
- 配信日:2025.03.21
- 更新日:2025.03.26
オープンイノベーション Open with Linkers
ディープテック・スタートアップ150社を徹底分析!最新事例を紹介:AI・量子技術など
ディープテック・スタートアップ(ユニコーン企業)が研究する技術の具体例:各分野の注目企業を紹介
実際にどのような技術があるか見ていきます。
AI技術:使いやすさを追求した最新事例

AI は単純な作りではやっていけないということで、様々な AI が出てきています。1つの動向として、必ずしもユーザーみんながコンピュータに詳しいわけではないので、使いやすい AI を開発するという方向性かと見受けられます。
画像の一番左側の Sierra Technologies Inc. は、会話に特化した AI プラットフォームを提供しています。例えばカスタマーサポートセンターのような顧客と対話する機会がある部署でお客様の会話、あるいはサポート側の会話を処理してサービス時間の短縮、労力・コストの削減を可能にします。
Magic AI Inc. は長期記憶の AI モデルを開発しています。この企業の特徴は情報を与えているときに最大1億トークンのコンテキストに基づいて推察することができる点です。通常のモデルだとコンテキストのサイズに限界があるので、例えば複雑な文章や長い情報だと精度が下がってしまいます。しかしこのモデルは1億トークンなので、かなり長い情報を用いても精度の高い回答や推論が可能です。
Workato, Inc. はプラットフォームを提供しております。 AI の企業においてプラットフォームを提供するということは1つのトレンドになっています。クラウドに合わせてカスタマイズして AI を作るというのは非常に大変です。そのためボタンを押すことで利用者が自分で AI を搭載したソフトウェアを構築できるようなプラットフォームの提供が流行しています。こちらの企業の特徴としては、企業に一般的に導入されてるようなソフトウェアやクラウドアプリケーションとリンクして、簡単に自動化することができるプラットフォームを提供している点が挙げられます。
ブロックチェーン技術:ゲームやプラットフォーム分野での活用事例

こちらの画像はブロックチェーンの技術事例です。ブロックチェーンの特徴は機密性が高いということです。この特徴について金融業界だけでなくゲーム業界も非常に注目しています。
zkBridge Mainnet Alpha 社は Web3 向けのインフラプラットフォームを運営しています。暗号化に特化しているため非常に機密性が高く、様々なプラットフォームと連携しても機密性を維持したまま情報のやり取りが可能です。
Forte Labs Incは、ブロックチェーンを使ったゲーム開発企業です。ブロックチェーンとゲームの親和性が高い理由は、ゲームの中で資産運用や資産形成ができるからです。そのため実際にゲームの中でゲットしたアイテムなどを使って、そこにブロックチェーンをかますことであたかも本当の資産の取引ができます。
Alchemy Insights, Inc.は、ブロックチェーン技術を活用した開発者向けのプラットフォームを提供しています。ゲームに特化しているわけではなく、どのようなソフトウェアでもこのプラットフォームを使ってブロックチェーン技術を用いた信頼性の高い分散型のアプリケーションが開発可能です。
持続可能なエネルギー技術:バッテリーリサイクル、燃料生成技術

次は持続可能なエネルギー技術の紹介です。一時期エネルギーは多くのユニコーン企業が取り組んでいたのですが、そのほとんどが上梓してしまっています。そのため現在はバッテリーのほうがホットな領域となっています。ただし、未知の技術を用いたエネルギー生成に注視してる企業も残っています。
Prometheus Fuels, Inc.は、空気から燃料を作る技術に取り組んでいます。空気中の二酸化炭素を抽出し、電気化学反応を使ってエタノールや燃料のアルコールを生成します。その後さらに加工してエタノールやアルコールを使ったガソリンディーゼル燃料、それからジェット燃料を作るという技術です。こちらの技術は非常に効率が良く、まだ実用化には至っていないもののおそらく従来の石油燃料と同じ金額でガソリンが提供できるようになるとして期待されています。
Redwood Materials Inc. と Greatpower Technology Co., Ltd. はどちらも、バッテリーのリサイクルに力を入れてる企業です。Redwood Materials Inc.はテスラの共同創業者がキーマンとなってバッテリーのリサイクルを行っています。バッテリーを作る過程で生じるスクラップ、あるいは使用済みのバッテリーから金属を抽出して再利用しています。この技術でニッケル、コバルト、リチウム、銅などを大体 95% 以上回収可能ということで、回収した金属を使ってまたバッテリーを作るという循環型のサプライチェーンを回しています。
Greatpower Technology Co., Ltd. も使用済みのバッテリーからリチウム、ニッケル、コバルトを取り出す技術を開発しています。こちらの企業の技術ではニッケル、コバルト、銅、アルミニウム、グラファイトを 95 〜 98% 回収可能。リチウムに関しては 80% 回収可能とのことです。ユニコーン企業ではありますが、 BMW やフォードなど主要自動車メーカーと提携して使用済みバッテリーの回収とリサイクルを行っています。
AI と量子技術の融合:量子コンピュータの実用化に向けて

