• 配信日:2024.09.12
  • 更新日:2024.11.26

オープンイノベーション Open with Linkers

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

イノベーションを興すための8つの原理/原則


イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

ISO 56002 では、イノベーションを興すための8つの原理・原則が謳われています。

価値の実現

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

イノベーションは価値の実現であり、ヨーロッパではブランドも重要であると言われています。

未来志向のリーダー

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

イノベーションにはあらゆるレベルのリーダーが必要で「どんな未来を創りたいのか、どんな目的でイノベーション活動を行うのか」を示すことが重要です。

戦略的な方向性

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

イノベーション活動の戦略・方向性・スコープの確立と明文化・伝達が重要になります。

組織文化

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

組織文化は創造性と効率的な実行の共存と協調、多様性の重視が求められます。

洞察の追求

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

明示されたニーズとされていないニーズを獲得することが重要です。

不確実性のマネジメント

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

リスクを評価・分散し、機会の最大化とリスクの最小化を図ることが大切です。

柔軟性

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

イノベーション活動においてはピボット(方向転換)を柔軟に行うことが求められます。

システムアプローチ

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

ここまでの7つの原理・原則がシステムとして駆動することが求められます。

ISO56002各章の説明


ここからは ISO 56002 の各章を説明していきます。

4章の「組織の状況」

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

ISO 56002 の4章「組織の状況」では「外部環境・内部環境の論点をしっかり把握しながらイノベーションの意図、適用範囲を明確にしましょう」ということが示されています。さらに適用範囲を決定するためにさまざまな議論を重ねながら HOW (どのようなイノベーションを)、 WHO (どのような組織が)を決めることも大切です。

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

WHY (意図)、なぜイノベーションが必要なのかについては、イノベーションの戦略、イノベーションの目標、現場レベルではイニシアティブ、ビジョンとしてのイノベーションの構想、イノベーションの方針作り、これらが現場レベルまで伝わるということが大事です。ミドルやリーダーが翻訳して現場に伝え、現場のイノベーターと議論して現場のイノベーターに共感を生むことによって現場のイノベーターの行動変革を起こす。ここまでやらないと組織的なイノベーション活動にはなりません。それをどのような手法でやるか議論することが、JINのイノベーション加速支援プログラムです。

「組織の状況」のポイントは以下の3つ。

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

「組織の状況」のポイント:
1. 組織を取り巻く外部と内部の状況、そして内外の利害関係者のニーズや期待を常に理解しようとしているか
2. 独自のイノベーションの意図、構想を持ち、それに基づき、IMSの適用範囲を明確にしているか
3. イノベーションに望ましい組織文化の構築に努め、外との協働・コラボレーションのありかたを確立しているか

5章の「リーダーシップ」

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

続いて5章の「リーダーシップ」。価値の実現を理解し、ビジネスを創り、方針を描き、戦略を創る。トップマネジメントではなくミドルや現場のリーダーなどに求められます。ポイントは以下の通り。

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

「リーダーシップ」のポイント:
1. 機会とリスクのバランスや、失敗の許容度を示し、価値実現へのコミットメントを示しているか
2. イノベーションのビジョン、戦略、方針を確立し、組織の隅々に行き渡らせているか
3. イノベーションに関する組織の役割・責任・権限を明確に割り当て、組織内に浸透させているか

7章の「支援体制」

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

7章の「支援体制」も非常に重要。以下のポイントを担うのが支援体制の役割です。

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

「支援体制」のポイント:
1. IMS の支援体制には 12 の要素があり、相互に支え合って IMS を成り立たせること。経営資源の適切なタイミングでの投入が欠かせないこと。
2. イノベーション人材の大切さ(イノベーターの保護)
3. イノベーションに取り組む「時間」を確保すること
4. 知識を棚卸し、組織的に活かせる仕組みを持つこと
5. イノベーションしない財務リスクも考慮に入れ、財務資源を確保し、適切に投入すること

8章の「活動」

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

8章の「活動」のポイントは以下の通り。

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

「活動」のポイント:
1. 自社のイノベーション活動の計画には、十分な自由度と柔軟性があるか
2. 組織的なイノベーションのプロセスを確立し、高品質な試行錯誤を実施しているか
3. 自社のイノベーションプロセスは、柔軟で、非線形( non-linear )・反復的であるか

