• 配信日:2024.02.26
  • 更新日:2024.04.18

オープンイノベーション Open with Linkers

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

リンカーズでは毎年 CES の会場に行き、テックベンチャーを中心に調査レポートを作成しています。

本記事は CES2024 の調査レポートの内容を抜粋して紹介した Web セミナー『 CES2024 報告会』を書き起こしたもので、前後編の2本構成の前編です。前編は、CES2024 の会場の雰囲気や展示の内容、出展組織の傾向などを解説しています。後編は、CES2024 出展の弊社注目の技術事例をカテゴリー別に紹介しており、こちらも掲載しておりますので、ぜひあわせてご覧ください。

また内容の理解促進にお役立ていただきたく、セミナーで使用した講演資料を記事の最後の方で無料配布しております。(前後編共通の資料です。)
CES2024 の様子をさらに知りたい方は、ぜひ資料もご覧ください。

CESとは


CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

CES は、世界中から例年数千社の企業が集結するテクノロジーの祭典です。今年は 4,000 社以上が出展しました。毎年1月上旬にアメリカのラスベガスで開催されます。

元々 CES は「 Consumer Electronics Show 」の略称で、家電見本市という位置付けからスタートしていますが、最近は家電に限らず AI 、 IT 、 エネルギーなど、さまざまなテクノロジーが集まる場になっています。

リンカーズがCESに注目する理由


弊社がなぜこれほど CES に注目しているかというと、規模が大きいということはもちろん、大手企業やベンチャー企業が多数出展し、世界を変えていくことが期待される技術が多数発表されることにあります。弊社は特にベンチャー企業の技術に注目しており、 その調査のため毎年 CES に参加しています。

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

我々が CES に注目している理由を整理すると、以下の3つに分かれます。

  • ・家電の枠を超えて、 IoT や AI 、ヘルスケア、ゲーム、フードテックなどさまざまなジャンルのテクノロジーが集まっているため。
  • ・大手企業にとって CES は中長期のテクノロジービジョンや新コンセプトを発表する場として定着しており、発表内容から今後のテクノロジートレンドを占うことができるため。
  • ・世界中のテックベンチャーが集結し、次の世代を担う黎明期(れいめいき)の技術にいち早く触れることができるため。

CES会場の規模


CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

CES は幕張メッセのメインフロア 約5 個分の敷地で開催されており、開催期間の4日間歩き尽くしても、回りきれない規模です。

会場は Tech East と Tech Westに分かれています。 Tech East は世界の大手企業による大規模なブースが多く、たくさんの来場者で賑(にぎ)わっていました。

Tech West にも、さまざまな企業の技術展示があります。今年特に目立っていたと感じたのは国ごとのパビリオン * です。パビリオンを出展している国の数が以前より大幅に増えていました。各国が自国のテクノロジーをより一層アピールしようとしている印象です。特に韓国のパビリオンの数が多く、圧倒的な存在感がありました。

私たちが最も楽しみにしているのが、 Tech West 1階の EUREKA PARK です。ここはベンチャー企業の出展が多く集まっているフロアで、今回の報告もここで調査した内容が多いです。

*パビリオン=国・組織・団体・企業が自分たちでスペースを確保し、たくさんのスタートアップをその中で紹介するブース。

セミナーでは、EUREKA PARK の雰囲気を、現地で 360° カメラで撮影した映像とともに紹介しましたが、本記事ではその内容を割愛させていただきます。

CES出展者分析


CES の出展者を統計から分析した結果を紹介します。

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

画像は、 2020 〜 2024 年までの出展組織数と参加者数の推移をまとめたグラフです。 2020 年はコロナ禍前であり出展組織数は 4,485 と非常に多かったのですが、コロナ禍の 2021 年はオンライン開催になり、出展組織数・参加者数ともに大幅に減少しました。そこから徐々に右肩上がりに増えてきていて、 2024 年はコロナ禍前の状態に近づいてきました。

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

どのような国の企業が出展しているかを見てみます。アメリカが出展数でトップなのは毎年変わりません。

2020 年に2番目に多かった中国は 2021 〜 2022 年頃の米中摩擦が大きかった時期に一度出展数が減ったのですが、今年は 2020 年以上の出展数に回復しました。

