• 配信日:2023.11.09
  • 更新日:2024.04.19

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食品サプライチェーン領域の最新技術

Lalamove

食品サプライチェーン領域の最新技術

Lalamove は香港を拠点とし、配送サービスを提供する企業です。ラテンアメリカとアジアの 21 都市で、 700 万人以上の顧客と 70 万人の配送ドライバーをつなぐ役割を果たしています。

Lalamove のユーザーは、輸送物のピックアップやドロップオフ場所を指定すると、そこにドライバーが受け取りに来るという形で、簡単にピックアップやドロップオフの予約が可能です。

従来、ユーザーが商品を配送することがかなり効率化されています。さらにテクノロジーを活用することで時間とリソースが削減されて、最終的には配送におけるコスト削減と信頼性向上を達成してきています。

nuro

食品サプライチェーン領域の最新技術

nuro は自動運転配送車両を開発している企業です。アメリカで実際に稼働しています。 nuro が開発した車両は貨物のみを運搬することを目的としており、人が乗れるスペースはありません。現在のモデルは 12 個くらいの貨物を載せるスペースがある作りです。

日本で展開している自動運転車両との違いは、国の認可を受けて国道を走行している点です。nuro は最高で 100 km/h まで出すことができます。そのため今後は、人間の運転手がいない配送が展開していき、配送コストを大幅に削減することができるようになるでしょう。全米道路交通安全局から、この自動運転の免許を初めて取得した企業が nuro で、業界では技術力の高さが評価されています。

AxleHire

食品サプライチェーン領域の最新技術

Axle Hire はアメリカのカリフォルニア州に本社を置く配送ソリューション企業です。 e コマースやドライバー向けにサービスを展開しています。

サービスの特徴は、配送が細かくできるという点と、配送品の追跡ができて顧客にさまざまな通知を送ることが可能な点、さらに持続可能な配送アプローチを採用している点です。最終配送地点に、できるだけ小さい場所にマイクロハブを設置し、パッケージを一括して輸送することを原則的に行っています。

パッケージごとに密集した配送ルートを AI や独自のテクノロジーを組み合わせて配送時間を短くし、 CO2 の削減を目指しています。

Delhivery

食品サプライチェーン領域の最新技術

Delhivery はインドの物流・サプライチェーン企業です。さまざまな事業に取り組んでおり、 85 以上のフルフィルメントセンターを設置し、 24 のソートセンター、70 以上のハブ、 7500 のパートナーセンターなどがあり、大規模・広範囲に物流ネットワークを構築しています。メインは e コマース企業の物流です。

Delhivery にはソフトバンクが投資をし、急激に成長しています。これからさらに成長するため、無人航空機システムの会社を買収したり、ドローンを活用したりして、インドの物流に変革をもたらそうとしています。

注目している日本企業/技術


次は、個人的に注目している日本の企業や技術を紹介します。

FOOVEST

まずサプライチェーン領域において注目しているのが、FOOVEST という企業です。 FOOVEST は原材料の手配から一次加工までをワンストップで実現するという取り組みをしています。

FOOVEST のプラットフォームを使用すると欲しい原材料を簡単に見つけ、選ぶことが可能です。さらに企画・製造機能も用意しているため、商品の製作も簡単に行えます。

また、これまでプライベートブランドを作る際の課題に、大量のロットを抱えなければモノが作れなかったり、自社の製造工場ではロット数が少ないため作れなかったりといった点がありました。 FOOVEST は小ロットにも対応しているため、こだわった製品を作ることに長けています。

SoftBank

個人的に最も注目しているのが SoftBank です。理由は、ありとあらゆる企業に投資をしており、フードテックの分野においても、SoftBank が国内最大級の投資をしているためです。

フードテックへの投資額は、 2021 年時点で 5.4 兆円、現在はさらに増えていると思われます。 この 5.4 兆円をどのカテゴリーに投資しているのかを調べると、小売と物流が 79 % を占めています。それくらい SoftBank は、モノを売る場所や、流れる仕組みを押さえていこうとしていることが分かります。

実際に SoftBank は小売・物流の領域にかなり踏み込み始めており、 SoftBank は「海外企業の動き/事例」で紹介した企業のおよそ3分の2に出資済みです。しかも SoftBank が筆頭株主になっている企業もあり、企業によっては数千億〜1兆円もの金額を投資しています。

また SoftBank は、宅配の会社も作っています。夜間でも配送できるような物流網をネットショッピング業者向けに展開していたり、MeeTruck という日本EXPRESS と共同出資した会社で、商品の品質を気にする会社と配送車のマッチングサービスを立ち上げたりしています。

SoftBank は世界だけでなく国内でも展開を進めており、 PayPay や出前館などにも SoftBank が関わっています。

フードデリバリーにおいてなぜライドシェアが重要なのか


現在、世界中でスーパーアップが生まれています。日本ではまだスーパーアップと呼ばれるアプリは普及していません。もしスーパーアップが実現できれば、これまで特定の分野でナンバー1だった企業を簡単にひっくり返せてしまいます。実際に海外でも同じようなことが起きており、新興企業が2〜3年で老舗の大手企業をひっくり返すという動きが出てきています。将来的に日本でも同じような動きが出てくると思われます。

先ほど SoftBank は着々と物流網やサプライチェーンを展開しているとお伝えしましたが、今このスーパーアップに最も近いものを SoftBank が保有しています。それが PayPay です。

PayPay は 5,500 万人のユーザーを獲得しており、取引金額はサービス開始直後から急速に増加しています。PayPay の加盟店も 400 万店舗まで増えていて、さまざまな場所で PayPay が利用可能になってきています。まさにスーパーアップを目指している最中です。

SoftBank以外の企業も巨額の投資をしている

フードビジネスに数兆円単位の投資をしているのは、SoftBank だけではありません。 Amazon や Google、Alibaba など、大手 IT 企業も参入してきています。

個人的には、中国企業の活発な動きに注目しています。Tencent というゲーム会社は、フードテックへの出資企業数が、SoftBank が 38 社に対し、 48 社に上ります。その 48 社の内訳を見ると、先ほどの SoftBank とほぼ一致していて、小売と物流の領域が 78 % を占めています。このことから、食のライフラインを押さえる動きが世界中で加速していることが分かります。

講演者紹介

食品サプライチェーン領域の最新技術

大野 泰敬 氏
株式会社スペックホルダー 代表取締役社長 / 農林水産省 農林水産研究所 客員研究員

【略歴】
複数企業を経営する事業家兼投資家。
ラジオNIKKEIの情報番組「ソウミラ」、FM 軽井沢など人気 FM ビジネス情報発信ラジオ5番組のメインパーソナリティを務める。
ソフトバンク株式会社で新規事業などを担当した後、CCC で新規事業に従事。
2008 年にソフトバンクに復帰し、当時日本初上陸の iPhone のマーケティングを担当し、シェア拡大に貢献。
独立後は、企業の事業戦略、戦術策定、M&A、資金調達などを手がけ、大手企業 14 社をサポート。
テクノロジーに精通しており、東京オリンピック大会組織委員会ITアドバイザー、農林水産省農林水産研究所客員研究員、明治大学客員研究員にも就任。
ご当地イノベーションを提唱し、省庁、自治体などの外部コンサルタントとしても活躍。
事業実績 500 億円、独立後個人事業で 10 億円のビジネスを作り出す。
著書は「ひとり会社で6億稼ぐ仕事術」「予算獲得率100%の企画のプロが教える必ず通る資料作成」など。

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