セミナーで示された数字はその認識を覆します。

  • B2Bの購買担当者の94%が、まずAIで質問・リサーチを行い、一次回答を得ている
  • ・実際に契約・購買に至ったケースのうち95%が、最初にAIが作成したリストの中から決定している

素材や部品を調達するとき、「どこがいいのか」という一次選定にAIを活用する。これはすでに多くの担当者が実感していることでしょう。つまり、AIが最初に提示するリストに自社が入っていなければ、検討のテーブルにすら乗らないという構造が生まれています。サプライヤー選定やパートナー探索の入口が、検索エンジンからAIへ移りつつあるということです。

さらに深刻な問題があります。AIには「読めるデータ」と「読めないデータ」があるということです。

セミナーで紹介された調査では、AIが読み取れない形式になっているWebサイト・企業データの割合は約8割にのぼるとされています。大野氏自身は「80%は言いすぎかもしれませんが、半分以上の企業はまだ対応が追いついていない」と補足しつつ、こう指摘します。

「かなりの数の企業が、自社の持っている良さを可視化できていません。それをAIに読み込ませるためのやり方ができていない企業が、本当に多いのです」

しかも、最も良いデータ——その会社の本当の強み——ほど、AIが読めない形式(PDF、画像、カタログなど)に埋もれているケースが目立ちます。対応しなければ、AIの世界では「存在していないに等しい」状態になってしまいます。

そしてこれは、販売・調達だけの話ではありません。開発パートナー探索から採用に至るまで、あらゆる領域でAIが介在するようになっています。

AIOとは何か?AI Overview(AIによる概要)で7割が満足して離脱する


AIO(AI Optimization)とは、生成AIに自社の情報を正しく認識させ、AIの回答に引用・推薦されるようにする施策のことです。従来のSEO(検索エンジン最適化)が「検索結果ページで上位に表示されること」を目的としていたのに対し、AIOは「AIの回答そのものに載ること」を目的とします。

その最前線が、Googleの検索結果の最上部に表示されるAI Overview(AIによる概要)です。

ここに表示された概要を読んだ人のうち、6〜7割はその場で満足してしまい、サイトに移動しません。レポートのようにまとめてくれるため、調べる側にとっては非常に分かりやすい。一方でコンテンツを提供する側からすると、自分たちのサイトに来ていないにもかかわらず情報だけが使われるという状態になります。

「AI Overviewの性能はどんどん上がっています。今後さらに加速するでしょう。そうなると、KPIの立て方そのものも大きく変わってくるはずです」(大野氏)

AI Overviewに出てこなければ、そもそもサイトに移動されず、認知もされない。 かつてのように広告を出してブーストをかけ、PVや応募者を増やすという手法も効きにくくなっています。

【用語整理】AIO・GEO・LLMO・AEO・SGEの違い|生成AI時代のSEO用語


※本セミナーでは「AIO」という呼称で解説されましたが、同じ領域を指す言葉が複数流通しているため、ここで編集部により整理します。

生成AIに向けた最適化を指す言葉は、まだ呼称が定まっていません。情報収集の際にも複数の言葉が使われるため、主要な用語を押さえておくと調べやすくなります。

AIO・GEO・LLMO・AEO・SGEの用語比較表:AIOはAI Optimization、GEOはGenerative Engine Optimization、LLMOはLLM Optimization、AEOはAnswer Engine Optimization、SGEはSearch Generative Experienceの略。いずれも生成AIに自社情報を認識・引用させるための最適化を指す

あわせて押さえておきたいのが、次の3つのキーワードです。

  • ゼロクリック検索:検索したユーザーがどのサイトもクリックせずに離脱する状態。AI Overviewの普及によって急増しており、前述の「アクセス減少に直面している企業73%」の直接的な原因です
  • サイテーション(引用獲得):AIの回答内で自社名・自社サイトが引用元として示されること。AIO時代は検索順位よりも、この被引用が実質的なKPIになります
  • 一次情報:他のどこにも書かれていない、自社しか持っていない情報。製造業における試験データ・特許・論文がこれに当たり、AIOで最も強い武器になります

