• 配信日:2022.12.23
  • 更新日:2024.09.25

オープンイノベーション Open with Linkers

Web3ウェビナーレポート~各種産業で活用されるWeb3.0最新技術

2022 年 12 月2日開催のウェビナーでは、リンカーズが注目する、産業界で活用されている Web3( Web3.0 )関連技術を紹介しました。エネルギーやヘルスケアなど、さまざまな業界で既に実用化が進んでいます。
以下はセミナーでお話をした概要になりますが、セミナーで使用した講演資料を記事の最後の方で無料ダウンロードいただけますので、ぜひ本文と合わせてご覧ください。

◆目次

・WEB3.0とは~WEB2.0との違い
・WEB3関連技術の紹介~製造業での実用例
 ・1:WEB3技術「ブロックチェーン」
  ・サービス領域
  ・ヘルスケア / 医療領域
  ・差分プライバシー技術によるプライバシーの保護
  ・食品領域
  ・エネルギー領域
  ・ドローン / ロボット領域
  ・金融領域
 ・2:WEB3技術「 NFT(Non-Fungible Token)」
  ・保険領域
  ・秘密鍵管理によるセキュリティと利便性の両立
・まとめ
・Web3に関するその他レポートのご案内(より詳しく知りたい方にオススメ)

WEB3.0とは~WEB2.0との違い


インターネットは、第1世代のWeb1.0、第2世代のWeb2.0、第3世代のWeb3.0と、順に進化を遂げています。
WEB1.0 時代は個人が情報を発信できるようになった時代です。
WEB2.0 では情報の相互通信が行えるようになりました。WEB2.0 の現在のインターネットではさまざまなメガプラットフォーマーが生まれており、各種のプラットフォーマーが提供するサービスを用いて個人間や企業間でデータのやり取りを行っています。
ただこの場合、プラットフォーマーがあるユーザーに1つのサービスの使用を禁じると、ほかのすべてのサービスも使用できなくなる、というリスクがあります。
このリスクや個人情報をプラットフォーマーに把握、利用されるなど他の問題もあるため、インターネット上の活動をメガプラットフォーマーに頼り切るのは大きなリスクであると近年騒がれています。

Web3ウェビナーレポート~各種産業で活用されるWeb3.0最新技術

これらのリスクを避けるために、WEB2.0 の時代で行う企業の対策として、物理的には専用線を引いたり、仮想的には VPN で繋いだりといった方法があります。他にも、プライベートクラウドを使って機密データが公開されないようにしたり、セキュリティ面では他の企業がアクセスできないようにオンプレミスで社内や専用のデータセンターに自社のデータを保存したり、といったことが挙げられます。
ただ、これらは大きな初期投資が必要だったり、ランニングコストがかかり続けたりするといった問題もあり、個人や小規模事業者では実施が難しいのが現状です。そのため、便利なサービスが含まれるメガプラットフォーマーからいつ使用を止められるか、という不安が出てきているという問題があります。

Web3ウェビナーレポート~各種産業で活用されるWeb3.0最新技術

そこへの一つのアプローチとして WEB3.0 が登場しました。
コア技術として大きく取り上げられているのは「ブロックチェーン」です。
この技術では、ユーザー同士がプラットフォーマーを介すことなく、直接ネットワーク上でつながってそれぞれが自分のデータを管理します。
「誰がいつどのように取引したか」「何を行ったか」ということを、皆がそれぞれ相互にデータベースに書き込むことによって、たとえば自分のデータベースだけ修正しても、他のユーザーのデータ台帳には書かれていないから、それは改ざんされたデータですよ、ということが分かり、統合的に正しい記録が保証されます。このようなネットワークの特徴は、WEB3 では「分散処理」や「非中央圏的なサービス」というような呼ばれ方をされています。

WEB3関連技術の紹介~製造業での実用例


WEB3 は盛り上がりを見せているものの、どのように使用されるのか、実際の生活にどう役立つのかというところで考えると、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨(暗号資産)や、NFT などの投機的な動きとしては実用化が進んでいますが、製造業を含めたその他のビジネスでは WEB3 はあまり使われていないようなイメージがあるかもしれません。今回は、実際に各分野の事業において WEB3 関連技術がどのように使われているのかを事例で紹介します。

WEB3技術「ブロックチェーン」

サービス領域~透明性・対検閲性

ジャングルX株式会社は、ブロックチェーンを利用してスポーツファンが応援、投票、特典企画に参加するとともに、試合戦術まで発言できるプラットフォームを開発しています。
そのプラットフォームの中だけで使えるトークンを使って投票したり、戦術に意見を出したりして、それをチームや運営側が見て結果に応じて対応するというような技術が実用化されています。
このときブロックチェ―ンは必要ないのでは、と思われるかもしれませんが、もちろん使用される理由があります。それは、「投票結果が検閲されていない」「結果が全部反映されている」といった結果の透明性、改ざんされてないことをWeb上で証明できる点にあります。
透明性や対検閲性においてブロックチェーンは非常に重要な要素であり、このサービスはこれらのブロックチェーンのメリットを大きく生かした例になります。

ヘルスケア・医療領域~個人情報の管理

EpigenCareでは、肌や DNA に関するパーソナルデータをもとに AI によって最適な化粧品やスキンケア製品を提案するサービスをおこなっています。
分析キットを使って自身の肌や DNA の分析結果を手に入れたユーザーが、自分で情報を管理してどの会社にそれを使用していいのかを認可することができます。自分の情報が最終的に誰に、どのように使われたのかがブロックチェーン上に記録されることで、透明性を確保することができるというところがメリットになります。ブロックチェーンにおいてはエンドユーザー自身による個人情報の管理が非常に大きいメリットの一つとして数えられています。ヘルスケア・医療分野では上記のような個人情報・PDS の関連でもニーズが大きく、技術開発が進んでいます。
他の事例としては、中国のある病院では、ブロックチェーンを用いて個人データ、医療データ、処方箋、請求書の管理・電子マネーでの支払いも含めたトータルの医療ソリューション開発の取り組みを行いました。
個人情報も支払い関係も全部まとめて透明性を持つ形で管理するという取組は、エンドユーザーが安心でき、管理コストの削減という点でもメリットがあると考えられます。