こちらの画像はコンピュータ技術の紹介です。量子コンピュータが注目されてからかなりの時間が経ちましたが、まだ実用化には至っていません。ただ、いくつかの企業では実用化に向けて着実に技術開発が進んでいます。量子コンピュータの一番のメリットは処理速度が非常に速いということなのですが、問題もあります。従来、超伝導の場合は低温を保たなければなりませんでした。それからイオントラップ方式というのもありますが、こちらも高温には耐えられません。しかし画像に提示している3社のうち、Xanadu Quantum Technologies Inc. と PsiQuantum, Corp. は光子を利用した量子コンピュータを開発しています。
Xanadu Quantum Technologies Inc. と PsiQuantum, Corp.の違いとしては、Xanadu Quantum Technologies Inc. は誰もが利用できる量子コンピュータを運営してます。クラウドベースで外部からプラットフォームにアクセスして量子コンピュータを使用可能です。
そして PsiQuantum, Corp. は量子コンピュータの量産化を目指しています。特徴としては既存の半導体製造インフラを使って、シリコンフォトニクス技術を用いた量子コンピュータを作ろうとしているのです。そして 2033 年までにシカゴにアメリカ最大の、 100 万量子ビットの施設の建設を予定しているとのこと。かつ従来の半導体のラインを使ってホトニクスのチップも大量生産する予定とのことです。まとめると Xanadu Quantum Technologies Inc. がクラウドベースで、自宅にある普通のコンピュータを使ってアクセスすることで量子コンピュータを使える技術を開発している企業。PsiQuantum, Corp. が実際に筐体を持つ量子コンピュータを製造している企業ということになります。
SB Technology, Inc. は量子コンピュータの特徴を活かしてライフサイエンスや金融サービス、サイバーセキュリティなどの分野で計算課題を解決するサービス型ソフトウェアを提供し、高度な量子アルゴリズムや特化型AIモデル設計を実現しています。
デジタルヘルスケア技術:在宅医療プラットフォーム

最後にヘルスケア領域の技術を紹介します。ヘルスケア領域もプラットフォームを提供する在宅医療というのが1つのキーワードになると思います。
Everly Health, Inc. と Wheel Health, Inc. はともに、在宅医療を可能とするヘルスケアのプラットフォームを提供しています。ただ、視点が異なります。まず Everly Health, Inc. は自宅にいながらネットで医療従事者に相談して治療を行えるというサービスです。特徴としては、在宅の診断キットの結果とネット上での医療従事者とのやり取りを通じて医療を行えるという点。
Wheel Health, Inc. の医療プラットフォームは少し切り口が変わっています。通常、医療用プラットフォームは患者さんの手間を省けるかに視点を置いているのですが、こちらは医療従事者側に視点を置いたプラットフォームです。医療従事者たちが好きな時間に働けるよう、医療従事者のネットワークと提携し、機械学習を用いて今の時間は誰なら対応できるかを探すプラットフォームとなっています。
PathAI, Inc. は AI とヘルスケアを組み合わせた技術を開発している企業です。がんに特化して病理診断の精度を上げ、その結果をもとに医療従事者のサポートを行うようなプラットフォームを提供しています。
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講演者紹介

久留 和成
株式会社リンカーズOI研究所 オープンイノベーション研究所 リサーチマネージャー 博士(医学)
【略歴】
九州大学大学院 医学研究科 博士課程修了。
2002年 日本宇宙フォーラム、2003 年 英国 Dundee 大学、2006 年 英国Imperial college London にて博士研究員、2010 年 佐賀大学医学部、2015 年 北海道大学歯学部にて生理学・薬理学分野の教員を務め、中枢神経領域における摂食調節・糖尿病研究に取り組む。
2022 年よりリンカーズ オープンイノベーション研究所に入社し、医学、ヘルスケア、バイオテクノロジー領域を中心に先端技術動向調査を行う。
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