呼称は違っても、施策の中身は共通しています。AI検索最適化の本質は、数字と根拠を備えた一次情報をテキストで公開することに集約されます。

「SEOをやれば大丈夫」は本当か|Gemini・ChatGPT・Perplexityに聞いた答え


「AIO対策なんて、SEOをちゃんとやれば大丈夫」——Google公式もそう説明しています。確かにGoogleはそう言っています。しかし、それを全部鵜呑みにすると、方向を誤ります。

大野氏は実際に各AIに同じ問いを投げ、回答を比較しました。

Gemini(Google)の回答

「Googleが言っていることは事実で、AI Overviewに掲載されるための特別なコードや専用ファイルは不要と明記しています。ただし、これを間に受けて従来のSEO記事を量産すればいいと解釈すると100%失敗します。なぜならGoogleが言う『SEOを強化する』のSEOの定義自体が、AIの登場によって次元が変わってしまっているからです。

ChatGPT(OpenAI)の回答

Googleの言うことだけをやれば十分か——いいえ、それだけでは不十分。そして決定的に重要なのが独自の経験データ(E-E-A-T)であるという指摘です。

Perplexityの回答

「何も変えなくていいというだけではなく、従来通りのSEOさえやればいいコンテンツになるわけではありません。AI専用の特殊テクニックを追いかけるより、コンテンツの本質的な品質向上に集中すべきが正しい解釈です」

3社の回答が一致して指し示しているのは、ただ一点。コンテンツの質です。

「Googleが言っている『同じ施策でいい』というのは、ものすごく高い次元のことを指しています。我々がこれまで見てきた景色よりも、はるかに高い水準が求められているということです」(大野氏)

そして、独自の経験データ・技術・特許・研究といった要素が決定的に重要になるということは、技術を持つ企業にとって圧倒的なチャンスを意味します。

「『うちの会社はマーケティングが下手だな。こんなにいいものがあるのに、なぜあの会社のほうがマーケティングがうまいんだ』と悔しい思いをされてきた方も多いと思います。安心してください。これからは皆さんの時代です。日本のモノづくり企業にとって、非常に大きなチャンスです」(大野氏)

さらに、AIが自動翻訳を行うため、日本語のコンテンツでも全世界に向けて情報を届けやすくなっているという点も見逃せません(英語コンテンツがあればなお良し、とのことです)。

【実証データ】AIO実験の結果|6時間で認識、認識率90%、1記事20万MAU


ここまでの主張は、感情論や推論ではありません。約1年間の実証実験に基づくデータです。

きっかけは約1年前、テレビCMでも見るような大手企業から「AIOについて調査してもらえないか」という相談を受けたことでした。調べてみて分かったのは、「誰も正解がよく分からない」「評論家の意見を超えていない」という現実。そこで大野氏は、自らオウンドメディアを立ち上げます。

実験の設計は、あえて過激なものでした。

  • SEOの構成やセオリーを完全に無視
  • ・サイトは、配布されている無料テンプレートをそのまま使用(改造も一切なし)
  • ・被リンク数はほぼ0、知名度もほぼ0、広告費は一切ゼロ、初期PVもほとんどなし
  • ・磨いたのはコンテンツの中身だけ

良い写真を撮る、SEOにこだわる、見出しの回し方を変える、多くの人にインタビューする——さまざまな施策を試したうえで、最終的に「AIに特化した文章構成だけで勝負する」という形に絞り込みました。

結果は、従来のWebマーケティングの常識を覆すものでした。

従来のSEO/オウンドメディアと今回のAIO実験結果の比較表:認識までの時間は従来数週間〜半年・1年に対し今回はコンテンツ公開から約6時間でAIが認識。大手メディアとの比較では9割以上の確率で超大手メディアに勝利。AI認識率は自社メディアで90%超、他社への横展開で70%超。1記事あたり約20万MAU(広告費ゼロ)

