
- 配信日:2025.10.09
- 更新日:2025.10.09
ものづくり マッチング事例
サーキュラーエコノミーへ:Linkers Sourcingで太陽光パネルリユース・リサイクルを推進
住友商事株式会社(以下、住友商事)では、総合リースSBU(Strategic Business Unit:戦略的事業部門)を中心に新規事業開発を積極的に推進しています。今回は、太陽光パネルのリユース・リサイクル事業を現場で推進する総合リースSBU 総括チーム の阿部様にインタビュー形式でお話を伺いました。さらに、アンケートを通じて、総括チーム長の森島様、事業企画チーム長の植野様、事業企画チーム 主任の竹村様からもコメントをいただきました。これらのコメントも踏まえ、ビジネスマッチングによるパートナー探索サービス「Linkers Sourcing」活用の背景と成果を多角的にご紹介します。
住友商事株式会社について
住友商事株式会社は、63か国・地域に127拠点を展開する総合商社です。鉄鋼、メディアなど9つのグループから構成されており、輸送機・建機グループに属する総合リースSBUでは、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)の主管・サポートを行うとともに、新規事業の開発も推進しています。近年は東南アジアを中心とした空港地上支援機材(GSE)のリース事業や、太陽光パネルのリユース・リサイクル事業を立ち上げ、循環型社会の実現に向けた取り組みを進めています。
背景と課題について

再生可能エネルギーの普及とともに、使用済み太陽光パネルの大量廃棄が社会課題となっています。しかし、同社内には太陽光パネルのリサイクルを専任で扱う部署が存在せず、業界は地域密着型の事業者が多く、参入障壁も高い状況でした。コンプライアンス上の懸念がある事業者も存在するため、適切なパートナー選定には慎重さが求められ、半年から1年をかけて自力で信頼できる企業を見つけ出すということは困難でした。
さらに、中国での新品太陽光パネルの大量生産による価格下落で、リユース(中古)太陽光パネルの価格優位性が消失。単純なリユース太陽光パネルの販売では成立が難しく、リユース太陽光パネルを活用した新たな製品創出が必要と住友商事は考えました。
Linkers Sourcingの2度の活用と成果

こうした背景から、住友商事様はLinkers Sourcingを2度にわたり活用されています。
1回目は、廃棄太陽光パネルを供給可能なパートナー探索を目的に実施。6社との面談が実現し、太陽光パネル引取につながるリレーション構築を進めるとともに、副次的な成果として「リパワリング技術(既存太陽光パネルを新品に交換し発電効率を高める技術)」の知見を得ました。この知見は、太陽光パネル回収のアプローチを「災害などによる破損太陽光パネル回収」から「リパワリングによる太陽光パネル更新需要の把握」へと方向転換させるきっかけとなり、より実効性の高い回収戦略を描くことが可能になりました。
この成果を受け、2回目はリユースパネルを用いた製品開発に向けたパートナー探索を依頼。13社との面談を経て2社とマッチングし、現在も1社と協働で製品化に向けた取り組みを進めています。この取り組みは、当初の費用対効果の期待値に合致した成果を得られています。
Linkers Sourcingを使うメリット、意義
今回の取り組みを現場で推進してきた阿部様は次のように語ります。
「専門のアドバイザーが知見に基づいて候補企業を選定・ショートリスト化してくれる点が利用の大きな決め手でした。候補企業との面談実施率も6割と高く、たとえ面談に至らなくても『なぜ不成立だったのか』という情報がマッチングシステム上に残るため、社内判断の材料として有効です。個人でコールドコール(新規開拓の電話)や社内ネットワークに頼るよりも費用対効果が良く、想定外のパートナー候補に出会える可能性が広がりました」
また、システムの操作感についても「UIがわかりやすく、初心者でも問題なく利用できた」と高評価をいただいています。一方で、募集要項の書き方によっては、対象外となる企業も含まれてしまうため、今後はさらに精度の高いスクリーニングが期待されています。
今後の展望
今後の展望については、阿部様は次のように語ります。
「リユースパネルを活用した製品開発の推進に加え、リサイクル後に残るマテリアル(ガラスやバックシート等)の有効活用先の探索にも取り組む予定です。」
事業企画チームの植野様・竹村様からもお話を伺いました。
「総合リースSBU全体としては、サーキュラーエコノミーに資する新規事業の開発を加速させており、その中で必要となるパートナー探索には引き続きLinkersの幅広いネットワークを活用したいと考えています。」

阿部様は最後にこう締めくくります。
「私たちのように限られたリソースで新規事業を立ち上げる際、Linkers Sourcingは効率的かつ有効な探索手段です。今後もパートナーシップを通じて、新しい循環型ビジネスの可能性を広げていきたいと思います」
まとめ
住友商事株式会社がLinkers Sourcingを活用した本事例は、使用済み太陽光パネルの廃棄という社会課題に対し、外部リソースを戦略的に活用して新たな事業機会を創出した好例といえるでしょう。
自社内だけでは見つけ出すことが困難だったパートナーを、専門アドバイザーの知見を通じて効率的に探索。1回目の活用で得られた副次的な知見が、より実効性の高い回収戦略へとつながり、2回目の活用でさらなる事業推進を可能にしました。
本事例は、循環型社会の実現に向けた挑戦において、外部との協業を成功させることで、事業の推進力と費用対効果を高めることができる、革新的な取り組みを示しています。
聞き手、文責:リンカーズ株式会社CMO 小林 裕
住友商事株式会社にてご利用いただいた、
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