• 配信日:2022.11.30
  • 更新日:2022.12.23

オープンイノベーション Open with Linkers

オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

この記事では、リンカーズが 2012 年の創業より、さまざまな企業のオープンイノベーションを支援してきた経験から、オープンイノベーション成功のポイントをご紹介します。

オープンイノベーションの成功事例と日本企業の現状


オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

まずは、オープンイノベーションを推進させる成功例を見ていきましょう。
経営視点から取り組む例もあれば、現場視点で取り組んで成功を収めている例もあります。
それぞれの手段と主な取り組み企業は以下の通りです。

  • ・ビジョン共有:シーメンス
  • ・風土改革・目標設定:GE・P&G・フィリップス
  • ・評価制度:GM・ロシュ・モンデリーズ
  • ・社内課題の見える化:ハイアール・サムスン

日本企業においてオープンイノベーションを推進させるには、現場視点での「社内課題の見える化」が重要ではないかと、私たちは考えました。

サムスンは現場ニーズを吸い上げてオープンイノベーションを推進

オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

サムスンによるオープンイノベーション推進の成功例を紹介します。
サムスンでは、以下のようなオープンイノベーションを進める仕組みが構築されています。

  • 1. 韓国本国の事業部門から統括窓口に探したい技術が連絡される
  • 2. 統括窓口からシリコンバレーのオープンイノベーションチームに探したい技術の連絡が届けられる
  • 3. オープンイノベーションチームから統括窓口にレポートや優良スタートアップが紹介される
  • 4. 統括窓口から事業部門に企業が紹介される

以上のようにサムスンでは本社側からシリコンバレーのオープンイノベーションチームに連絡が行き、意思決定や情報連携が行われるプロセスが機能しています。
ただし、長期テーマの場合は CVC (コーポレート・ベンチャー・キャピタル:投資を本業としない事業会社による出資や、そのための組織)が絡んでくるため、本国の事業部門が直接判断する仕組みになっています。

日本のオープンイノベーションの現状

オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

日本のオープンイノベーションの現状はどうなっているのでしょうか。
NEDO オープンイノベーション白書によると、イノベーション創出環境整備に向けた取り組みステージは以下の通りです。

  • ・Stage 0:無関心
  • ・Stage 1:スローガン先行
  • ・Stage 2:虫食い改革
  • ・Stage 3:社内メカニズム化

このうち多くの日本企業は Stage 1と Stage 2に位置しているといわれています。
Stage1の「スローガン先行」は「重要課題となっているが、取り組みが個人任せで属人的な状態」を指します。
Stage 2の「虫食い改革」は「重要課題となっており、さまざまな取り組みがなされているものの、多くが部分的かつ有機的に行われているため不十分な状態」のことです。
Stage1と2に位置している企業が多いということはつまり、多くの日本企業では、オープンイノベーションの推進を社内で仕組み化できていない状態だということです。

オープンイノベーションには専門組織が必要


オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

私たちがさまざまな企業から話を聞いたり、レポートを見たりしてきた中で分かったのは、オープンイノベーションを推進するには、上の図にあるような専門組織を中心とした仕組みが必要だということです。
専門組織が社内の窓口として、そして社外の窓口として機能するよう、上の図のようなリボン型モデルを構築するのが理想です。
このような仕組みを作り上げ、社内調整と社外連携を実施できている企業ほど、オープンイノベーションを積極的に進められています。

トップのコミットメントがマスト

オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

オープンイノベーションを推進するには、前述した専門組織の設置と仕組み化に加えて、会社トップによるコミットメントが欠かせません。
トップのコミットメントが得られないと、情報が集まりにくくなるでしょう。また、プロジェクトを推進する後ろ盾がないため、途中で頓挫してしまうことも考えられます。
トップのコミットメントを得て、専門組織が権限を持てるようにしましょう。

オープンイノベーションの課題は仕組み化


オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

オープンイノベーション推進にあたって、企業が抱えている課題にはどのようなものがあるのでしょうか。
私たちが 2018 年に「オープンイノベーションで困っていること」をテーマにアンケート調査をしたところ、次のような回答が得られました。

1. 仕組化:25
2. 進め方:11
3. 情報収集:10
4. 意識向上:6
5. 課題抽出:5
6. 特定技術:3
7. これから:3
N=100

課題として1番多かったのは、仕組み化ができていないことでした。

オープンイノベーションの活動を仕組み化するメリット

オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

多くの企業や担当者が課題と感じているオープンイノベーションの活動の仕組み化を実現すると、次のようなメリットが得られます。

  • 1. ネットワークが維持・強化できる
  • 2. 組織内のナレッジが蓄積される
  • 3. 社内の風土改革に繋がる

1つ目は、ネットワークの維持・強化。単発で社内の技術者や一部の部署の人が社外と連携したとしても、それだけで終わってしまいます。連携先企業が優良企業でポテンシャルを秘めている会社であったり、逆に取引するには厳しい印象を持ったりしたとしても、その情報が残りません。次に同じようなテーマで連携先を探すときに困ってしまうでしょう。

