• 配信日:2022.06.21
  • 更新日:2024.08.21

オープンイノベーション Open with Linkers

地方自治体などでのリンカーズ活用事例  ~「公益財団法人名古屋産業振興公社」「名古屋市」~

公益財団法人名古屋産業振興公社(以下、「公社」と表記)と名古屋市による、リンカーズサービスの活用事例として、インタビューを実施させていただきました。

どのような課題から、リンカーズサービスの活用を視野に入れたのか。また実際の取り組みの中でどのような感想をお持ちになったのかを、公社 名古屋市新事業支援センター長の瀧川 裕司 様と、名古屋市経済局 イノベーション推進部 次世代産業振興課長の臼井 佐枝子 様に伺いました。

本記事が、広く地方自治体などにおける共通課題の解決のイメージを持っていただくことにつながれば幸いです。

新事業支援センターについて


公社:私ども公益財団法人名古屋産業振興公社は、名古屋市の外郭団体として名古屋市新事業支援センターを設け、市内中小企業の方々の新事業への取り組みをはじめとした経営上の様々なお悩みにお応えする窓口相談や、現場での課題解決をめざす専門家派遣事業を行っております。

地方自治体などでのリンカーズ活用事例  ~「公益財団法人名古屋産業振興公社」「名古屋市」~
公社 名古屋市新事業支援センター長の瀧川 裕司 様
公社 名古屋市新事業支援センター長の瀧川 裕司 様

リンカーズとの取り組みに至った背景、自治体で抱えていた課題とは


公社:かねてより中小製造業を支援する中で、新たな販路の開拓に問題を抱えているという認識は持っていました。
2014 年度から、製造業を中心としたマッチングで定評のあるリンカーズと提携し、大手企業からの技術募集と、当公社が支援する企業とのマッチングを少しずつ進めてまいりましたが、販路開拓の決め手となるような支援策には至りませんでした。そこに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が起き、来場型の展示会が軒並み中止となり、販路開拓の有効な手段が一気になくなってしまいました。

名古屋市:感染拡大を契機としたオンライン化の急速な進展により、展示会や交流会、企業の新規顧客開拓や情報発信・収集の場面でもオンライン化が急激に進んでいます。中小製造業においては、優れた技術を持ちながらも、オンラインを活用した顧客開拓や技術パートナー探索のノウハウが乏しい企業も数多く存在します。
そのため本市としては、当地域の中小製造業が、従来の訪問営業や「リアル」展示会等に加えて、新たにオンラインサービスを活用した顧客獲得や新分野進出の取組を支援することで、企業のイノベーションを促進し、事業の継続・拡大につなげる必要がありました。

名古屋市経済局 イノベーション推進部 次世代産業振興課長の臼井 佐枝子 様
名古屋市経済局 イノベーション推進部 次世代産業振興課長の臼井 佐枝子 様
地方自治体などでのリンカーズ活用事例  ~「公益財団法人名古屋産業振興公社」「名古屋市」~

公社:そのような状況で、名古屋市がコロナ禍での中小製造業の販路拡大策として「ものづくり企業技術・販路マッチング支援事業」を 2021 年度に予算化しました。当公社は市の外郭団体でもあることから、この新規事業に全面的に協力させていただくこととなりました。

リンカーズとの取り組みでの評価・感想


公社:今回、リンカーズとタッグを組んで、主に「マッチングの伴走支援」を実施いたしました。
採用できるのは予算の関係もあり 10 社でしたが、14 社応募いただき、リンカーズサービスに対する期待感が大きいのだなと感じました。外部の方にも委員になっていただいて審査を行い、選定された企業に対しては、リンカーズからの迅速な対応、丁寧でわかりやすい説明により、ほとんどの方が面談に至ることができました。分野も多岐にわたることから、大丈夫かなと心配していましたが、そんな心配を吹き飛ばすかのようにご対応いただき、リンカーズのネットワークの広さを見せていただきました。

