- 配信日:2023.07.10
- 更新日:2024.07.01
オープンイノベーション Open with Linkers
技術動向:これまでの技術トレンドと2023年以降の注目技術
2022年の注目トレンド3:会社を介さないビジネス開発の勃興(ぼっこう)
近年さまざまな技術が発展したことで、企業の形態を取らなくとも、これまで企業がやってきたようなサービス・研究開発などができるようになってきたと感じています。
このようなサービス・技術の事例を紹介します。
DAO(自律分散組織)
DAO を大まかに説明すると、ブロックチェーン技術を活用することで国籍も年齢も性別も関係なく誰でも匿名で参加でき、その中で生み出した収益を分配したり、意思決定をしたりできるようになっているコミュニティのことです。
DAO ではウォレットを通じてお金(暗号通貨)のやり取りなどを行なっており、このウォレットは誰でも発行することができます。
世界中の誰とでも一緒に仕事ができるという意味で、 DAO はこれまでの企業とは一線を画すコミュニティ形態といえるでしょう。
DAO における意思決定は基本的に参加者による投票で行うのが一般的ですが、その方法で正しい意思決定ができるのかどうかは、まだ試行中の段階です。
1つ目の例は認知症予防を目的としたアルツハイマー研究プラットフォームです。世界中の研究者の知見を集めるのに役立つコミュニティが形成されています。認知症のような多くの人の知見が必要な研究テーマでもオンラインでつながり、研究を進めることが可能です。
2つ目の例はサプリメントが人間に及ぼす影響を研究するプラットフォームで、3つ目の例はライフサイエンス研究を行うプラットフォームです。こうした、特定の目的に特化したコミュニティがDAOにより実現されています。
生成系AI
文書やイラスト、バーチャルヒューマンの作成などこれまでは人間の専門性に依存していた作業を AI が行えるようになってきています。
「人間の専門職が AI に奪われる」という解釈もできる一方で、全ての専門職の人を揃えなくても個人や少人数でビジネス開発ができるようになってきていると解釈することもできます。
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2023年以降の注目技術
現在はまだ日の目を浴びていないものの、今後の成長を個人的に期待している技術を紹介します。
空間をコントロールする技術
リアルな空間において、特定の座標に局所的に触感や音、匂いを発生させる技術です。このような技術を使うことで、例えば会議室の中で特定の1人にのみ聞こえる音を出すなどユニークなテクノロジーの開発につながるのではないかと考えています。
1つ目の例は、超音波を空間の1カ所に集中させ触感を再現する技術です。2つ目の例も超音波を用いた技術ですが、直進する音波が混じり合った場所でのみ音が聞こえるというものです。
また、3つ目の例は超音波で空気の流れを作り、そこに匂い粒子を乗せて特定の方向に匂いを届ける技術です。
X to Earn サービス
環境に良い行動や好ましいアクションを取ることにインセンティブを付与する X to Earnサービスは、人間が普段行う行動にインセンティブを与えられるという観点において斬新で面白いと感じました。
ただ、そのインセンティブの原資に課題があり、既存ユーザーへ付与される暗号通貨は新規ユーザーの初期投資により賄(まかな)われている状況です。新規ユーザーが滞るとインセンティブの確保ができなくなってしまうため、別の方法での原資確保が必要といえるでしょう。
有名なのは、歩くことで暗号資産を獲得できる「 STEPN 」というアプリです。歩きでの移動を促すことで、バスや車などの利用を控え、地球の環境改善につなげることを主目的として掲げています。
他にもゴミ拾いに参加することで暗号通貨がもらえるサービスや、良質な睡眠を得ることで暗号通貨がもらえるサービスも提案されています。
最新技術 × 衛星データの可能性
最新技術と衛星データを組み合わせることで、新たな技術が生まれる可能性があるのではないかと考え、注目しています。
衛星はスマートフォンやテレビなどの通信を行うためだけのものではなく、森林面積の撮影や CO2 の撮影などさまざまなデータを獲得するためにも用いられます。このデータを民間企業や個人でも活用するケースが多く見られます。
このような衛星データとブロックチェーン、メタバース、サステナビリティなどを組み合わせることで新しい技術・ビジネスがすでに生まれ始めていると感じます。
1つ目の例は、カーボンニュートラルに取り組むプロジェクトに個人や企業が投資できるサービスです。例えば、森林を増やすための活動に投資した後、本当に森林が増えたのかチェックするために衛星データを活用するという仕組みを想定しているとのこと。
2つ目の例は、衛星データから得られる高画質な画像を使ってデジタル空間上に緻密(ちみつ)な都市を再現しようという技術です。衛星を使って得られた都市データをメタバース空間に適用することが目的です。
3つ目の例は、低コストで CO2 の濃度を測定できるセンサー技術を小型衛星に搭載することで、特定の工場付近の CO2 濃度などをピンポイントで測定できる技術です。これにより、工場単位でのCO2発生状況を正確に把握することが可能となります。
講演資料のダウンロードについて
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講演者紹介
浅野 佑策
リンカーズ株式会社 リサーチプラットフォーム事業本部 オープンイノベーション研究所長
【略歴】
東北大学工学部卒業( 2006 年)、東北大学大学院工学研究科修了( 2008 年)
株式会社東芝 生産技術センターにおいて半導体製造プロセスの研究開発に従事。
その後、アクセンチュア株式会社にて大手製造業における、工場デジタル化や業務自動化などのデジタルトランスフォーメーションを複数推進。
現職では、メーカーでの研究開発とコンサルティングの経験を活かして、エレクトロニクス領域を中心に、先端技術動向調査、技術マッチング、技術情報を効率的に収集するための技術開発など、製造業向けのイノベーション創出を支援している。
技術調査レポートのご案内
リンカーズでは、生体センシングやカーボンニュートラルなどのメガトレンドや、定番の CES2023、次世代モビリティなどの注目すべき技術分野について、ふかん的に動向を把握し、具体的な個別技術の抽出まで可能な技術レポートを各種ご用意しております。リンカーズの技術リサーチャーがグローバルの先端技術情報をピックアップし、専門家の目で情報を整理しているため、効率的な情報収集が可能です。
また、弊社にて厳選した、日経BP総研未来ラボ、NTTデータ経営研究所等が発行する各種レポートの販売も行っております。
オープンイノベーションを支援するリンカーズの各種サービス
◆「 Linkers Research 」サービス紹介ページ
Linkers Research は、貴社の業務目的に合わせたグローバル先端技術調査サービスです。各分野の専門家、構築したリサーチャネットワーク、独自技術DBを活用することで先端技術を「広く」かつ「深く」調査することが可能です。研究・技術パートナー探し、新規事業検討や R&D のテーマ検討のための技術ベンチマーク調査、出資先や提携先検討のための有力企業発掘など様々な目的でご利用いただけます。貴社が調査にかける手間や時間を短縮します。
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Linkers Sourcing は、全国の産業コーディネーター・中小企業ネットワークやリンカーズの独自データベースを活用して、貴社の技術課題を解決できる最適な技術パートナーを探索するサービスです。ものづくり業界の皆様が抱える、共同研究・共同開発、試作設計、プロセス改善、生産委託・量産委託、事業連携など様々なお悩みを、スピーディに解決へと導きます。
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Linkers Marketing は、貴社の技術・製品・サービスを、弊社独自の企業ネットワークに向けて紹介し、関心を持っていただいた企業様との面談機会を提供するサービスです。面談にいたらなかった企業についても、フィードバックコメントを可視化することにより、今後の営業・マーケティング活動の改善に繋げます。
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