- 配信日:2023.07.31
- 更新日:2024.07.01
オープンイノベーション Open with Linkers
アグリテックの事例~世界が直面する「食」の課題~
アグリテック事例6:Netafil
Netafil という企業では、畑に水を撒く(まく)際のホースとしてスマートな灌漑 *(かんがい)システムと農業ソリューションを提供しています。水の効率的な量は海外において非常に重要なことで、バルブを上手く調整することで水の量、肥料の量を効率化することに活用されています。気象データと連動し、水の量を最適化することが可能です。
さらに農作物の根元に水を供給することで水の消費量を抑えながら成長を促進させる技術も開発しています。
*灌漑=外部から農地へ水を人工的に供給すること。
アグリテック事例7:BioBee
BioBee という企業は、植物の受粉の方法を提供しています。その方法は、ミツバチを飼育し、ミツバチがきちんと受粉に貢献する環境を整えていくというものです。ミツバチを管理するためのモニタリングシステムを所有しており、健康状態や活動パターンを監視して農業における受粉活動、生態系のバランスをサポートしています。
革新的なセンサーテクノロジーを使用し、ミツバチの鳴き声や振動、温度などのデータを収集。さらに画像の右下にあるように、他の生物を使って害虫を駆除するということもやっています。 BioBee は生態系を上手くコントロールしながら植物が育ちやすい環境を作っているのです。
アグリテック事例8:Mootral
Mootral という企業は、温室効果ガスの排出量を削減するためのソリューションを展開しています。家畜の飼料の中にある特殊な飼料が混ぜ込まれており、それを牛に与えることで、ゲップに含まれる温室効果ガスが減少するというものです。
さらに温室効果ガスが減少したことを計測できるようなシステムも展開しています。
アグリテック事例9:Biome Makers
Biome Makers という企業は、土壌の健康状態や植物の成長予測を、土壌を分析することで導き出していくというものです。土壌の高度な解析技術を保有していて、微生物の状況から土壌、植物の状態を把握するというサービスを展開しています。
土壌を分析後、改善が必要な場合はアクションプランとそれに必要なものがキットとして送付され、農業従事者は土壌の状況把握・改善が簡単に行えます。
アグリテック事例10:Augmenta
Augmenta という企業は、農業器具にデバイスを接続して、その器具を使う際にデバイスで畑をスキャニングするサービスを提供しています。スキャニングにより農作物の成長状況や農地の状態をリアルタイムでモニタリング可能です。
さらに、 AI と組み合わせることで水や肥料の量が最適なのか分析し、農家の意思決定をサポートする機能も搭載しています。データを自動で蓄積し、 AI が意思決定のサポートをしてくれるため、新しいツールを使いこなすための手間を削減できる点が大きなメリットです。
アグリテック事例11:Agriledger
Agriledger という企業は、農業業界向けのブロックチェーンを活用したソリューションを展開しています。農作物のトレーサビリティと透明性というのは非常に重要で、生産から流通までの過程がブロックチェーンでしっかり記憶されているので、情報の改ざんなどといった不正を予防することが可能です。
さらに、ブロックチェーンを活用することで農作物の取引や支払いを効率化。中間業者を排除していき、農家と消費者の間で直接取引が行われるようになり、公平な価値と分配が実現できます。これにより農家はより高い利益を得ることが可能です。
【関連記事】
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アグリテック事例12:Straider
Straider という企業は、農作物への虫の食いつき状態を管理するプラットフォームを提供しています。さまざまなセンサーでデータを読み取って、どういった害虫駆除方法を採用すれば良いのか、気温・湿度・降雨量などどういう条件で病気が発生しやすいのかなどをアラートで教えてくれます。
アグリテック事例13:Ynsect
Ynsect という企業は、昆虫養殖を行っています。日本でも昆虫養殖を行う企業がありますが、 Ynsect の違いは画像にあるように工場で大量生産して昆虫養殖のコストを限りなく下げているという点です。
日本と異なり、人が食べるものを作るというよりは、飼料や肥料の作成を目的に昆虫養殖を行っています。
今後注目のアグリテック領域
今後注目のアグリテックとしては、上の画像にある領域がさらに発展していくと考えています。
なぜ世界で一気にアグリテックが進み、 IoT やスマートファーミング * などの技術が発展しているかというと、大手の IT 企業が出資をしているためです。
たとえば Tencent はフードテックへの出資数が 48 社、ソフトバンクは 38 社で、フードテック・アグリテックの領域でソフトバンクは 6.5 兆円の投資をしています。
他の企業を見ても数兆円単位の投資をしている状態のため、 IT 企業はアグリテック・フードテックにかなり力を入れているといえます。
現在、食は非常に危機的な状況にあります。1社だけの取り組みで世界の状況を変えることは難しいため、国や自治体、複数の民間企業が一緒になることでの課題解決が必須です。ぜひ、みなさんと協力して課題の解決が出来ればと考えています。
*スマートファーミング=ロボットや AI などの先端技術を活用した農業。
講演者紹介
大野 泰敬 氏
株式会社スペックホルダー 代表取締役社長 / 農林水産省 農林水産研究所 客員研究員
【略歴】
複数企業を経営する事業家兼投資家。
ラジオNIKKEIの情報番組「ソウミラ」、FM 軽井沢など人気 FM ビジネス情報発信ラジオ5番組のメインパーソナリティを務める。
ソフトバンク株式会社で新規事業などを担当した後、CCC で新規事業に従事。
2008 年にソフトバンクに復帰し、当時日本初上陸の iPhone のマーケティングを担当し、シェア拡大に貢献。
独立後は、企業の事業戦略、戦術策定、M&A、資金調達などを手がけ、大手企業 14 社をサポート。
テクノロジーに精通しており、東京オリンピック大会組織委員会ITアドバイザー、農林水産省農林水産研究所客員研究員、明治大学客員研究員にも就任。
ご当地イノベーションを提唱し、省庁、自治体などの外部コンサルタントとしても活躍。
事業実績 500 億円、独立後個人事業で 10 億円のビジネスを作り出す。
著書は「ひとり会社で6億稼ぐ仕事術」「予算獲得率100%の企画のプロが教える必ず通る資料作成」など。
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