- 配信日:2024.05.08
- 更新日:2024.08.28
オープンイノベーション Open with Linkers
生体センシング最新技術20選
ヘルスケア向け生体センシング2:新たな生体情報センシングとその応用
見守りを目的とした非接触型の生体センシング技術、これまで可視化が難しいとされていたストレスや感情のセンシング技術、そして呼気・汗・尿といった私たちが排泄するものを利用したセンシング、そして専門家しか計測ができなかった脳波や睡眠モニタリング技術などをまとめました。
Portabiles HealthCare Technologies の事例
ドイツの Portabiles HealthCare Technologies は、靴に取り付け可能なモーションセンサ「 Mobile Gatelab 」を開発しています。加速度信号とジャイロ(角速度)信号を取得して、足の動きを三次元の動きとして再構築することが可能です。そこから得られたデータは医師と共有することも可能です。高齢者や運動障害を有する方やリハビリが必要な方のモニタリングの利用を想定して開発が進められてきました。
Eli Science Inc. の事例
カナダの Eli Science Inc. は、ホルモンを測定するデバイス「 Eli 」と、その解析アプリを開発しました。唾液サンプルから女性ホルモンを測定可能です。女性が自身の健康状態を理解するうえで役に立つデバイスとなるでしょう。
Olive Diagnostics Ltd の事例
イスラエルの Olive Diagnostics Ltd は、光学センサを便座に装着することで排尿するごとに尿中の成分を分析可能にする「 Olive KG 」というデバイスを開発しました。便座に装着したデバイスは、 LED から放たれる広範囲な光 を尿に当てることで、スペクトルデータを取ることが可能です。得られたデータは機械学習にかけられて分析され、尿の成分をリアルタイムに検出することが可能になります。
S'UIMIN の事例
筑波大学の柳沢先生が設立した株式会社 S’UIMIN は「 InSomnograf 」というデバイスを開発しました。睡眠中の脳波測定を家庭でも可能にするデバイスです。これまで脳波測定は専門家のみが行えるものでしたが、家庭での使用が可能になることで、より身近なツールになると考えられます。
Sonde Health, Inc. の事例
アメリカの Sonde Health, Inc. は、声から呼吸器疾患を識別する技術「 Sonde Respiratory Fitness 」を開発しました。スマートフォンに吹き込んだ声から新型コロナに感染しているかどうか識別する、 AI 技術をベースにしたプラットフォームです。6秒間「ああ」という母音を吹き込むことで 70 % の精度で新型コロナに罹患(りかん)しているかどうか識別できます。
University of Cambridge の事例
イギリスの University of Cambridge は、お腹の音(腸音)をベルト型の電子聴診器で収集し、 AI の機械学習でクラスタリングすることでストレスと、非ストレスに分けることができたという報告を出しています。
三菱電機株式会社の事例
三菱電機株式会社は、感情・ストレスの可視化を可能にするバイタルセンサ「エモコアイ」を開発しました。マイクロ波から取得した心拍で、非接触で人の感情やストレスを可視化できます。「エモコアイ」を搭載し、人の気持ちを汲(く)み取って快適な温度に調整するエアコンも発売されています。とても小さいデバイスのため、家電などあらゆる機器に搭載可能です。
モビリティ/製造/建築/小売向けの生体センシング
自動車に関わる運転手の眠気のセンシング、同乗者のセンシング、自動運転に関わる人検知技術などが含まれています。その他に消費のパーソナライズ化、サブスクリプションにつながるような生体センシング技術などをまとめました。
Provizio Ltd. の事例
アイルランドの Provizio Ltd. は、 レーダーと信号処理アルゴリズムを組み合わせたイメージングシステム「 5D Perception on-the-edge 」を開発しています。このセンサを使うと3次元の空間情報に動き(速度と方向)を加えた5次元の情報感知が可能です。またデータをリアルタイムにエッジ処理することが可能なため、危険対応までの時間を大幅に削減できます。自動運転や歩行者の安全を守る技術として、期待が高まっています。
SMK 株式会社の事例
日本の SMK 株式会社は、人検知を可能にするミリ波レーダー「 Milweb 」を開発しました。3種類の周波数帯で人や物体の距離・移動速度・角度を計測します。またセンサと、データを解析するアルゴリズムが搭載されているため気軽に誰でも、すぐに使うことが可能です。ペットのセンシングや、児童用バス内の子ども置き去り防止に役立てられるとして期待されています。
JUKI の事例
日本の企業である JUKI は、居眠り運転警告装置「スリープバスター」を開発しました。運転席のシートの背もたれに体表脈波検知センサを搭載し、得られた脈波からドライバーの疲労や集中度を計測し、注意喚起を促す仕組みです。
Nauto, Inc. の事例
アメリカの Nauto, Inc. は、安全運転を支援することが可能な AI 搭載型ドライブレコーダー「 Nauto 」を開発しました。小型カメラとセンサを使ってドライバーの状態をモニタリングします。ドライバーの脇見運転やスマホの使用、眠気などの情報を収集し、その情報からドライバーの運転パターンも分析可能です。従来のドライブレコーダーは車外を撮影するのが基本でしたが、「 Nauto 」は車内外ともに撮影し、センシングします。
株式会社エモテック・ラボの事例
日本の株式会社エモテック・ラボは、非言語反応を、動画、画像、音声、テキストから精度良く捉えることのできる感情 AI 「 Kansei Driven Engine 」を開発しました。言語ではなく音のピッチやトーンなどノンバーバルな部分にどのような感情が含まれているのかを AI を使って解析し、可視化する技術です。特に日本人の感情表現にフィットした解析が可能と発表されています。メンタルヘルスケアや顧客サービスの品質向上にも寄与するでしょう。
Affectiva,Inc. の事例
アメリカの Affectiva,Inc. は、顔の動きや音声などから感情を読み取る、機械学習ベースのソフトウェア「 Emotion Al 」を開発しました。機械学習でノンバーバルなデータから、感情を可視化します。 90 カ国に及ぶ膨大な量の多様なデータを学習させているため、より広い範囲で活用可能とされています。
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講演者紹介
渡辺 彩子
リンカーズ株式会社 オープンイノベーション 研究所 リサーチマネージャー 博士(農学)
名古屋大学大学院 生命農学研究科 博士課程修了。2021年 藤田医科大学 消化器内科にて博士研究員を務め、消化器系疾病と腸内細菌叢の研究に取り組む。2023 年よりリンカーズ オープンイノベーション研究所に入社し、医学、ヘルスケア、バイオテクノロジー領域を中心に先端技術動向調査を行う。
喜多村 悦至
リンカーズ株式会社 リサーチプラットフォーム事業本部 オープンイノベーション研究所 シニアリサーチフェロー 博士(農学)
東北大学加齢医学研究所研究員。 鹿児島大学大学院 連合農学研究科 生物利用科学専攻 博士課程修了。
2003 年英国 Dundee 大学 Life Sciences 学部 博士研究員、2011 年同学部 Senior research associate、2017 年熊本大学発生医学研究所教員を務め、DNA 複製機構や染色体均等分配機構の研究、解明に取り組む。2018 年よりリンカーズ オープンイノベーション研究所に入社し、アカデミアバックグランドを活かして、バイオテクノロジー領域を中心に先端技術動向調査、産学連携促進活動など、製造業向けの技術マッチング活動を支援している。
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