特筆すべきは韓国です。ずっと上位3位にまで入っていましたが、今年は 802 件と、昨年の 499 件から大幅に増えています。

フランスも出展数が非常に多い国です。

日本は5〜 10 位を行ったり来たりするような形ですが、比較的出展数の多い企業と言えるでしょう。

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

画像は award * を受賞した組織数を国別にまとめたグラフです。今まで1位はずっとアメリカでしたが、ここ数年韓国が受賞組織数を伸ばしていて、昨年アメリカと並び、今年はアメリカを大きく引き離し断トツ1位になりました。大手企業もベンチャー企業も韓国のプレゼンスが高まっていて、アメリカを上回りそうな存在感を示していることが、大きな動きの一つといえます。

グラフの青が日本で、 award 受賞数が年々増えており、世界でも存在感を高めつつあります。

*award( CES Innovation Award ):CES に出展された製品の中から、優れたデザインとエンジニアリングを表彰するもの。詳細はこちら

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

次は CES 2024 のカテゴリーについて見ていきます。毎年カテゴリーは増えてきていて、例えば昨年は緑色で記載している Metaverse(メタバース) 、 NFT( Non-Fungible Token、非代替性トークン) 、Cryptocurrency(クリプトカレンシー:暗号通貨) 、 Web3 などが増えています。 今年は、 Ag Tech (アグリテック)、 Beauty Tech(ビューティーテック) 、Construction Tech(コンストラクションテック:建設テック) が新たに追加されました。昨年の NFT や Web3 、一昨年の Space Tech や Food Tech のような新しい波が来たというよりは、今まで他の分野に分類されていたものが少しずつ分化されたようなイメージで、今年新たに追加された3つの分野が時代を代表するようなテックだったかというと、それほどではない印象でした。

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

画像はカテゴリー別の出展組織数をまとめたグラフです。スタートアップや AI 、IoT などのカテゴリーに分類される組織が多く、これらは近年の開発では当たり前のように取り入れられている技術と言えるでしょう。また傾向として、サステナビリティに分類される組織が増えています。

一方、ウェルネステックは存在感が小さくなってきているように見受けられます。

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

画像は、先ほどのカテゴリー別出展組織を award 受賞した組織に絞ってまとめたグラフです。同じく、スタートアップや AI 、IoT が大きな比率を占めています。それからデジタルヘルスも存在感を増しています。

(後編につづく)

記事後編『CES2024レポート(後編)~カテゴリー別の注目技術〜』はこちらから

CES2024 に出展されていた弊社注目の技術事例をカテゴリー別に紹介しています。

講演資料のダウンロードについて

本記事に関するセミナー講演資料を、以下のボタン先の申込フォームからお申込みいただけます。申込フォームに情報を入力後、送信ボタンを押してください。その後、自動的にページが切り替わりますので、そちらから講演資料をダウンロードしてください。

『CES2024テックベンチャーの先端技術動向調査レポート』のご案内※より詳しく知りたい方におすすめ

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

リンカーズでは毎年 CES の会場に行き、調査レポートを作成しています。今年 2024 年版は以下の注目領域に関する技術事例や調査員目線での情報などを、特にベンチャー企業にフォーカスしてまとめています。

・デジタルヘルス / ウェルネス
・モビリティ / ロボティクス / IoT
・ソフトウェア / Web 3
・Emerging Tech (エネルギー、サステナビリティ、フードテック、スマートシティなど)

レポート内容は以下の通りです。

・注目出展技術リスト(約 300 件)
・動向レポート(約 80 ページ)

注目出展技術リストでは、 CES に出展したベンチャー企業の中から興味深い技術を研究している事例を 300 件ピックアップし、それぞれについてどのような研究をしているのかレポート化しています。 CES の出展者一覧よりもはるかに深掘りしたレポートになっています。このリストを参照いただくことで、世界の先端技術がどの方向に成長しているのか、どのようなベンチャー企業が注目されているのか感覚をつかむヒントを得られることでしょう。

興味のある方は、ぜひ以下からお問い合わせください。

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

調査対象を絞り、貴社の業務目的に合わせた調査をご希望の場合は、調査サービス Linkers Research(リンカーズリサーチ)にてご支援が可能です。

講演者紹介

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

浅野 佑策
リンカーズ株式会社 リサーチプラットフォーム事業本部 オープンイノベーション研究所

東北大学工学部卒業( 2006 年)、東北大学大学院工学研究科修了( 2008 年)
株式会社東芝 生産技術センターにおいて半導体製造プロセスの研究開発に従事。
その後、アクセンチュア株式会社にて大手製造業における、工場デジタル化や業務自動化などのデジタルトランスフォーメーションを複数推進。
現職では、メーカーでの研究開発とコンサルティングの経験を活かして、エレクトロニクス領域を中心に、先端技術動向調査、技術マッチング、技術情報を効率的に収集するための技術開発など、製造業向けのイノベーション創出を支援している。

