- 配信日:2023.12.15
- 更新日:2024.07.18
シーズ技術の顧客開拓事例
ライセンスアウトから事業化まで~三菱電機のLinkers Marketing活用事例~
三菱電機株式会社知的財産渉外部による、技術販路開拓サービス「 Linkers Marketing 」の活用についてお話を伺いました 。
知的財産渉外部は、三菱電機内の豊富な技術資産を戦略的に活用し、新たなビジネス機会を創出する役割を担っています。その中核を成すのが、Open Technology Bank( OTB )です。OTB は、三菱電機が長年にわたって培ってきた技術を社外の異業種や市場に提供し、ライセンスアウトでの収益化や新たな事業機会を創出するための取り組みで、技術のより広い範囲での活用を目指しています。
今回は「 Linkers Marketing 」を実際のユーザーとして何度もご活用いただいている、田村 大生 氏(知的財産渉外部 技術資産活用グループ)、そして決裁者としての視点で片山 秀彦 氏(知的財産渉外部 部長)、藤本 夏郎 氏 (知的財産渉外部 技術資産活用グループマネージャー)の三名にお話を伺いました。
ーーはじめに「 Linkers Marketing 」の活用前に抱えていらっしゃった課題。つまり「 Linkers Marketing 」が解決すべき課題は何だったのかをお聞かせください。
田村氏:研究部門なり、事業部門としては自社の事業で技術を使うことが前提にあるので、他社様に技術に関する評価をしていただくという発想を持ちにくいものです。しかし知的財産渉外部としてはもっと社外にも知っていただく必要があると考えていました。
ーーではその必要があるとお考えになられた事に対して、「 Linkers Marketing 」のどのような点にご期待をいただいたのでしょうか。
田村氏:研究所から製品・サービス化を求められた技術があり、その実現のために社内外で本当にいろんな方法を探していました。ビジネスマッチングをされている事業者様は多くありましたが、その中でもリンカーズの「 Linkers Marketing 」は、
「ものづくりのビジネスマッチングに強い」
「購買の人だけじゃなくて、技術部門の方と直接話ができる」
などと評判で、当社が実施していきたいことと合致していると感じました。
もともと我々も他社の知財部門とのコネクションはありますが、技術を本当に欲している人が誰なのかを考えますと、やはり知財部門ではなくて、他社の技術部門の方になります。三菱電機としては多くの会社様との取引はありますが、その技術部門と直接話せる人(コネクション)、なおかつ特定の技術を紹介したい、なおかつ異業種に…となりますと、そこに適切なアカウントはないわけです。そこをご提供いただけることに期待しました。
ーー「 Linkers Marketing 」をいざ活用してみようとなった際に、決裁者としてはどのようなお考えをお持ちになられましたか。
片山氏:決裁ということでは、我々のような予算を持っている部門が適切に選定・判断し、しっかり予算を使うことがポイントになります。私どもでは協議しながら様々な決裁をしておりまして、その際にプッシュ型という形で積極的に探索できるネットワーク網があると田村さんから説明を受けまして、これは間違いないだろうとの判断でした。あと、承認しやすい理由として「ちょっとやってみてダメだったら成功報酬はなし」となる着手金と成功報酬が別になっている料金体系が良いと思いました。
藤本氏:まず初めは「どうなるかな?」という思いだったのが正直なところです。しかしリンカーズの担当者にいろいろ聞きながら、はじめの技術紹介シートの書き方だとか諸々サポートしていただいて、安心して 1 歩目を踏み出せたというところがありました。
ーーお話しいただいたマッチングのプロセスや、成果、請求内容の透明性は非常に重要だと考えております。また、どんなプロダクトでも使いこなしていただけなければ、価値が無いに等しいものですので、安心してご活用いただけるサービスをご提供できるようにこれからも尽力いたします。
さて、実際に「 Linkers Marketing 」をご利用いただいて、課題の解決につながる成果、期待した状態への変化などはございましたでしょうか。
藤本氏:今かなりの件数で使わせていただいていて、その中でしっかり成果がでている案件がありますので、期待通りです。
三菱電機は特許を 7 万件近く持っています。その技術に関してお客さんの生の声を聞くために「 Linkers Marketing 」を使い、特に大手を中心に効率的にダイレクトにつながりました。これが重要で、適切な窓口に対してダイレクトにつながれることは大きな魅力です。成果がでない場合も、その理由がちゃんとシステム上で可視化されています。
片山氏:むしろ成果が出なかった場合の情報から勉強になることがあります。こういう活動はトライ&エラーですし、全部が成功するとは元々思っていません。しかし「何が課題なんだろう」という思考につながる情報は価値となります。
田村氏:我々が元々想定していたやりたいことは十分に達成できました。想定以上に「製品として欲しい」とか「サービスとして提供して欲しい」というお声をいただけることもありましたので、直接技術の方のお話を聞けたというのはありがたかったです。例えば購買の方に対しては、製品や商品がないと話が出来ないこともあると思いますし、知財同士で話をすると、そのライセンス料はいくらなのかという話になってしまうと思います。そういう意味で技術部門と話をすることができたことのメリットは大きく、紹介した技術のポテンシャルをより多角的に見ることができ、事業化までも考えるきっかけになっています。
