• 配信日:2021.04.23
  • 更新日:2024.04.18

ものづくり マッチング事例

サントリーグローバルイノベーションセンター/オープンイノベーションは研究を前に進めていく

はじめに


サントリーグループの原点は、最高品質の商品やサービスを通じて、お客様の喜びや輝きに貢献することです。

その中で、「 サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社」は、サントリーグループの基盤技術研究を担う会社として2013年に創業されました。そこでは、研究を通じて「未来」のお客様にとっての価値創造をミッションとして掲げておられます。

今回は、サントリーグローバルイノベーションセンターにて、実際にオープンイノベーションを担当されている前川様にお話を伺いました。「Linkers Sourcing」を活用いただいた感想に加え、ご自身のキャリアを活かした各所連携のお話などは、社内の人材を活かしたオープンイノベーションの推進方法として参考になる事例かと思いますので、ぜひご覧ください。

■オープンイノベーションで「研究を前に進める」


日本の数ある会社の中でも、特にオープンイノベーションに積極的に取り組む会社であるサントリー。なぜ、サントリーはオープンイノベーションに取り組むのでしょうか。

「私たちサントリーが目指すのは、お客様に感動を与える商品を作ること。そのために、私たちは日夜知恵を絞らなければいけないわけですが、その『知恵を絞る』手段の1つとして、『オープンイノベーション』が存在しています。ですから、私たちは今後も積極的にオープンイノベーションに取り組んでゆきたいと思います」

そもそも、企業におけるオープンイノベーションは、自社以外の外部組織や研究機関などが持つ知見や技術を探索し、連携して新しい付加価値を創造するという考え方です。サントリーグループの基盤技術研究の担うサントリーグローバルイノベーションセンターにおいて、オープンイノベーションを推進することはどういう意味を持つのでしょうか。

「おっしゃる通り弊社はサントリーグループの基盤技術研究を担う会社です。昨今は、一つの専門領域で研究を前に進めていくのは難しくなっており、優れた外部組織や研究機関の皆さまとの連携は益々重要になっていくと考えています。私の仕事は、研究者たちと連携して、彼らの研究成果を最大化することです。ですから、オープンイノベーションの担当者として、絶えず外部の知恵が還流され続けている環境を作ることを意識しています」

サントリー 前川様

■オープンイノベーションに懸ける想い


前川様はもともと知的財産部門に所属されており、2015年に現在のオープンイノベーション部門に異動されています。自ら異動を希望したとのことですが、なぜオープンイノベーションに関心を持ったのでしょうか。

「大学院でMOT(技術経営)を学んでいた時、個人が生みだす成果よりもコラボレーションから生みだされる成果のほうが大きくなったことが定量的に証明されたという内容の論文を読みました。そこから、これまでとは違うイノベーションの起こし方に興味を持ち始めたことがきっかけです。

私は自動車業界から転職してサントリーに入社し、以来12年間、知財部に所属していました。そこでは、様々な外部機関との契約交渉を経験し、多くの研究成果を特許化してきました。知財部門の仕事は、研究成果を特許化することで、特許権という一定期間の技術独占権を得るもので、特許のある間は、ライバル企業の技術実施を抑制でき、その研究開発を遅らせることが可能となります。

ですから考え方によっては、知財部門の仕事は『ライバル企業をスローダウンさせる仕事』とも言えるわけです。

一方でオープンイノベーションは『自らの研究を前にすすめていく仕事』。同じ研究開発に関わる仕事でありながら、ライバルのスローダウンと自らのスピードアップと成果が真逆ということが、今の仕事に関心を持った理由の一つです」

サントリー 前川様

■社内コミュニケーションを大切にし、研究の現場を理解する


社内では、実際どのように課題を吸い上げているのでしょうか。

「研究者から相談されることが多いですが、活動をもっと広げたいので、こちらからの働きかけも重要視しています。社内の研究者たちと連携しコミュニケーションを積み重ねることで、信頼関係が構築できます。結果として、重要な相談を受けることができ、真の課題を吸い上げられるのだと思います」

オープンイノベーションで新しい付加価値を創造するには、大前提として外部機関と連携できなければなりません。サントリーに実現したい夢があるように、外部機関にも実現したい夢があります。前川様ご自身の経験を活かし、外部機関との連携成立に向けても、積極的に取り組まれているようです。

「サントリーと外部機関の実現したい夢が最初から一致していることは稀だと思います。ですから、私たちの夢を外部機関の方に理解いただかないといけませんし、私たちも外部機関の夢を理解しなければなりません。双方がWIN-WINとなる共創領域を見つけることが大切だと思います。そこでは、分かり易い説明を心掛けることも大切ですが、対話を重ねてお互いの想いを少しずつ擦り合わせてゆくことも重要です。幸いにも、私は知財部に長くいましたので、異分野の方に分かり易く技術説明するトレーニングを受けており、過去の経験が今に活かされていると思います。

そして、外部機関の夢を理解するには、活きた情報が必要であり、リンカーズ様にも随分と助けて頂いていると思います」

■「当たり」が見つかる安心感


今の部署に異動してしばらくして「リンカーズ」を知ったという前川様。きっかけはある書籍を読んだことだったそうです。

「現在の部署に異動して少しした頃、『ビジネスモデル全史』(三谷宏治著・ディスカヴァー・トゥエンティワン)という書籍を読み、そこでリンカーズ様が紹介されていたことがきっかけです。とはいえ、すぐにリンカーズ様を活用したわけではありません。自ら現場・現物を確かめなければ、活きた情報は手に入らないと考えていたからです」

実際に、リンカーズのシステムを利用した感想を教えて下さい。

「現場・現物確認が重要との信念は今も変わりませんが、そもそも連携先が見つからなければ何も始まりません。オープンイノベーションでは未知の業界の技術探索を行うことも多いので、リンカーズ様のシステムにトライしました。『Linkers Sourcing』では、バラエティに富んだ会社を多数紹介していただける点が便利だと思います。探索で40社を挙げてもらったとしたら、最低でもその中に1つは、連携先の有力な候補となる外部組織や研究機関がリストアップされていることが分かり、今に繋がっています。『当たり』が見つかる安心感があります。

とは言え、リンカーズ様に改善頂きたい点もあります。技術提案をして下さった外部組織や研究機関の皆さまに追加質問をさせて頂いても、聞いたことと異なる回答が返ってくることが多いです。弊社が聞きたいことを、より適切に外部組織や研究機関の皆さまに伝えて頂けるようになると、もっと『Linkers Sourcing』も進化すると思います。

世の中には、素晴らしい成果を出しながら埋もれてしまっている技術や人材が沢山存在していると思います。『Linkers Sourcing』は、普通に活動していたら出会えなかったパートナー同士が出会える可能性がある活動です。このため、埋もれた技術や人材にも、大きな活躍の機会を与える、意義ある活動だと思います。イノベーション活動を活性化するために、『Linkers Sourcing』をどんどん進化させていってほしいです」

サントリー 前川様

■Linkersの活用を検討されている方へのメッセージ


最後に『Linkers Sourcing』の利用を検討されている方へのメッセージを頂戴しました。

「技術探索が失敗に終わる可能性はもちろんゼロにはできませんが、事前に作戦会議を何度も行うことで、そのリスクは下げられると思います。その作戦会議に丁寧に応じて頂けるのがリンカーズ様です。研究のパートナー探しに困ったら、ぜひ積極的に『Linkers Sourcing』を活用してみてはいかがでしょうか」

今回はお忙しい中、貴重なお話を聞かせて頂き、誠にありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

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