「これは、これまでのSEOでは絶対にありえなかったことです。従来はPVや被リンク数などの影響で、新しくポッと書いた人が上位に来ることはあり得なかった。それがたった6時間で、大手メディアと同等もしくはそれ以上の成果が出せるようになった。これは広報にとって、これまでの戦略が大きく変わる事態——というよりチャンスです」(大野氏)

事例1:大手新聞社を超えた「経済効果」記事

「鬼滅の刃 経済効果」と検索すると、AI Overviewに表示される文章のほぼ全てが、大野氏の書いた記事から引用されている状態になりました。日経新聞、産経新聞など複数の大手メディアが同じテーマの記事を書いているにもかかわらず、自社メディア(スペックニュース)が上位に表示されます。

なぜこうなったのか。理由は明確です。

大手新聞社は「経済効果1兆円」「経済効果2,000億円」と書きますが、誰が言っているのか、根拠は何かが書かれていません。 新聞は紙面の文字数に制限があるため、書ける分量が限られるという事情もあります。

一方、大野氏の記事には5,032億円という算出結果に対して、どこからデータを引っ張ってきたのか、どういう方程式・計算方式でどう算出したのか、その考え方が全て文章の中に入っている。

「AIからすると、大手新聞社の記事は『よく分からないけれど経済新聞が言っているから本当に1兆円なのか?』となる。一方こちらは『なるほど、こうやって計算しているのね』と分かる。だからAIは、スペックニュースのほうが正しいと判断しやすいのです」(大野氏)

もう一つの例として、航空会社のサービス品質に関する記事があります。大手経済メディアが「遅延で不満が高まっている」「解約と言ってサービスを変えたのでネットがざわついている」と曖昧に表現するのに対し、大野氏の記事では以下のように数値化しました。

  • ・不満を持つ人が、この数年で何%増えたのか
  • ・検索数が5倍に増加
  • ・検索キーワードの内訳変化:当初は「ラウンジの利用」に関する問い合わせが多かったが、その後「解約」というキーワードが全体の90%を占めるように変化
  • ・遅延についても有価証券報告書のデータを参照し、何年で何%増えたのか、なぜなのかを数値とロジックで解説

同じテーマでも、「数学的な表現」ができているかどうかで結果が変わる。 これがAIOの本質です。

事例2:企業の自社発信より上位に表示されるケース

さらに驚くべき結果も出ています。

  • ・ソフトバンクが出資して話題になっている技術系企業について調べると、その企業自身の発信よりも大野氏のサイトが表示される
  • ・大手飲料メーカーの自販機アプリ戦略について調べると、そのメーカーの公式コンテンツと同等レベルに表示される(しかも情報量はこちらのほうが多い)
  • ・航空機の遅延に関する検索でも、各新聞や航空会社の公式見解と並んで表示される

「私はメディアの仕事をしてきたのでよく分かりますが、これは今まででは絶対にありえなかったことです」(大野氏)

現在、大野氏は自社メディアで約50本の記事を執筆。加えて、技術・研究を持つ複数の企業からの依頼を受け、オウンドメディアの運用を支援しています。その経験から言えることは明快です。

「技術を持っている企業だからこそ、しっかりやればかなり高い確率で表示される傾向があります。昔は本当にお金を払わなければできなかったことが、今は簡単にできるようになっている」

AIに選ばれるコンテンツの条件は「数字」と「エビデンス」


では、具体的に何が大事なのか。答えは一つです。

エビデンス。もっと言えば「数字」です。徹底した深掘りと、数字と、エビデンス。

かつてのSEOでは、キーワードプランナーを使ってキーワードを選び、そのキーワードを本文にいくつ散りばめるかが重視されました。しかし、AIOで重要なのはキーワードの数ではありません。

キャッチコピー・曖昧な表現はAIにスルーされる

AIは、キャッチコピーや誇張表現、曖昧な表現をスルーします。

「これをやることで綺麗になります」「これは丈夫です」——AIには「どうしてそうなのか」が分かりません。「なぜそれが高品質と言えるのか?」に対して「なぜならこうだから」と数字で答えられるか。 それを特許・論文・各種エビデンスに基づいて示せるかどうかが決定的に重要になります。