イノベーション活動5つのプロセスのポイント

4〜8章を踏まえ、イノベーション活動の各プロセスのポイントをまとめます。

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

イノベーション活動5つのプロセスのポイント:
1. 機会の特定:
明示されていない潜在的なニーズの重要性と、それらを優先順位付けすること

2. コンセプトの創造:
事業の構成要素を考慮に入れた初期ビジネスモデル(価値実現モデル)をきちんと検討すること

3. コンセプトの検証:
最も重要な不確実性、仮説、前提条件から検証活動を行い、 不確実性を許容可能なレベルまで低減すること

4. ソリューションの開発:
適度の自前主義に陥らず、必要に応じて外部との連携を柔軟に探ること

5. ソリューションの導入:
導入後に得られたフィードバックを基に、新たな機会を発見する活動をすること

さいごに


いくら伴走型のコンサル会社を利用しても、テーマが悪ければ、つまり「機会の特定」が間違っていたら失敗に向かって突き進みます。私はリンカーズと共に「機会の特定」プログラムを創って、既に何社かに提供して新たな価値を生み出す新規テーマ・新事業創造の支援を実施しています。「機会の特定」を行うには、まず分野の特定、そしてその分野のスタートアップの動向調査、ワークショップつまり議論を重ねながら自分たちがやるべき課題に優先順位をつけながらテーマを決めます。課題は何か、ソリューションは何か、どんなビジネスモデルで実現するか。世界にはこの3つをしっかり行い、明確化して事業創造しているスタートアップや大手・中堅企業が必ずあります。これらを探してやり方を学び、自分たちが取り組むべき課題を見つけること。これが機会の特定において最も有効です。

講演者紹介

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を解説~ISO56002/56000シリーズ~

松本 毅 氏
リンカーズ株式会社 オープンイノベーション・エバンジェリスト
(一般社団法人 Japan Innovation Network 常務理事)

【略歴】
1981 年に大阪ガス株式会社入社後、冷熱利用技術開発、凍結粉砕機開発、受託粉砕ビジネス立ち上げ、薄膜型ガスセンサーの研究開発、技術開発国家プロジェクト、燃料電池プロジェクト、水素エネルギー製造・貯蔵プロジェクト、 GTL・DME プロジェクトなどの立ち上げに従事。
大阪ガスの全社技術戦略の企画立案。海外との技術アライアンス戦略などを推進。
人事部で MOT(技術経営)スクールを設立し、教育事業を推進。
2008 年 9 月、技術戦略部 オープン・イノベーション担当部長、 2009 年 4 月、オープン・イノベーション室長。
2016 年 4 月より株式会社ナインシグマ・ジャパン ヴァイスプレジデント、 2019 年 3 月より一般社団法人Japan Innovation Network 常務理事に就任。
2020 年 11 月よりリンカーズ株式会社 オープンイノベーション・エバンジェリスト就任。

リンカーズのイノベーション支援について

リンカーズでは本講演者の松本 毅氏と連携して、「機会の特定」「コンセプトの創造」など、イノベーション活動の各プロセスにおけるプログラム支援をおこなっています。またリンカーズ単体でも、技術動向調査や、パートナー探索、技術の販路開拓(仮説検証)など、新規事業開発・事業推進のあらゆるフェーズでの課題をご支援可能なサービスをご用意しております。
課題をお持ちの方は、どのような状態、解像度でも構いませんので、ぜひリンカーズにご相談ください(ご相談は無料です)。

オープンイノベーションを支援するリンカーズの各種サービス

技術パートナーの探索には「 Linkers Sourcing(リンカーズソーシング)」
Linkers Sourcing は、全国の産業コーディネーター・中小企業ネットワークやリンカーズの独自データベースを活用して、貴社の技術課題を解決できる最適な技術パートナーを探索するサービスです。ものづくり業界の皆様が抱える、共同研究・共同開発、試作設計、プロセス改善、生産委託・量産委託、事業連携など様々なお悩みを、スピーディに解決へと導きます。

技術の販路開拓/ユーザー開拓には「 Linkers Marketing(リンカーズマーケティング)」
Linkers Marketing は、貴社の技術・製品・サービスを、弊社独自の企業ネットワークに向けて紹介し、関心を持っていただいた企業様との面談機会を提供するサービスです。面談にいたらなかった企業についても、フィードバックコメントが可視化されることにより、今後の営業・マーケティング活動の改善に繋げていただけます。

技術情報の収集には「 Linkers Research(リンカーズリサーチ)」
Linkers Research は、貴社の業務目的に合わせたグローバル先端技術調査サービスです。各分野の専門家、構築したリサーチャネットワーク、独自技術データベースを活用することで先端技術を「広く」かつ「深く」調査することが可能です。研究・技術パートナー探し、新規事業検討や R&D のテーマ検討のための技術ベンチマーク調査、出資先や提携先検討のための有力企業発掘など様々な目的でご利用いただけます。

オープンイノベーションの推進についてお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
「まだ方向性が決まっていない」
「今は情報収集段階で、将来的には検討したい」

など、具体的な相談でなくても構いません。
リンカーズが皆さまのお悩みや課題を伺い、今後の進め方を具体化するご支援をさせていただきます。

リンカーズはものづくり企業の方向けにさまざまな Web セミナーを開催しています。
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