• 配信日:2022.01.04
  • 更新日:2022.07.13

オープンイノベーション Open with Linkers

オープンイノベーション事例 ~ 大阪ガスの成功事例を徹底解説 〜

オープンイノベーションの自前主義はやめる


ここまで説明しただけでもかなり手間がかかることがわかります。
これを実践することが果たして可能でしょうか?
つまりは、実現性を担保するにオープンイノベーションの自前主義はやめ、徹底的にオープンイノベーションの仲介会社を使いこなすべきです。

リンカーズには多様なプログラムがあります。それを知り尽くすことが大切です。
特に Linkers Sourcing というのは技術探索のプログラムではありますが、さまざまなシーンで使える可能性があるので、その可能性をきちんと見極めることも加えて重要と言えます。

オープンイノベーション事例 ~ 大阪ガスの成功事例を徹底解説 〜

他にもリンカーズは様々な役割をこなせる仲介会社のため、その役割を分析し、知り尽くすということが大切です。
どの場面に何のサービスを使うのかを徹底的に分析します。その上で「自分たちでやるべきこと、やれることはこれ」「膨大な手間のかかるところは仲介会社に頼む」という判断をするべきです。

大阪ガスでは年 1 回のイベントをリンカーズに依頼

2011 年の大阪ガスの話に戻ります。
当時の大阪ガスには常設のイノベーションハブのようなものはありませんでした。年に 1 回イベントを通じて協業先を見つける。技術を展示しながらニーズを公開して協業先を見つけるという形式をとっていたのです。
さらに、イベントフェアに併催という形で「オープン・イノベーション・カンファレンス」を行い、大阪ガス起点で日本にオープンイノベーションを盛り上げようという活動を毎年やっていました。

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これは 2012 年のイベントの様子です。
エネルギー事業部という一番大きな事業部を巻き込んで開催しました。様々な展示や、オープンイノベーションコーナーを設置するということを毎年行っていました。

オープンイノベーション事例 ~ 大阪ガスの成功事例を徹底解説 〜

こちらは 2012 年に開催したオープン・イノベーション・カンファレンスの詳細です。

2013 年には、東京で日本のオープンイノベーションを盛り上げるためにこのようなカンファレンスを大阪ガス主体でやりました。

しかし年に 1 回イベントをやるというのは相当な手間と費用がかかります。
それを引き取ってくれる仲介会社がリンカーズでした。 今では Web 展示会サービス「 TechMesse(テックメッセ) 」や、Webセミナー支援サービスの「TechMesse Academy(テックメッセアカデミー)」というサービスも持ってます。

このようなイベントを開催していたり、常設のハブを作ったりしている企業も、オープンイノベーションの自前主義はやめるべきです。もっとも強いパートナーを見つけ、場合によってはダイナミックに活用することで手間や費用の削減、実行のスピードアップ、そして成功率の向上につながります。

オープンイノベーションで上流から下流への全過程を実施


オープンイノベーション事例 ~ 大阪ガスの成功事例を徹底解説 〜

大阪ガスではオープンイノベーションの推進体制ということで、イノベーションの上流から下流までのプロセスを全てオープンイノベーションで進めるというプロセスを作りました。
ニーズの公開・保有する技術の公開というのは大阪ガスの大きな特徴で、ニーズと課題と強みを公開すると多くの外部組織が興味を抱いてくれます。
そして興味を持ってアライアンスパートナー、エージェントが提案してくれるというようなプロセスを作成しました。

その中でも、先にも軽く触れました大阪ガスのキャラバン活動というものがあります。これについてどんなことをやっているのかについて説明します。

大阪ガスの「キャラバン活動」で行っていたこと

2014 年を例に挙げます。
2013 年までは技術探索中心だったのが、 2014 年からは新規テーマ創出・保有する技術のビジネス化に時間を割くということで、技術探索をより効率的に実行してゆく必要がありました。
経営資源が限られているため、技術探索に多くの時間は取れません。しかし「ニーズの掘り起こし」「研究者・技術者との議論」「探索方針作り、社内情報の共有化の時間」これらを減らしたくないという思いがありました。
その時に必要だったのが、技術探索の過程をダイナミックに外部の仲介会社に依頼するということでした。そこで大阪ガスは 2014 年からリンカーズを活用し始めたということの背景となります。

2014 年度のオープンイノベーション活動の結果 68 件のニーズが集まり、効率のよいシーズの探索方法を工夫し、様々な外部パートナーと連携しながらアライアンスの提案増加が図れました。

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このようなことをキャラバンで報告しながら、さらに全社に対してオープンイノベーション室を活用してもらえるよう新規ニーズ・技術探索の募集もしていました。

オープンイノベーションの戦略/戦略的提携

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前述のキャラバンで、「研究者・技術者とどんなことを議論するのか」と聞かれるのですが、これはオープンイノベーションの戦略について話していました。

上のスライドの右側で、全体が 1 つの商品だとしたら、まずは徹底的にモジューラー化(技術の構造化)を実施して、大阪ガスのコア技術をどこに隠し持ち、従来のパートナーとの共同開発はこれでいいのかという議論をするのです。

赤の部分(技術ニーズ外部探索新パートナー)だけは新たなパートナーを見つけないと達成出来ない新規探索課題を見つけます。つまりニーズの掘り起こしを研究者・技術者と全体を議論しながら新パートナーを確定していくというような活動をしていました。

これからの時代は、内製では遅すぎる上、投資リスクが高いというデメリットがあります。一方、いきなり M&A (事業買収)をやっても失敗ばかりというリスクもあるのです。

まずは戦略的提携(言い換えるとオープンイノベーション)から入って必要に応じて M&A を行うべきでしょう。

オープンイノベーションの「見える化」の重要性


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戦略にもとづいて、オープンイノベーションの活動を進めてゆくのですが、その活動についてお話します。
2014 年の活動では、各組織(7 組織)の幹部会議(マネージャー会議)に私が出向いて報告しながら、その後チームグループ単位に 33 ヶ所で説明しニーズを募集しました。
ニーズが集まってきたらテーマレビューをしつつ研究者・技術者と探索方針の打ち合わせをして、合意を得てから方針を確定します。

いよいよシーズ探しが始まると、まず上期にテーマレビューを行い、結果のフォローを行いました。見つからないテーマについては探索方針についてニーズ担当者と合意を得て変更します。

「大阪ガスのオープンイノベーションの仕組みではどうしてもパートナーが見つからなかった。」「見つかっても提案数が少なかった。」「ならばリンカーズを仕組みに組み込むことによって提案数をもっと増やそう」という流れで進めつつ、ステップ管理を行いました。

ステップ 1 「オープンイノベーション室に外部から集まった技術の数」
ステップ 2 「社内に説明して紹介した数」
ステップ 3 「導入に向けて検討が始まった数」
ステップ 4 「アライアンスができた数」

このようなステップを毎年作成して、オープンイノベーションの「活動の見える化」を行います。

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2014 年度のステップ管理表を図に示します。これを提案者分類だけでなく、組織別チーム別ニーズ別にも作成して活動の見える化により、オープンイノベーションが動いているんだと経営者にも、ミドルにも、研究者にもわかるようにすることが非常に重要です。

オープンイノベーションの成果の「見える化」

オープンイノベーション事例 ~ 大阪ガスの成功事例を徹底解説 〜

オープンイノベーションの「活動の見える化」と同様に、「成果の見える化」が大切です。
私はアンゾフのマトリクスに則って、オープンイノベーションの成果の見える化をしてきました。まず始めたのが既存の技術に近しい技術を活用して、今ある大阪ガスの技術をなんとか効率的に商品化につなげることでした。