2つ目は、組織内のナレッジ(知識・情報)が蓄積される点。仕組み化しないと、他部署が同じような活動をした場合に、気づけないかもしれません。
例えばオープンイノベーションを仕組み化できていない大手企業では、ある部署が外部組織に連絡を取ったところ、別の部署が既に付き合いを始めていたというケースも珍しくないようです。仕組み化ができていれば、このような研究開発テーマや外部連携の重複を防ぐことができるでしょう。

3つ目は、社内の風土改革に繋がる点です。オープンイノベーションを仕組み化せずに放置していると、自前主義を推進してしまい、新しい技術を取り入れる土壌が失われてしまいかねません。仕組み化が、このような社内風土の改革に繋がるといえます。

オープンイノベーションが浸透している企業に共通する成功のポイント


オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

オープンイノベーションが浸透している企業に共通する成功のポイントを紹介します。

  • 1. 成果の出やすい技術ニーズ型から取り組む
  • 2. 取りまとめ機能・組織が各現場の技術ニーズを吸い上げて、定期的にメンテナンスし、外部連携ツールを使いながら促進していく
  • 3. 成功例や活動を社内でしっかりと共有して、認知してもらう

1つ目は、外部から必要な技術やリソースを探索することです。インバウンド型と呼ばれています。
(リンカーズの技術パートナー探索サービスLinkers Sourcingにてご支援が可能です。)

2つ目は、専門組織が各現場の技術ニーズを吸い上げて定期的にメンテナンスし、外部連携または自社で促進することです。

3つ目は、成功例や活動を社内で共有することです。例えば GE は、プロジェクトがわずか数個しかない時期から、その内容を社内に周知することでプロジェクト数をだんだん増やしていきました。どれだけ小さな成功でも構いませんので、成功例を作って共有するのが重要といえるでしょう。

技術のニーズ・シーズを見える化する

オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

オープンイノベーションを仕組み化するにあたっては、上の図のようなニーズとシーズ(開発の素となる技術や材料)を見える化するシートを作成するとよいでしょう。
主な項目は以下の通りです。

  • ・技術テーマ
  • ・部署
  • ・担当者
  • ・探したい技術の概要
  • ・技術フェーズ
  • ・解決する技術オプションの数
  • ・案件具体性
  • ・重要性
  • ・リサーチ/マッチング希望
  • ・想定パートナー
  • ・国内/海外
  • ・見つける希望時期
  • ・リンカーズでの疑似探索実績
  • ・探索可能性のコメント

このようなシートを作成すると、各部署で走っている技術テーマや、必要としている技術を統括部署が把握しやすくなります。
例えば、日本で早くからオープンイノベーションを取り入れていることで知られる大阪ガスでは、専門部署が毎年春に各事業部に対して説明会を開きニーズの吸い上げを行うことを徹底していました。

技術ニーズセグメントごとにアクションを実施

オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

ニーズの吸い上げができたら、外部依存度の高低によるメリット・デメリットを踏まえて、開発の進め方を判断します。
自社で開発する場合もあれば、完全に外部委託して開発を進める場合もあります。
バランスを見ながら、どのように進めるかを検討するのが統括部署の役割です。

何を成果とするかが重要

オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

オープンイノベーション活動を社内に浸透させるには、成果を共有することが重要です。
しかし、何をもって成果とするかを決めておかないと、成果が出たにも関わらず、報告・共有がなされない場合があります。
そこで、上図のようなプロセス KPI (Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を設定することをおすすめします。
取り組みから完全な成果に至るまでのプロセスに、以下のような KPI を設定し、達成できたかを共有するのです。

  • ・ニーズ件数
  • ・有効提案数
  • ・面談数
  • ・マッチング数
  • ・アウトプット(発信・生産など)
  • ・アウトカム(成果・業績など)

このように、成果を見える化する仕組みづくりが重要です。
成果が見えないと「やはりオープンイノベーションは難しい」という印象を抱いてしまい、計画が頓挫してしまうかもしれません。

オープンイノベーションの活動を振り返ることで成果を最大化する


オープンイノベーションの効果を最大化する”組織”と”仕組み化”

まずは1年間、オープンイノベーション活動を実施してみましょう。
そして1年後にマッチングが成立したものと不成立だったものを振り返り、次年度以降の活動に役立てます。
よくある悪い例として挙げられるのが、取り組みが上手くいかなかった場合に放置してしまうことです。
そうならないためには、マッチングが成立した場合と不成立だった場合にどのように動くのかを、事前に決めておく必要があります。
情報共有を仕組み化できれば、よりオープンイノベーションの推進を成功させられるでしょう。

オープンイノベーションを支援するリンカーズの各種サービス

「Linkers Sourcing」サービス紹介ページ
Linkers Sourcing は、全国の産業コーディネーター・中小企業ネットワークやリンカーズの独自データベースを活用して、貴社の技術課題を解決できる最適な技術パートナーを探索するサービスです。ものづくり業界の皆様が抱える、共同研究・共同開発、試作設計、プロセス改善、生産委託・量産委託、事業連携など様々なお悩みを、スピーディに解決へと導きます。

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リンカーズのグローバルな専門家ネットワークや独自のリサーチテクノロジーを駆使し、貴社の要望に合わせて、世界の技術動向を調査します。調査領域は素材、素子、製品、ITシステム、AIアルゴリズムまで幅広く、日本を代表する大手メーカーを中心に90社以上から年間130件以上の調査支援実績があります。

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