- 配信日:2023.08.24
- 更新日:2024.09.24
オープンイノベーション Open with Linkers
次世代モビリティの最新技術〜MaaS・自動運転・HMI〜
車内体験/HMIの例
近年では、車内体験や HMI ( Human Machine Interface の略称。人が手足の動きなどを通して機械の操作などできること)を向上する取り組みとして、ChatGPT を AI アシスタントに取り入れる動きがあります。車向けの Gooogle Home や Alexa といえばイメージしやすいでしょう。
自動車向けAIアシスタント技術
Mercedes-Benz は、ChatGPT を導入した AI アシスタント技術を開発、試験搭載することを発表しました。 Daimler AG や BMW も同じような動きが見られています。
従来のチャットボットでは、あらかじめ決められたタスクや情報を返すなど、音声検索に近い機能でした。それに対し ChatGPT は声に対するリアクションや回答の仕方、回答の組み合わせなど、ユーザーの困り事に寄り添ったコメントなど、実際の会話に近い柔軟な対応が可能となります。
今後、ChatGPT に限らず大規模言語システムが AI アシスタントに搭載されることはほぼ間違いないと言えるでしょう。
自動車内での新しいタッチセンサ技術
UltraSense Systems では、コインよりもはるかに小さいチップを取り付けた箇所がタッチセンサとなる技術を開発しました。例えば車のドアや机にチップを貼り付けると、そこに触ったときの振動をチップが読み取ります。これにより、車のドアを触った、ハンドルを握ったなどの操作を簡単に検知できます。
Forciot Ltd. は、伸張性・柔軟性のあるセンサシートを開発しています。また、 Canatu Oy では透明で導電性のあるナノカーボンフィルムを用いて、立体的な表面も形成可能なタッチセンサを開発・販売しています。車のダッシュボードや凹凸があるところでも貼り付けられるため、非常に注目されている技術です。
空中でのジェスチャーを認識する技術
次に、空中でのジェスチャーをセンシングする技術を紹介します。
人が触らなくともカメラやレーダーが動きをセンシングしてくれる技術が多く発表されています。例えば、 PMD technologies では、3D Time-of-Flight センサーチップを開発しています。これは、レーダー技術を用いることで人の手の動きを非接触でセンシングし、それによって例えばエアコンなどの操作ができるようになります。
株式会社ユニテックでは空中タッチディスプレイシステムを開発しました。映像自体が浮かんで見える特殊なディスプレイを用いており、その空間上に浮かんだ映像に手が触れたことを距離センサで非接触センシングし、操作することが可能です。
アルプスアルパイン株式会社では、別のセンシング原理を用いて空中に浮かんだ映像上のボタンをタップできる機能を開発しています。スマートフォンなどの指のタッチでも使われている高感度静電容量検出技術を高精度・高感度にすることで、指が触れずとも検知できる仕組みです。
こうしたジェスチャー認識や非接触での操作が、自動車のユーザーインターフェースに搭載されることで、直感的な手の動きで様々な操作が可能になると期待されます。
フロントガラスに情報を投影するヘッドアップディスプレイ技術
近年、AR 技術を使って、フロントガラスに様々なナビゲーション情報を表示する、ヘッドアップディスプレイを開発する企業も増えています。従来でもカーナビ・スマートフォンを使って外の映像と合成して情報表示を行う製品がありますが、フロントガラスとは異なる場所にデバイスが配置されているため、使い勝手がよくないという課題がありました。
ヘッドアップディスプレイでは、フロントガラスに直接半透明の表示を立体的に投影できるため、運転者は視線を動かすことなく、速度制限や対向車などの確認が可能です。
次世代の車内静音技術
最後に、次世代の車内騒音技術を紹介します。
自動運転のレベルが4(高度運転自動化:一定条件下で自動運転システムが全ての運転操作を行えること)や5(完全運転自動化:免許いらずの自由な運転を可能にする)に達すると、車の中は移動空間ではなく、エンターテイメントやコミュニケーションを楽しむ場としての意味合いが大きくなると考えられます。そのため、外音をどれだけ小さくするかが重要な要素となってきます。
東海大学と University of Technology Sydney は、イヤホンで既に実用化されているノイズキャンセリング機能を車内にも導入し、外の雑音などを判定して消すことに取り組んでいます。
Trinity College Dublin では、メタマテリアルという音の波長と同程度の周期的構造を作り、狙った波長の音を選択的に低減するといった仕組みを採用しています。
特に、小型車両はもともとの体積が小さいために防音材や防振構造を組み込みづらく、こうした新しいテクノロジーを用いた騒音対策が適用されることが期待されています。
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講演者紹介
浅野 佑策
リンカーズ株式会社 リサーチプラットフォーム事業本部 オープンイノベーション研究所
【略歴】
東北大学工学部卒業( 2006 年)、東北大学大学院工学研究科修了( 2008 年)
株式会社東芝 生産技術センターにおいて半導体製造プロセスの研究開発に従事。
その後、アクセンチュア株式会社にて大手製造業における、工場デジタル化や業務自動化などのデジタルトランスフォーメーションを複数推進。
現職では、メーカーでの研究開発とコンサルティングの経験を活かして、エレクトロニクス領域を中心に、先端技術動向調査、技術マッチング、技術情報を効率的に収集するための技術開発など、製造業向けのイノベーション創出を支援している。
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