• 配信日:2024.02.09
  • 更新日:2024.06.10

オープンイノベーション Open with Linkers

KDDIに学ぶオープンイノベーションの仕組みと成功のコツ

この記事は、リンカーズ株式会社が主催した Web セミナー『 KDDIが語る、スタートアップファーストによる共創〜オープンイノベーションの「これまで」と「これから」~』のお話を編集したものです。

KDDI株式会社 経営戦略本部 副本部長(地域共創担当)の江幡 智広(えばた ともひろ)様より、現代においてオープンイノベーションが必要とされる理由や、 KDDI でのオープンイノベーションに関わる取り組みについてお話しいただきました。

通信の大手企業である KDDI がどのようにオープンイノベーションに取り組んできたのか知りたい方は、ぜひお読みください。

KDDIの会社紹介


KDDIに学ぶオープンイノベーションの仕組みと成功のコツ

これまでに KDDI は、さまざまな企業と事業提携・資本提携を行ってきました。これらの提携を促進するため、社内でもKDDI ∞ LaboKDDI Open Innovation Fundを立ち上げ、インキュベーションの取り組みや、企業とパートナーシップを結ぶにあたっての投資をスピード感を持って進められるような体制づくりを行いました。また KDDI Regional Initiatives Fund では、地方創生に関わる企業への出資や事業連携を通じて地域活性化の活動を行っています。これらの実績を評価いただき、KDDI は「イノベーティブ大企業ランキング」で6年連続1位を受賞しています。

KDDI は、さまざまな会社との合併を経て今の形となった歴史があります。
事業の核は通信ですが、通信領域においては価格競争が激しく値下げが続いています。多くのユーザーがすでにスマートフォンなどを利用している現在、通信領域のみでの大幅な事業拡大は難しい状況です。そのため、通信に DX や金融、エネルギーなどの領域を組み合わせ、新しい事業を生み出しながら企業全体の売上のトップラインを伸ばしています。

KDDI は多数の領域においてグループ会社・子会社を抱えています。分野別に見ると、教育・エネルギー・エンターテイメント・コマース・金融・セキュリティコンサルなど。これらのグループ会社・子会社と共に成長し続けています。

KDDIがオープンイノベーションを始めるまでの取り組み


KDDIに学ぶオープンイノベーションの仕組みと成功のコツ

KDDI が外部の企業と提携するようになったのは、1999 年のモバイルインターネットがきっかけだと認識しています。現代において通信は空気のように当たり前の存在で、IoT の技術も進む中、至るところに通信が活用されています。通信の普及に伴い、インターネットを活用したサービスも急増しました。

KDDI が通信会社として、さまざまな領域のサービスに対してどのようにアプローチしてきたか。その軸になるのが「パーソナルID 」です。

KDDIに学ぶオープンイノベーションの仕組みと成功のコツ

通信の契約では、各個人の方とつながりを作ることになります。すでに日本全国でほとんどの方がパーソナルな形で通信の契約をいただいています。通信会社としては、このパーソナルID を作ることができたことこそが最大の強みで、これを通じて皆さんの生活に欠かせないサービスの提供に関わっています。

KDDI でも、パーソナルID による通信を中心としたプラットフォームを作ってきました。しかし、プラットフォームが形になったばかりの当時を振り返ると、既存の経済の中にどのようなサービスがあって、どういったものであれば IT や通信を活用し、これまで以上に価値創造できるのかを熟知しているメンバーはいませんでした。

プラットフォーマーとして活動するだけであれば、そのままでも良かったのですが、新しいサービスを検討しようとする中で、必然的にノウハウを持つ外部の方とのパートナーリングという手法に行き着きました。

KDDIに学ぶオープンイノベーションの仕組みと成功のコツ

パーソナル ID やお客様との接点となるプラットフォームを強みとするKDDIと、サービス・コンテンツを強みとして持つパートナーが手を取り合って、いつでもどこでもモバイルで使えるサービスを共に作ることを考え、活動してきました。

オープンイノベーションが注目される理由


KDDIに学ぶオープンイノベーションの仕組みと成功のコツ

一般的なイノベーションは、多くの企業が当たり前に実施している活動ではないかと思います。戦後の日本経済を牽引(けんいん)してきた製造業などにおいても、社内の人的なリソース、蓄えてきた資金、新しく作り上げてきた技術・ノウハウを結集しながら、より便利なものを作ってきました。それが新しいサービスやプロダクトという形になって世に浸透していく。このようなことを、これまで多くの企業が実行してきました。

また、自前主義という考え方もあると思います。自分たちが持つ力の中で、自社の力を集結させて世の中を変えていくという考え方です。自前主義もごく自然に行われてきたことでしょう。

KDDIに学ぶオープンイノベーションの仕組みと成功のコツ

一方オープンイノベーションは、自前のリソースやアセットを使いつつ、外部の方々のノウハウ・技術などとうまく連携させながら、掛け算で新しいサービスやプロダクトを生み出すことです。このオープンイノベーションを実践できている企業は少ないのが実態です。私たち KDDI 自身、まだまだ足りない部分があると感じているところです。

KDDIに学ぶオープンイノベーションの仕組みと成功のコツ

ハードルの高いオープンイノベーションが、昨今なぜ注目されているかというと、いくつかの理由があります。現代は「 VUCA の時代」といわれるように、未来が見通しづらく、小さな動きが様々なところで起きています。さらに情報発信・収集の仕組みも変化してきました。昔はマスと呼ばれる新聞・ラジオ・テレビなどが情報を発信し、個人は受け取ることしかできませんでした。個人が発信する情報は、リアルな場面での知人との会話などで、到底拡散されるものではなかったからです。しかし、現在は個人がインターネットを通じて世界の誰に対しても情報を届けることが可能です。インターネットの普及により、取り入れられる情報の量も増えました。このような大量の情報が動く中で、個人の価値観も多様化しています。マスメディアと呼ばれるものだけが情報をコントロールしているわけではなく、市場が変化するスピードも早く感じる、これが今の世の中の姿です。

昔は右にならえで、大量消費の時代だったのに対し、現代はニーズや期待がロングテール化しています。いわゆる大きなブームを作ることは簡単ではなく、何かを生み出す側からしても何がヒットするかは分からない難しい時代に入ってきました。それゆえに企業が世の中に対して新しいことをするにしても、スピード感が大切になってきます。このスピード感がポイントになるため、自分たちのアセットの中でリソースを活用してできることでも、数年かけて技術やノウハウを手に入れるのではなく、外部に該当するリソースやアセットを持っている方がいるのであれば、一緒に動いて素早く世の中に価値を届ける。小さくてもいいから試してみるということを考えるのが重視されるようになったことが、オープンイノベーションが注目されている理由です。

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