地方自治体などでのリンカーズ活用事例  ~「公益財団法人名古屋産業振興公社」「名古屋市」~

リンカーズの伴走支援(販路開拓および技術探索)の評価・感想


◆技術起点での仮説検証・ユーザ開拓支援サービス「Linkers Marketing」の利用について

地方自治体などでのリンカーズ活用事例  ~「公益財団法人名古屋産業振興公社」「名古屋市」~

公社:今回、伴走支援を受けられた企業のほとんどが「 Linkers Marketing(リンカーズマーケティング)」を利用されました。
9社の方が利用され、22 件の面談を生み出していただきました。平均すると1社あたり 2.4 件、しかもほとんどが名前の知られた大手企業なのですから、私どもが想定した以上に成果を出していただいたのではないかと考えております。
マッチングは双方の企業の要件が合わないと実現しませんので、そのことを踏まえると、本当の意味で利用企業の要望にきめ細かく寄り添っていただいた結果ではないかと思います。
具体的には次の3つの点を評価しています。

1. 利用企業の課題の丁寧な可視化のフォロー

リンカーズの担当の方が、利用企業が悩んでいること、例えば、企業にとっての強みとは何かについて、一緒になって親身に考えてくれました。

2. スケジュール管理や運営のフォロー

スケジュールで遅れていたりすると連絡をくれたり、壁にぶち当たった際に、こういう方向はどうですかと提案をいただいたりして助かりました。

3. 技術の要約のフォロー

中小製造業ですと、営業がどうしても不得手という方もいらっしゃいますので、紹介先の方にとってわかりやすい伝え方を教えていただき、営業力の向上に大変力になりましたといった声をお聞きしています。

◆ニーズ起点でのパートナー探索支援サービス「Linkers Sourcing」の利用について

地方自治体などでのリンカーズ活用事例  ~「公益財団法人名古屋産業振興公社」「名古屋市」~

公社:「 Linkers Sourcing(リンカーズソーシング)」は1社の方だけのご利用でした。
その企業の方が、大変厳しい探索条件を出されましたので、本当にパートナーが見つかるかどうか懐疑的でした。
結果、10 社近くの企業と面談できて、しかもその半数が成約に至ったとお聞きし、リンカーズの底力を感じたところです。さすが全国の産業コーディネーターと提携し、網の目のようなネットワークをつくっておられるリンカーズだからこそだなと感心しました。
利用された企業は本当に助かったと感謝されていますし、私ども公社としても中小企業の困りごとに本当にお役に立てたと実感しています。利用された企業の方からは、案件シートをまとめるにあたっても、必要条件の明確化や、わかりやすい表現方法などでも大変親切に教えていただいたと好評でした。
今年度はもっと多くの中小製造業の方に使っていただきたいと思っています。

地方自治体などでのリンカーズ活用事例  ~「公益財団法人名古屋産業振興公社」「名古屋市」~

自治体として、今回の取り組みをふまえて、今後に取り組んでゆきたいこと

名古屋市:本市では名古屋市産業振興ビジョン2028 を策定しましたが、その中で、柔軟かつ機動的にチャレンジする中小企業を積極的に支援することとしております。本事業では新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機としたオンライン化の急速な進展に対応した支援策として実施したものでしたが、引き続き、時流を捉えた取り組みを進めていきたいと思います。

公社:2022 年度も、名古屋市に今回と同じ規模と内容で事業予算を付けていただきました。2021 年度の成果を踏まえ、一段と飛躍できるように PR と、しっかりとした運営に努めていこうと思っています。コロナ禍で経験したオンラインによる営業ツールには、リアルと比べた場合にメリット、デメリットは当然あるかと思います。オンラインのメリットを最大限引き出しつつ、リアルな営業活動とのシナジーも生み出していく、そういう取り組みをぜひやっていきたいと思っています。今回の取り組みは、ものづくりの地域と言われる名古屋圏の一層の発展につながると思っていますので、リンカーズには昨年度以上に、お力添えをいただけることを期待してやみません。ぜひともよろしくお願いいたします。

地方自治体などでのリンカーズ活用事例  ~「公益財団法人名古屋産業振興公社」「名古屋市」~

まとめ


リンカーズでは、今回ご紹介した名古屋市以外にも、国や自治体と連携して、地域企業の活性化の支援実績がございます。
様々な自治体での地域の企業支援に関しまして、新たな企画立案のご支援から、すでに動いている支援活動の見直しや拡大のご支援まで、私どもリンカーズがビジネスマッチングの知見を活かしてお力添えをさせていただきます。
まずは、リンカーズの話を聞いてみたい、課題について相談をしたいなどございましたら、下記よりお問い合わせいただけますようにお願いいたします。

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