• 配信日:2022.11.15
  • 更新日:2024.08.06

オープンイノベーション Open with Linkers

ステージゲート法で考えるオープンイノベーションの可能性~三菱ケミカル株式会社

ステージゲート法と外部連携(オープンイノベーション)の関係性


ステージゲート法で考えるオープンイノベーションの可能性~三菱ケミカル株式会社

私自身、ステージゲート法は研究開発のテーマを適切に進めるための手段だと考えています。すなわちテーマインキュベーションシステムの1つです。
そのときに、テーマの推進あるいは中止といった判断を素早く適切に進めていく必要があります。
また先述のとおり、未来の予測が難しくなり、商品のプロダクトライフサイクルも不確実な世の中になってきています。この中でいかに早く商品化して市場に出し、回収できるかを考えることも大切です。そのために「いかに早く」「商品が適切であるか」という視点でオープンイノベーションの可能性も考慮することが求められます。

ステージゲート法の進め方

ステージゲート法で考えるオープンイノベーションの可能性~三菱ケミカル株式会社

ステージゲート法は前半と後半で性格が大きく異なります。その理解をすることはもちろん、企業ごとのポリシーに応じた考え方を明確にし、そのポリシーに基づいて運用することが重要です。しかし「テーマキリングシステム」にしてはいけません。
私個人としては、ステージゲート法の前半で迷うことがあっても、少しでもいいから前進するために、素早く PoC を回した方がよいと考えています。
ステージゲート法を進めるには、まず前半の段階では多産多死をいとわず、後半では定量性を意識しながらどうやったら事業になるかという視点で議論を行なっていきます。
特に後半は開発段階に移行していくゲートであるため、曖昧さは極力排除し、市場に受け入れられない重大な問題がないかを多面的に確認することが大切になります。
このような議論の中でオープンイノベーションの可能性を考慮することも重要な視点です。

各ステージにおける外部連携(オープンイノベーション)の可能性


ステージゲート法で考えるオープンイノベーションの可能性~三菱ケミカル株式会社

ステージゲート法の各段階におけるオープンイノベーションの可能性を考えるために、まず、段階(ゲート)ごとの進め方のポイントをおさらいします。

  • Gate 1・2:ビジネスモデルの仮説を構築する
  • Gate 3:技術の客観的評価をする
  • Gate 4:事業化が必須になる段階で、あらゆる角度(市場軸、物流軸、品質保証軸など)から検討し、次のゲートに進めるよう問題点に対する解決策を提示する
  • Gate 5:事業をいかにして拡大できるかという視点で評価する

私の経験では、それぞれの段階でオープンイノベーションを活用できると考えています。

探索および研究ステージにおけるオープンイノベーションの可能性

ステージゲート法で考えるオープンイノベーションの可能性~三菱ケミカル株式会社

ビジネスモデルの仮説を構築する際、自社だけのリソースで調査するとアプローチできる分野が限られてしまいがちです。
例えば「マーケットの存在とそのマーケットのニーズ」を調べるのであれば、オープンイノベーションによって外部の視点を取り入れることでより深い考察ができるかもしれません。
特にこの調査は目標を決める段階に関わるため、研究開発において非常に重要な部分です。そのため、外部連携によって調査の精度を上げることが大切になります。
技術に関しても同じことがいえます。自社の技術を伸ばしていくことも重要ですが、他の技術も含めて「ソリューションを実現可能にすると考えられる技術は本当に存在しないのか」を多面的に確かめるために、オープンイノベーションを活用するという方法もあると思われます。

開発ステージにおける外部連携(オープンイノベーション)の可能性

ステージゲート法で考えるオープンイノベーションの可能性~三菱ケミカル株式会社

開発のステージでは、まず前のステージで見つけた技術が意味のあるものなのかを評価することが重要なポイントの1つになります。私の経験では、このときに担当者たちは「自分の技術には意味がある」という意見を出しますが、それは主観的なものです。客観的に見て意味があるのかどうかの評価は難しい傾向があります。
このような場合にオープンイノベーションを活用して客観的な視点から「目標に対して別のアプローチで達成する方法はないのか」「生産化を重視した技術は存在するのかどうか」などを評価すると、事業化の可能性を高められるのではないかと感じています。
また、例えば「品質管理・品質保証技術」を自社で補うのが難しそうであれば、外部に類する技術はないか調査しておくと、事業化を意識した客観的評価の精度を高めることができるでしょう。

