- 配信日:2024.01.17
- 更新日:2024.11.22
オープンイノベーション Open with Linkers
生分解性素材の多様性と産業利用における最新技術事例
建築資材、工業資材、その他産業領域
戸田建設株式会社の事例
戸田建設株式会社では、日本大学と共同で、ひび割れの閉塞を可能にする自己治癒(ちゆ)コンクリートを研究しています。コンクリートを建物などの外壁に使っているとひび割れが生じますが、この研究では、ひび割れによって発生した酸素を使って微生物が活性化し、微生物の代謝物によりひび割れを防ぎます。ひびが目立たなくなることはもちろん、ひびに水が入るような侵食も防ぐ効果も確認されています。
MycoWorks , Inc. の事例
MycoWorks , Inc. では、マンネンタケ科の真菌を使って人工皮革を開発しています。実際の皮革と同じくらいの強靭性、柔軟性、耐久性があります。
菌床に干し草や羊毛や綿を用いて、真菌を培養します。菌床の穴は自在に加工可能なため、保温性を備えた任意の形状の建築資材を作ることができます。
University of Cambridge の事例
University of Cambridge では、高い柔軟性を備えたハイドロゲルを開発しています。特徴は、歪み(ゆがみ)やねじれ、伸び縮みに対して強く、最大 454 % の歪み耐性がある点。さらに電導性が損なわれず、伝導機構が維持されるためセンシング技術への応用が期待されます。
実験段階ではありますが、ロボティクスや人工皮膚、ウェアラブルデバイスなどへの応用が期待されています。
University of Bath の事例
University of Bath では、水に有害物質が含まれているか否かを検出できるセンサーを開発しました。紙に炭素電極をスクリーン印刷したもので、電気を必要としない紙微生物燃料電池です。水に浸すだけで安価に水質テストができます。
Shanghai Huayuan Electronic Co.Ltd の事例
Shanghai Huayuan Electronic Co.Ltd では、プラスチックを使用しない生分解性素材をベースとした RFID (Radio Frequency Identification:無線周波数識別)タグを提供しています。従来のタグは、接着剤やアルミニウム処理に化学物質を使うため、環境へのダメージが不可避でした。同社製品は、紙ベースで接着剤を使わずにタグにアルミニウムを組み込むことで、化学物質を使用しないタグを実現しました。
生分解性素材への機能付加、製造技術
Mango Materials , Inc. の事例
Mango Materials , Inc. では、遺伝子組み換えされていないメタン栄養細菌を用いて製造できる生分解性プラスチックを開発しています。土壌及び海洋環境でも分解され、海洋環境では6週間以内に分解されるとされています。
Carbiolice SAS の事例
Carbiolice SAS では、ポリ乳酸ベースのプラスチックの生分解を加速するカプセル化酵素を開発しています。ポリ乳酸ベースのプラスチックにこの酵素を添加することで、常温でも 100 % 堆肥化することが可能です。実験では 182 日で分解されたとのこと。
The University of British Columbia の事例
The University of British Columbia では、森林廃棄物から得られたクラフトパルプに水酸化ナトリウムを添加して、穏やかに混合することで得られるマイクロファイバーをろ過・圧縮することで、簡単にバイオプラスチックの代替フィルムを製造する技術を開発しています。この技術で作られた代替フィルムは、有機物ゴミ箱の中で3週間以内に分解されます。
これまでにもセルロース系のさまざまな技術が開発されていますが、少ないエネルギーで作る方法はありませんでした。
Innotech Materials , LLC の事例
Innotech Materials , LLC では、鉄触媒酸化法を用いることで酸化セルロースとナノセルロースを加工し、繊維の吸水性と機械的な強度を高めるという技術を開発しています。
この技術は、航空宇宙産業や 3D プリント業界などで応用できる素材開発に期待されています。
Spanish Council for Scientific Research の事例
Spanish Council for Scientific Research では、バイオポリマーをベースに食品包装に適した超撥水紙を開発しました。生分解性素材であるポリ乳酸などを紙にコーティングすることで、従来の石油由来であったコーティング物質に代わる技術となっています。主にヨーグルトやケチャップなどの包装を目的に開発されています。
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講演者紹介
久留 和成
リンカーズ株式会社 リサーチプラットフォーム事業本部 オープンイノベーション研究所 リサーチマネージャー 博士(医学)
九州大学大学院 医学研究科 博士課程修了。
2002年 日本宇宙フォーラム、2003 年 英国 Dundee 大学、2006 年 英国Imperial college London にて博士研究員、2010 年 佐賀大学医学部、2015 年 北海道大学歯学部にて生理学・薬理学分野の教員を務め、中枢神経領域における摂食調節・糖尿病研究に取り組む。
2022 年よりリンカーズ オープンイノベーション研究所に入社し、医学、ヘルスケア、バイオテクノロジー領域を中心に先端技術動向調査を行う。
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