強度が売りの素材は「試験条件」まで書く

例えば、強度が売りの素材——スマートフォン向けの保護フィルムなどを考えてみましょう。規格名を書くだけでは、もう不十分です。「その規格だから何なのか?」とAIは思ってしまいます。

書くべきなのは、こういう情報です。

  • ・どういう素材で、どのように荷重をかけたのか
  • ・何回テストしたのか
  • ・どういう環境で、どういう振動を与えたのか
  • ・寿命の年数、耐久回数
  • ・性能低下の許容範囲
  • ・静的試験と動的試験の結果はそれぞれどうだったのか

技術系企業であれば、研究の過程でこの手のデータをすでに膨大に取っているはずです。

「これまでは、はっきり言ってこういうデータは出せませんでした。広報部に持っていけば『分かりづらいです』、マーケティング部に持っていけば『一般の方に読ませるには難しいです』と言われてしまう。でも今は、これが大事なんです。」(大野氏)

こうした情報を文章の中に入れておくと、AIが自動的に拾ってくれます。そして他製品と比較したときに「この条件でこれだけ試験をしているのか。ではこちらのほうが丈夫だな」と判断してくれるのです。

さらに、「強度」を探している側も、求めている強度の種類は人によって違います。使用環境が違うからです。AIは使い手の文脈に合わせて、その情報を自動的に翻訳して提示してくれます。

好例として挙げられたのが、パソコンの検索です。「寒い環境で使えるパソコン」と検索すると複数のメーカーが出てきますが、そこから「雪山登山で使いたい。落下に強く、バッテリー容量もあって、軽いもの」と条件を足していくと——表示されるのは、あるメーカーの製品だけになります。

理由は、その企業だけが「-20℃から60℃まで対応」「何十cmから何回落下させたか」といった条件まで、すべてWeb上に書いているからです。

「さっきまでいろんな企業が出てきたのに、条件を絞り込むと1社しか出てこなくなる。まずはここに出てくることが大事なので、そのための文字情報・内容をしっかり用意していくことが非常に重要になります」(大野氏)

AIは「なぜ?」を繰り返す赤ちゃんのような存在

「AIは本当に赤ちゃんみたいな感じで、『どうして、どうして、どうして』と聞いてくるんですよね」

なぜ経済効果1兆円なのか。その内訳は何なのか。どうやって計算したのか。どうやって算出するのか。どうやってデータを収集したのか。本当にそれで全部足りているのか。——AIはこれを延々と聞いてきます。それに対して答えられる、判断できる材料を用意しておけば、確実に表示されます。

ここで、日本の製造業にとって重要な論点があります。海外製品と価格で比較されて苦しんできた企業は多いはずですが、安いには理由があります。 ある食品関係の品質調査を分析すると、日本企業は一見スピードが遅そうに見えても、その裏で人による実証実験を重ね、本当に安全なのか、機能が出るのかを、エビデンスを積み上げてようやく世に出しています。一方、海外のパターンでは動物実験だけで人での試験を行っていないケースもある。ブランドは良く見せ、出すスピードも速く、価格も崩れているが、安全性の裏付けは弱い——。

その差が、これまでは表に出せなかった。伝わらなかった。表現できなかった。

特許情報も、論文情報も、研究情報も、これまではプレスリリースに入れることが難しかった。しかし可視化するだけであれば十分に可能です。そしてそれをやるだけで、AIに認識される確率は確実に上がります。

「これまでは、人に読んでもらうために文字量を少なくし、分かりやすい表現にすることが中心でした。これからは、AIに覚えてもらうためのコンテンツを作るという考え方が大事です。AIが『これは正しいのか』『これは信憑性があるのか』を判断できる材料を、Web上・対外的に発信する情報の中に用意していくということです」(大野氏)

なお、「そんな難しい記事は誰も読んでくれないのでは」という懸念は不要です。そもそも読者はWebサイトに来ません。すでに6割以上の人がAI Overviewで満足している状態なので、そこに出れば十分。一般の人に分かりやすく翻訳する作業は、AIがやってくれます。