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ステージゲート法で考えるオープンイノベーションの可能性~三菱ケミカル株式会社

Linkers Research(リンカーズリサーチ)サービスでは、グローバルな専門家ネットワークと独自のリサーチテクノロジーを駆使し、貴社の要望に合わせて、世界の技術動向を調査します。特定領域の深掘調査、競合企業の戦略分析など、目的に応じたカスタマイズの調査も可能です。

事業化ステージにおける外部連携(オープンイノベーション)の可能性

ステージゲート法で考えるオープンイノベーションの可能性~三菱ケミカル株式会社

事業化のステージに入ると実質的に商品は完成していると想定され、マーケティングの時点で考えていた市場以外へのアプローチを自社以外のリソースを使って検討できる可能性があります。このときに事業拡大をさまざまな角度から検討するためにオープンイノベーションを活用することが可能です。
しかし、オープンイノベーションを活用するうえでの懸念点に「自社の技術などが外部流出しないようどうやって守るのか」が挙げられると思います。
この懸念点を解消しつつオープンイノベーションを行うために重要なのは、競合他社との「競争力」の源泉が何かをしっかりと定義することです。その源泉さえ守れれば、事業拡大のために他の部分でオープンイノベーションを取り入れた戦略を考えることもできます。

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ステージゲート法で考えるオープンイノベーションの可能性~三菱ケミカル株式会社

Linkers Marketing (リンカーズマーケティング)サービスでは、
自社技術の仮説検証・ユーザー開拓をご支援します。
リンカーズ独自の企業ネットワークに向けて技術を紹介し、関心を持っていただいた企業様との面談機会を提供します。アプローチの難しい異業界にも効率的にご提案が可能です。

外部連携(オープンイノベーション)で客観的に評価し事業の成功率を高める


今回は、オープンイノベーションを活用することに対してポジティブな姿勢を示しました。その理由は、事業化において客観的評価がとても重要だからです。自社にはない視点を取り入れて評価することで、事業化の成功確率を高めることにつながります。
新規・既存問わず事業の継続性や新しい市場への展開を考える上で、さまざまな視点を取り入れることが大切です。
もちろん自社のリソースだけで事業化ができればベストですが、近年は自社だけでは対応が難しくなってきているため、オープンイノベーションを積極的に活用した戦略を立てることも効果的だと感じています。

講演者紹介

ステージゲート法で考えるオープンイノベーションの可能性~三菱ケミカル株式会社

宗像 基浩 氏

三菱ケミカル株式会社 R&D 変革本部 大阪研究所長

【略歴】
1994 年 京都大学大学院 工学研究科 石油化学専攻(現 物質エネルギー化学専攻)修士課程修了。
同年三菱化成(株)(現 三菱ケミカル(株))に入社後、ポリエステル樹脂の開発に従事。
米国の関係会社勤務を経て、2008 年 4 月 開発室グループマネジャー、2010 年 5 月 三菱樹脂(株)に出向し、研究開発の企画・管理を担当。
2012 年 4 月 新規事業部門の企画管理グループマネジャー。
その後、研究開発戦略および次世代事業企画のグループマネジャーを経て 2016 年 12 月 情電・デイスプレイ部門 ポリエステルフィルム開発センター長 。
2020年 4月より 三菱ケミカル(株) 大阪研究所長。

オープンイノベーションを支援するリンカーズの各種サービス

「 Linkers Research 」サービス紹介ページ
リンカーズのグローバルな専門家ネットワークや独自のリサーチテクノロジーを駆使し、貴社の要望に合わせて、世界の技術動向を調査します。調査領域は素材、素子、製品、ITシステム、AIアルゴリズムまで幅広く、日本を代表する大手メーカーを中心に90社以上から年間130件以上の調査支援実績があります。

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貴社の技術・製品・サービスを、弊社独自の企業ネットワークに向けて紹介し、関心を持っていただいた企業様との面談機会を提供します。面談にいたらなかった企業についても、フィードバックコメントを可視化することにより、今後の営業・マーケティング活動の改善に繋げます。

「Linkers Sourcing」サービス紹介ページ
Linkers Sourcing は、全国の産業コーディネーター・中小企業ネットワークやリンカーズの独自データベースを活用して、貴社の技術課題を解決できる最適な技術パートナーを探索するサービスです。ものづくり業界の皆様が抱える、共同研究・共同開発、試作設計、プロセス改善、生産委託・量産委託、事業連携など様々なお悩みを、スピーディに解決へと導きます。

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