ーー特定技術の事業化というステージを最初から見据えて「 Linkers Marketing 」をご活用いただいたのでしょうか、それともライセンスアウトでの収益化を狙った反応から、そのステージを計画されたのでしょうか。
田村氏:後者の方が近いですね。最終的にできたらいいなという思いはありましたが、すぐ事業化の検討ができる段階に至るとは正直思ってはいませんでした。なので何回か「 Linkers Marketing 」を活用させていただいて、何ができるのかを試させていただいたところもあります。単に技術ライセンスぐらいで止まってしまう案件もありますし、要素技術などを出させていただくと事業化につながるような話も出てきました。なので事前に「 Linkers Marketing 」で紹介する技術の市場性(引き合いの強さ)については自社での見極めが必要であると感じています。
ーー「事前に紹介する技術の市場性の見極め」については、これは絶対いけると明確な判断が持てる場合もあれば、グレーなところで判断が難しいものもあると思います。そのような際はどのようにお考えになるのでしょうか。
田村氏:まさにそういう時に Linkers Marketing を使わせていただきたいと思う場面がありますね。「市場性があるのかどうか分からない」ですとか、「ここまで技術を詰めちゃうとニッチ過ぎるか?」とか、技術としてまだ柔らかい段階で市場の意見を聞きたいケースや、サプライチェーンのどこをターゲットにするかを検討するケースです。
例えば、直近で実施していた検査技術に関する案件では、サプライチェーンの中のどのレイヤーにニーズがあるのか分からないというケースで「 Linkers Marketing 」を使わせていただきました。「コンポジット(成形)をしている人なのか」「成形品を使っている人なのか」「それとも成形品の検査をしている人なのか」。各サプライチェーンの中の個社とお話をさせていただくことで、この辺の人達が使うんじゃないかという検討ができました。そのような使い方ができる点もありがたいです。
ーー引き合いを強めたいという場合と、リサーチ用途と、使い分けて活用しているわけですね。
田村氏:そうです。あとは絶対事業化できると見込んでいるような際でも、社内への説明のために「これだけいろんな会社様から引き合いをいただきました」というようなファクトとして使うこともあります。
ーー今のお話ですと、技術保管部門など他部署に対してリンカーズのマッチングの結果をフィードバックしたり、今後の展開の提案などを行ったりしていただいているのかと思います。リンカーズのサービスを使う前と後とで他部署との関係性、コミュニケーションの質などに変化はありましたでしょうか。
田村氏:非常に良くなったと思っております。実際に「 Linkers Marketing 」を使う際には我々だけでやっているわけではなくて、技術保管部門の担当技術者にも一緒に協力をしてもらっています。技術紹介シートも一緒に作っていますし、面談に出る際もその技術部門に直接出てきてもらっているので、コミュニケーション頻度も増しています。また、市場の生の声が聞けるため、「この技術をどのように生かせばいいか」「どのように改良していけばいいのか」などの着想が得られるメリットが技術者にもあるので、我々の活動に協力しやすくなっているのかと思います。
ーーでは最後に、今後の活用の仕方、展望をお聞かせください。
田村氏:いち担当者としては、非常にありがたいなと感じておりますので、今後も良い技術を生み出して、そのうえでリンカーズの協力を仰いでいきたいと思っております。また個人的には異業種に対する技術的なマーケティングの難しさを感じていますので、リンカーズのような広いマーケティング力を持っている、アカウントとのネットワークを多く持っている企業と一緒に、今後さらにその点を強化していきたいと考えています。
以上のように「 Linkers Marketing 」の活用に関してお話を伺いました。実際にご活用いただいているご担当者様、そして利用を決定された決裁者様、それぞれの立場のお話から、メリット・デメリットを非常に良くご理解いただいて効果的な活用をしていただいていると感じました。ビジネスマッチングはマッチング成果が一定でない無形生産財ですが、マッチングの成功だけを成果とせず、副次的な目的の設定や、結果から考えられる課題・仮説を次のアクションにつなげていくことなどは、数多くの案件実施から獲得された三菱電機様の知見に他なりません。私どもも今回紹介させていただいたお話のように、サービス紹介の資料に記載されていること以外の情報なども伝えさせていただくことで、「 Linkers Marketing 」の利用をご検討中の皆さまに有益な情報をご提供できればと考えております。
聞き手、文責:リンカーズ株式会社CMO 小林 裕
三菱電機株式会社の知財部門で何度もご利用いただいている、
「 Linkers Marketing 」サービスについてはこちら。
本サービスの詳細説明のほか、どのような課題をどのように解決できるのか分からないといった場合も、リンカーズの豊富なイノベーション支援実績の知見から、最適な課題解決のご提案をさせていただきますので、ぜひ以下の「本サービスに関するお問合せはこちら」からご相談ください。