• 配信日:2023.06.02
  • 更新日:2024.07.01

オープンイノベーション Open with Linkers

イノベーション人材を育てる組織のあり方/人材育成の考え方

この記事は、リンカーズ株式会社が主催した Web セミナー『イノベーションを起こす組織の作り方と人材育成の考え方』のお話を編集したものです。

書籍の要約サイト「 flier(フライヤー)」を運営する、株式会社フライヤー CEO の大賀 康史(おおが やすし)様に、自律的に学び続ける組織の作り方と人材育成の考え方というテーマでお話しいただきました。

イノベーションを生み出す組織作りに興味のある方は、ぜひご覧ください。

組織を取り巻く環境変化のスピード


ビジネスにおける環境については働き方や業務環境、価値観、組織、そして人材育成の5つに分解して考えていきましょう。

ビジネス、ひいては企業などの組織を取り巻く環境は目覚ましいスピードで変化しています。直近では ChatGPT が注目され、 AI の進化が顕著(けんちょ)に現れている状況です。それ以前と比較しても環境の構造自体が変化しているように感じます。
まず働き方について。これまではオフィスワーク中心だったのが、リモートとのハイブリットワークが浸透してきました。

業務環境を見ると大企業では社内システム中心であることが多いと思われますが、社外からアクセス可能な SaaS を活用する企業が増えてきている印象です。

価値観について、特に若い社員に見られる傾向ですが、企業に帰属するのではなく個人の生きる目的を追求することを重視する人が多くなってきています。

会社の組織構造は全体の 99.9 % がピラミッド型構造といわれていますが、その中でも MVV ( Mission ・ Vision ・ Value )を踏まえた、従業員一人ひとりが自律的に動く組織が増えている傾向が見られます。

人材育成方法も集合研修が中心からリモートでの研修や、スキマ時間で学習するマイクロラーニングなどを活用する企業が増えてきました。

企業の繁栄期間

アメリカの統計データから S&P500 に選定されている銘柄の存続年数の推移を分析してみると、存続期間が徐々に短くなってきていることが分かります。

すなわち企業を取り巻く環境が大きく変化している中、ずっと同じことを続けていても繁栄の期間を伸ばすのは難しいということです。

企業の繁栄期間が短くなっている一方で、個人一人ひとりが働く年数が長くなってきているという事実があります。人々が長く働き続けるためにも、企業は変化に対応し、長く存続することが求められるでしょう。

現状維持の意識は衰退のはじまり


こういった不透明なビジネス環境では、現在、平衡状態にあったとしても、ずっとその状態が維持される物事・物質はこの世にほとんど存在しません。見かけ上は変化がなくても、実際は何らかの変化が正方向と逆方向に等しく働き、平衡が保たれており、このような状態を動的平衡といいます。

これを企業経営に当てはめて考えると、現在の繁栄を維持するだけでもかなりの努力が必要で、同じことを続けるだけでは衰退していく可能性が高いといえます。企業においても変化への対応が非常に重要ということです。

イノベーションを起こす組織のあり方


イノベーション人材を育てる組織のあり方/人材育成の考え方

では、そんな時、イノベーションをおこす組織の在り方とはどう考えるとよいと思いますか。

過去、組織は指揮命令系統を重視し、その中で行われることの中核には「業務改善」があったように思われます。長く市場が拡大していく産業が多かったこともあり、指揮命令系統を確立し、業務を磨き上げることで売上成長や企業繁栄につながる状況だったと考えられるでしょう。

しかし近年における組織は、イノベーションや自律性を重視しています。さまざまな人の知見が入り混じることでイノベーションが生まれるので、組織は一人ひとりのプレーヤーが自律的に動くことを求めます。

従来の人材育成は「指揮命令系統重視」「業務改善重視」で行うのが適していましたが、イノベーションや自律性が求められる昨今では、人材育成のあり方も変えていく必要があるということです。

そもそもイノベーションとは

そもそも、イノベーションという言葉を使っていますが、改めて「イノベーション」の定義についても考えてみたいと思います。理解を深めるうえで、今回のウェビナーで特に関連が深いと考える3冊をご紹介いたします。

今回はこちらの書籍を紹介しながらお話しいたしました。

『シュンペーター経済発展の理論』
著者:J・A・シュンペーター(著)、八木紀一郎(訳)、荒木詳二(訳)
出版社:日経BP 日本経済新聞出版本部

『人類とイノベーション』
著者:大田直子(訳)、マット・リドレー
出版社:NewsPicksパブリッシング

『繁栄のパラドクス』
著者:クレイトン・M・クリステンセン、カレン・ディロン、依田光江(訳)、エフォサ・オジョモ
出版社:ハーパーコリンズ・ジャパン

ご興味のある方はフライヤーサイトあるいは実際に本を手に取っていただけると幸いです。