製造業がAIOで有利になる理由|特許・論文・研究データという武器


大野氏がこれまで支援してきた中で、最も強力だと断言するのが次の3つです。

【AIOで最も強い3つの一次情報】
  • 1. 特許
  • 2. 論文
  • 3. 研究データ

「ここに書いてあるデータは、かなり大事です。これをしっかり可視化してコンテンツ化できると、AIが優位に感じて上位表示してくれる可能性が格段に上がります」

つまり、AIOで有利になるのは以下のような企業です。

  • ・技術・研究・開発に長く投資してきた企業
  • ・試験・検証データを社内に蓄積している企業
  • ・特許や論文といった一次情報を保有している企業
  • ・そして、マーケティングや広報が苦手だと思ってきた真面目な企業

真面目な会社ほど、技術エビデンスをしっかり貯めた会社ほど、やれば成果が結構出ます。」(大野氏)

なお、自社メディアで90%だった認識率が、他社への横展開では70%以上——という差についても、興味深い仮説が示されました。

70%だった企業のサイトには、記事の執筆者プロフィールが記載されていませんでした。広報発信という形で、会社としての「広報」名義になっていたのです。一方、90%を記録した自社メディアでは、誰が書いた記事なのかを明記していました。

「おそらくAIは、データだけではなく、これは誰が書いて発信しているものなのかということも重視しているのではないかと思います」(大野氏)

技術広報において、執筆者・監修者の氏名と経歴を明記することは、それだけで打ち手になり得るということです。

AIOの成果は「広報」だけでなく「採用」「営業」にも波及する


AIO対策の応用範囲は、技術広報にとどまりません。

・リード獲得/営業:AIが作成する一次リストに入ることで、商談の入口を確保できます。前述の通り、B2B購買の95%が「最初のAIリスト」から決まっています。

・採用:これが想像以上に効きます。

あるプライム上場の技術系企業は、他社と比べて認知率がかなり低い状態にありました。やっていること自体は素晴らしいのに、伝わっていない。そこでオウンドメディアを使って、事実とエビデンスを織り交ぜたコンテンツを発信したところ——わずか1日で、AIの回答に登場するようになりました。

「若手のエンジニアが『こういう環境で働きたいが、それに合う企業はどこか』『こういうことをやりたいが、それをやっている会社はどこか』とAIに尋ねると、その会社の名前が出てくるようになった。社長がとても喜んでいました」(大野氏)

「若い人も活躍できて福利厚生が充実している会社」といった検索の仕方で、AIが企業を提案する。仕事の探し方そのものが、こう変わりつつあります。エンジニア採用・技術者採用の領域でも、AIO対策が効いてくるということです。

さらに、大手求人プラットフォームもAIを採用し始めています。そうなると、求人ページ・企業ページ自体をAIが自動構築する時代が来ます。その採用AIに引っかかってもらうためには、やはり情報発信が必要です。

コンシューマー向けサービスから、技術広報、営業、採用に至るまで——すべての領域にAIが関わってきているというのが現在地です。

コンテンツが9割、それでも構造改革が必要な理由


繰り返しになりますが、最も大事なのはコンテンツです。構造はその次です。

SEO会社やWeb制作会社は「SEOをやるにはWebサイトの構築が非常に大事です」と言うでしょう。しかし大野氏の実験結果はこうです。

「今、9割がほぼ1位を取っている状況で、SEO対策は一切やっていません。Webの構造も一切いじっていない。何の設計もされていない、無料でダウンロードできるテンプレートサイトをそのまま使って1位を取れている。こだわったのはコンテンツだけです。」

ただし、構造も無視していいわけではありません。AIに読んでもらうためには、以下のような対応が必要になります。

  • ・適切なタグ付け・構造化
  • AIごとに学習・情報取得の仕組みが異なる:OpenAIやGeminiなど各AIの基本原理は似ていますが、学習データの構成、マルチモーダル設計、追加学習(ファインチューニング)の方法、回答時の情報取得の仕組みはAIごとに異なります。つまり学習の仕方そのものが違うため、AIごとに個別の対策が必要になります
  • クローラーごとの開示設定:OpenAIとGoogle(Gemini)では、情報の伝わり方・引っ張り方が異なります。OpenAIに対しては「情報を開示している」ことをWeb上で明示する必要があり、逆に出したくない情報については「引かせない」という指定を埋め込む必要があります
  • ・AIが読める形式でのデータ提供(後述のQ&Aも参照)