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

喜多村 悦至
リンカーズ株式会社 リサーチプラットフォーム事業本部 オープンイノベーション研究所 シニアリサーチフェロー 博士(農学)

東北大学加齢医学研究所研究員。 鹿児島大学大学院 連合農学研究科 生物利用科学専攻 博士課程修了。
2003 年英国 Dundee 大学 Life Sciences 学部 博士研究員、2011 年同学部 Senior research associate、2017 年熊本大学発生医学研究所教員を務め、DNA 複製機構や染色体均等分配機構の研究、解明に取り組む。2018 年よりリンカーズ オープンイノベーション研究所に入社し、アカデミアバックグランドを活かして、バイオテクノロジー領域を中心に先端技術動向調査、産学連携促進活動など、製造業向けの技術マッチング活動を支援している。

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

蒲原 知宏
リンカーズ株式会社 リサーチプラットフォーム事業本部 オープンイノベーション研究所 プロジェクトマネージャー 博士(工学)

東京工業大学大学院 理工学研究科修了。
東陽テクニカにて、自動車ソフトウェア向け静的コードチェッカーや大容量デジタルアセットの高速管理ソフトウェアの技術営業に従事。
その後、シーメンスにて構造物振動計測・解析、および騒音源探査ソリューションのプリセールスを行う。
2020 年よりリンカーズに入社し、オープンイノベーション研究所のプロジェクトマネージャーとして、自動車、建設、ヘルスケアなど、多岐にわたる最新技術動向調査を行う。

CES2024レポート(前編)~会場の様子・出展組織の傾向分析〜

伊藤 崇倫
リンカーズ株式会社 リサーチプラットフォーム事業本部 オープンイノベーション研究所 プロジェクトマネージャー

名古屋大学大学院 工学研究科 応用化学専攻
化学系メーカーにて、ディスプレイやバッテリーに使用される素材の研究開発、同社経営企画部門にて、新事業開発に取り組む。
その後、TOC(制約理論)をベースにしたコンサルティング会社にて、製造業の研究開発マネジメントの支援を行う。
2021 年よりリンカーズに入社し、先端素材、環境関連技術、食品、アグリ分野などの先端技術調査、用途開拓支援、ビジネス全般に関する調査など広範な領域を担当する。

オープンイノベーションを支援するリンカーズの各種サービス

技術情報の収集には「 Linkers Research(リンカーズリサーチ)」
Linkers Research は、貴社の業務目的に合わせたグローバル先端技術調査サービスです。各分野の専門家、構築したリサーチャネットワーク、独自技術データベースを活用することで先端技術を「広く」かつ「深く」調査することが可能です。研究・技術パートナー探し、新規事業検討や R&D のテーマ検討のための技術ベンチマーク調査、出資先や提携先検討のための有力企業発掘など様々な目的でご利用いただけます。

技術パートナーの探索には「 Linkers Sourcing(リンカーズソーシング)」
Linkers Sourcing は、全国の産業コーディネーター・中小企業ネットワークやリンカーズの独自データベースを活用して、貴社の技術課題を解決できる最適な技術パートナーを探索するサービスです。ものづくり業界の皆様が抱える、共同研究・共同開発、試作設計、プロセス改善、生産委託・量産委託、事業連携など様々なお悩みを、スピーディに解決へと導きます。

技術の販路開拓/ユーザー開拓には「 Linkers Marketing(リンカーズマーケティング)」
Linkers Marketing は、貴社の技術・製品・サービスを、弊社独自の企業ネットワークに向けて紹介し、関心を持っていただいた企業様との面談機会を提供するサービスです。面談にいたらなかった企業についても、フィードバックコメントが可視化されることにより、今後の営業・マーケティング活動の改善に繋げていただけます。

オープンイノベーションの推進についてお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
「まだ方向性が決まっていない」
「今は情報収集段階で、将来的には検討したい」

など、具体的な相談でなくても構いません。
リンカーズが皆さまのお悩みや課題を伺い、今後の進め方を具体化するご支援をさせていただきます。

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