• 配信日:2023.06.09
  • 更新日:2024.07.01

オープンイノベーション Open with Linkers

技術戦略と技術価値評価の関係性〜経営戦略と一体化したアプローチ〜

この記事は、リンカーズ株式会社が主催した Web セミナー『テクノロジープラットフォームと技術価値評価を学ぶ~経営・研究管理部門様向け講演~』のお話を編集したものです。

マグナリープ株式会社 代表取締役社長および、一般社団法人 新技術応用推進基盤 代表理事の谷村 勇平(たにむら ゆうへい)様に、「技術戦略推進に必要なテクノロジープラットフォームと技術価値評価」というテーマでお話しいただきました。

技術戦略に興味のある方や、研究企画/経営管理/新規事業開発に携わる方は、ぜひご覧ください。

技術戦略が求められる時代


技術戦略と技術価値評価の関係性〜経営戦略と一体化したアプローチ〜

まず、技術戦略とは何かについて考えていきたいと思います。技術戦略とは「経営において、長期的に競争力を確立する分野を決定すること」です。これは当団体(一般社団法人 新技術応用推進基盤)の定義ですが、モノづくり産業など、技術開発が競争力の源泉となる産業にとっては、納得感ある表現なのではないかと思っております。
逆に、技術開発以外の要素が重要となる産業ではまた違った表現となりましょうが、今回のウェビナーでは、こうしたモノづくり産業における技術戦略であることを前提としてお話しできればと思います。

モノづくり産業の技術戦略を別の言葉で表現するなら「どのような製品をいつリリースするかを決定すること」となります。これは経営戦略そのものに直結する事柄とも言え、モノづくり産業にとって技術戦略とは、経営戦略と一体となって考えるべきものであるとも言えるでしょう。

なぜ技術戦略が必要なのか


このような技術戦略は、そもそもなぜ必要になるのでしょうか。自然体でやりたいと思ったものから開発し、開発ができたものから順にリリースしていくのではいけないのでしょうか。この回答として、まず技術のすそ野の広がりに対して投資資金は極めて少ないという現実を前提に行動しなければならないことがあるでしょう。

OECD (経済協力開発機構)の統計によれば日本全体の R&D 投資費用は約 19 兆円と言われており、この金額そのものは十分に巨額であるとも言えます。しかし、 OECD 加盟国全体の R&D 費用は 200 兆円ほどであり、日本のそれは全体の約 10 % 程度にすぎません。単純に金額に比例させて言及するなら、人類全体で着手している様々な研究テーマのうち日本国内でカバーできるのは 10% 程ということになりますので、世界で注目されているからと言って何でもかんでも手を出していたらすぐに資金が枯渇するというのはわかるかと思います。

前提として、そもそも人類が持つリソースは限られており、技術的な広がりに対して投資することができる領域は限られているのが現実です。一つの私企業ができる範囲となればなおさら可能な範囲は限られますし、企業目的が自社の生存確保である以上、この目的に沿う技術を優先して選択する必要性に迫られることになります。技術を開発する領域を戦略的に選択することが求められるのです。

環境の変化がより強く「技術戦略」を求める


こうした前提のもと、もとより技術戦略は経営にとって非常に重要な要素でありました。しかし近年の市場環境変化は、さらに技術戦略への期待値を高めていっていると考えています。

まず、特に重厚長大なモノづくり系企業、つまり素材・重機・大型機械といった比較的に日本が強いとされている産業において顕著ですが、プロダクトのライフサイクルがどんどん短くなっています。

上記のような産業において、昔は1つヒット商品が生まれれば 10 ~ 15 年売れ続けるというライフサイクルであったため、研究開発も同様の時間軸で見ていました。つまり 10 〜 15 年のうちに何かヒット製品を作れればよいという時間軸で中長期の研究企画を立てることが許されていたように思います。しかし近年は製品の移り変わりが激しく、 3 ~ 5 年のような短いサイクルで売れ筋の製品が変化してしまいます。結果、研究開発としても短いサイクルでヒット商品を生み出し続ける必要が出てきてしまいました。同じ「長期的」という表現をしても、昔と今ではその時間軸の実態が変わってきているのです。

10 ~ 15 年という長い時間があれば、顧客と共に研究実務を試行錯誤する中で最終的にニーズに沿った製品としてまとめていくこともできました。一方で3〜5年で仕上げる必要があるとなると、研究テーマ設定の段階でより確度の高い企画がなされねばすぐに行き詰ってしまうでしょう。その意味で、製品の移り変わりが激しい業界ほど技術戦略の重要性が増すと思います。

加えて、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)やオープンイノベーションといった世界が活発化して時間が経ち、成熟してきていることも重要な環境変化になっています。これらの取引件数や投資金額は右肩上がりの状況であり、シーズ段階での技術の売り買いといったものも一般化してきたように感じられます。

ある技術を手に入れたいと考えたとき、以前ならばゼロから社内で技術・製品を開発するのが唯一の手法論でしたが、「技術の手に入れ方」の選択肢が広くなったということです。

例えば「戦略的にこういう製品を作りたい」「このタイミングで売り出したい」と考えていても、ゼロから社内開発するのでは実現性がないという場合はあるかと思います。この場合、以前であれば開発を諦めるかタイミングを諦めるしかなかったと思います。しかし技術を売り買いするという選択肢を得たことにより、上記の場合でも資金を出す事で実現性を得ることもできるようになりました。「現在の自社技術水準」という制約が緩まり、経営として考えられる技術戦略の幅が広がったことで、改めて技術戦略を考え直すニーズも広がったといえるでしょう。

こうした背景もあり、「技術を戦略的に開発すること」の重要性は、2020 年代においてさらに高まっていると考えています。(次のページに続く)

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