実際に、テレビCMも打っているある企業から「他社の情報はたくさん出てくるのに、なぜ自社の情報が出てこないのか分からない」という相談があり、調べたところ構造上に最大の問題があったケースもありました。その修正とコンテンツ変更によって、表示されるようになったといいます。

つまり、打ち手を考えるには、まず自社の問題点がコンテンツ側にあるのか、構造側にあるのかを特定する必要があります。

AIクローラーの許可設定と構造化データ

※ここからは、セミナーで触れられた「クローラーごとの開示設定」について、技術広報の担当者が情報システム部門やWeb制作会社に依頼する際の確認項目を編集部で補足します。

  • robots.txt でのAIクローラー許可:OpenAIの GPTBot / OAI-SearchBot、Googleの Google-Extended、Perplexityの PerplexityBot、Anthropicの ClaudeBot など、AIごとにユーザーエージェントが分かれています。学習には使わせたくないが、検索での引用は許可したいといった出し分けもここで行います
  • llms.txt の設置:サイトの要点をAI向けにテキストで示す新しい慣習。対応状況はAIによって異なりますが、実装コストが低く先行して用意する価値があります
  • 構造化データ(schema.org/JSON-LD):Article、Organization、Person、FAQPage、Product などを付与し、記事の著者・発行元・Q&Aを機械可読にします。本記事のようにQ&Aを持つ記事は FAQPage が有効です
  • sitemap.xml と正規URL(canonical)の整備:クロール漏れと重複コンテンツ判定を防ぎます
  • 見出し階層(h1〜h3)と alt 属性:見出しが見た目のためだけに使われていると、AIは文書構造を読み取れません
  • PDFのHTML化:カタログや技術資料をPDFのままにせず、HTMLページとしても公開します(後述のQ2も参照)

いずれも「コンテンツの質」を評価してもらうための前提を整える作業です。順序としてはコンテンツが先、構造は並行と考えるとよいでしょう。

リンカーズによる無償のAIO診断

セミナーでは、リンカーズによる無償診断のご案内がありました。

Webサイトをお知らせいただければ、専用プログラムによってAIOの観点からの問題点を洗い出し、改善案をご提示します。 これは、OpenAIなど各社が公開している「自社AIがどのようにWebページを読んでいるか」という情報をもとに、どこを見ているのか、それに対応できているのかを診断する仕組みです。

参考として、リンカーズ自身のスコアは60点でした。80点以上でなければ改善が必要なレベルであり、しっかり対応している大手企業は140点程度のスコアが出ています。やっている企業と、やっていない企業の差は、すでに非常に大きく開いています。

ご希望の方は、下記お問い合わせボタンより「お問い合わせ内容の詳細」欄に「AIO無償診断のディスカッション希望」とご記載のうえ、リンカーズまでお問合せください。

【実践】製造業の技術広報が明日から着手できるAIO施策8つ


※セミナーの内容をもとに、技術広報・研究開発広報のご担当者が着手しやすい順に編集部で整理したものです。

1. カタログ・技術資料・ホワイトペーパーをHTML記事化する
PDFに閉じている情報を、テキストのWebページとして公開し直します。すでにある資産を使うため、最も着手が早く、効果も出やすい施策です。

2. 試験データ・仕様を表で公開する
試験条件、荷重、試験回数、温度範囲、耐久回数、性能低下の許容範囲を、画像ではなくHTMLの表で書きます。「強度が高い」ではなく数値で示すことがポイントです。

3. 特許・論文を解説記事にする
出願済みの特許や発表済みの論文を、平易な解説記事に落とし込みます。知財広報・技術ブランディングの観点でも有効で、競合が模倣できない一次情報になります。

4. 用語解説ページとFAQを整備する
自社の技術領域の専門用語を1語1ページで解説します。AIは定義の明確な文章を好み、FAQは回答としてそのまま引用されやすい形式です。

5. 導入事例・課題解決事例を数値付きで書く
「歩留まりが何%改善」「不良率が何%低減」「リードタイムが何日短縮」まで書きます。サプライヤー選定・調達先探索の場面でAIに拾われます。

6. 執筆者・監修者を明記する
記事に技術者本人の氏名・所属・経歴を載せます。本文で触れた認識率90%と70%の差の要因と見られている項目です。

7. エンジニア採用ページを技術情報で書き直す
福利厚生の列挙ではなく、扱う技術・設備・研究テーマを具体的に書きます。技術者採用の文脈でAIに推薦されるようになります。

8. 英語版を用意する(任意)
AIが自動翻訳するため必須ではありませんが、海外からの技術シーズ探索・調達の引き合いを狙うなら効果的です。

いずれも共通しているのは、「人向けに短く整えた表現」から「AI向けに根拠を書き切った表現」へ切り替えるという一点です。中小製造業でも、技術ブログ1本から始められます。

【Q&A】セミナー参加者からの質問と回答


Q1. データは、グラフなどよりも文章のほうが良いのでしょうか?

A. グラフをどういう形式で表示しているかによります。JPEGやPNGなどの画像形式では、情報をはっきり読み取れません。 グラフであっても、瞬時に描画されるような形式(データを持ったもの)であれば、そちらのほうが良いです。

Excelの表を入れて自動的にグラフ化するような機能がついていないのであれば、文章側に数字を入れたほうが良いです。いずれにしても数字をインプットすることが非常に重要ですので、PNG・JPEGではなく、テキスト、またはデータそのものを入れていくことが大切なポイントです。

Q2. 「AIが認識できない情報」としてPDFが挙がっていましたが、PDFはどう扱うべきですか?

A. PDFは読み込めるとは思いますが、取得できる情報量が非常に浅い状態です。

ある企業では、これまでPDFへのリンクを大量に貼っていました。しかしGoogleアナリティクスやサーチコンソールで見ると、そもそもPDFをクリックする人の数自体が少ない。 加えて、AIもそこにあるものを読みに行くことをあまりしません。そういう意味でも、テキスト化・記事化していくほうが非常に大切です。

Q3. PRやカタログなどの宣伝ツールの場合は、AIにスルーされるだけでしょうか?また、ページの評価が下がるという概念はありますか?

A. スルーはされると思います。 それがペナルティになる(評価が下がる)かどうかについては、確認はできていません。

PR・カタログを併存させるのは構いませんが、AIに機械学習させるためのコンテンツはしっかり別に準備するという考え方が必要です。人が読む部分にはマーケティングテクニック的な表現があってもよく、それはAIが単にスルーしてくれるだけです。人が読むもの/AIが読むものを作り分けるという発想です。

Q4. 自社メディアよりも第三者メディアのほうが、AI採用率が高いのでしょうか?(90%と70%の差について)

A. 自社メディアと第三者メディアをテストしたところ、ほとんど差はありませんでした。

それよりも、「誰が書いたか」を明記しているかどうかの影響のほうが大きいと考えています。 ほぼ同じような文章であっても、執筆者情報を書いてあるものとないものとでは20%の差が出ています。大事なのはコンテンツの質、そして発信者の明示です。

Q5. 「AI認識率」とありましたが、これはどのように算出されたのでしょうか?

A. 公開した記事に対して、「この情報を届けたい」と意図した内容が、AIに認識されてトップに出てきた比率です。100本書いたら90本は、こちら側が指定した通りの情報がしっかり見られている、という意味になります。

まとめ:エビデンスを持つ企業こそ、AIO時代の主役になる


3人に1人がすでにGoogleを使わず、B2B購買担当者の94%がAIで一次リサーチを行い、その95%が最初のAIリストから選定する。Webサイトへの流入が減る一方で、AIの回答に載っているかどうかが、認知・商談・採用のすべてを左右する時代が始まっています。

そこで問われるのは、SEOの小手先のテクニックではありません。数字とエビデンスに裏打ちされたコンテンツの質です。

  • ・キャッチコピーや曖昧な表現はスルーされる。試験条件・算出根拠・数値まで書き切る
  • 特許・論文・研究データを可視化することが、最も強力な打ち手になる
  • ・PDFや画像に埋もれた情報は、テキスト化・記事化する
  • 誰が書いたのかを明記する
  • ・コンテンツが9割。ただしクローラー対応などの構造改革も並行して行う

そして最大のポイントは、成果が出るまでの時間が劇的に短くなったことです。従来のSEOでは半年〜1年かかっていたものが、コンテンツ公開から約6時間でAIに認識され、無料テンプレートのサイトでも大手メディアを上回る。広告費ゼロ、被リンクゼロからでも勝負ができる。

「マーケティングが下手だった、告知が苦手だった——そういう会社ほどチャンスです。技術や研究、エビデンスをたくさん持っている企業にとっては、ものすごいチャンスです。今までと違って短期的に結果が出しやすくなっているので、まだ情報発信をしていないのであれば、オウンドメディアを作って発信していくことを絶対におすすめします」(大野氏)

技術力という「一次情報」を持ちながら、それを伝えきれてこなかった日本のモノづくり企業にとって、AIOはこれまでの不利を一気にひっくり返す手段になり得ます。

講演者紹介


AIOとは?生成AIに選ばれる製造業の技術広報戦略|AI認識率90%の実証データ

大野 泰敬(おおの やすのり)氏
株式会社スペックホルダー 代表取締役/リンカーズ株式会社 顧問

【略歴】
2004年よりソフトバンクにて新規事業に従事。2006年にCCCの配信事業などを担当した後、2008年にソフトバンクへ復帰し、日本初上陸となるiPhoneのマーケティング戦略を手がける。その後独立し、複数の企業経営・投資と並行して、さまざまな企業のマーケティング・事業開発支援を行う。農林水産省 農林水産研究所 客員研究員。

現在は、日経系メディアをはじめとするテレビ・ニュース・ラジオ番組のコメンテーター/メインパーソナリティとして日々情報を発信。並行して、自社でオウンドメディアを立ち上げてAIO(生成AI最適化)の実証実験を行い、その知見をもとに技術系企業のオウンドメディア運用・AIO支援を複数手がけている。

オープンイノベーションを支援するリンカーズのサービス


「Linkers Sourcing」サービス紹介ページ
Linkers Sourcing は、全国の産業コーディネーター・中小企業ネットワークやリンカーズの独自データベースを活用して、貴社の技術課題を解決できる最適な技術パートナーを探索するサービスです。ものづくり業界の皆様が抱える、共同研究・共同開発、試作設計、プロセス改善、生産委託・量産委託、事業連携など様々なお悩みを、スピーディに解決へと導きます。

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貴社の技術・製品・サービスを、弊社独自の企業ネットワークに向けて紹介し、関心を持っていただいた企業様との面談機会を提供します。面談にいたらなかった企業についても、フィードバックコメントを可視化することにより、今後の営業・マーケティング活動の改善に繋げます。

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リンカーズのグローバルな専門家ネットワークや独自のリサーチテクノロジーを駆使し、貴社の要望に合わせて、世界の技術動向を調査します。調査領域は素材、素子、製品、ITシステム、AIアルゴリズムまで幅広く、日本を代表する大手メーカーを中心に90社以上から年間130件以上の調査支援実績があります。

技術広報やオープンイノベーション推進についてお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
「まだ方向性が決まっていない」
「今は情報収集段階で、将来的には検討したい」

など、具体的な相談でなくても構いません。
リンカーズが皆さまのお悩みや課題を伺い、今後の進め方を具体化するご支援をさせていただきます。

なお、本セミナーでご案内したWebサイトの構造・コンテンツのAIO観点での無償診断をご希望の方は、下記お問い合わせボタンより「お問い合わせ内容の詳細」欄に「AIO無償診断のディスカッション希望」とご記載のうえ、リンカーズまでお問合せください。