- 配信日:2025.11.14
- 更新日:2025.11.14
オープンイノベーション Open with Linkers
CES 2026最新テクノロジー動向と注目ベンチャー:AI、サステナビリティ、パーソナライズの未来図
本記事は、リンカーズが主催したWebセミナー「CES 2026 最新テクノロジー動向と注目ベンチャー」のお話を編集したものです。
世界最大級のテクノロジーの祭典であるCESについて、弊社の専門技術リサーチャーが、その規模や注目理由を解説。CES 2025のデータ分析に基づき、「AIの偏在化」「サステナビリティ」「パーソナライズ」を主要トレンドとして深掘りしました。
さらに、出展組織数やアワード受賞数の変遷からCESのトレンドを分析し、デジタルヘルス、モビリティ、AI応用などの6つの分野におけるCES2025〜2026 注目のスタートアップ企業の具体的な技術事例12選を紹介しています。
記事の最後では、セミナーで使用した講演資料を無料ダウンロードいただけますので、あわせてご覧ください。
目次
・CESとは:世界最大級のテクノロジーの祭典
・開催規模
・CESが注目される3つの理由
・CES 2025のトレンド振り返り
・国別出展組織数とアワード受賞組織数
・技術カテゴリー別の動向
・CES 2026で注目のスタートアップ企業事例(2025年事例の振り返りも含む)
・デジタルヘルス/ウェルビーイング分野
・モビリティ/エネルギー分野
・AI×産業応用分野
・ロボティクス分野
・エネルギー/サステナビリティ/建設分野
・Emerging Tech分野
・CES 2026 イノベーションレポートのご案内
CESとは:世界最大級のテクノロジーの祭典
CES(Consumer Electronics Show)は、毎年1月の初めに米ネバダ州ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジーの祭典です。
開催規模
CESは年々規模を拡大しており、2025年の実績では、出展社数は4,600社以上、現地参加者数は141,000人以上という圧倒的な規模を誇ります。
この出展組織数は、コロナ禍前の2020年(4,485社)を超え、4,646社となりました。
会場の総面積は23万m²以上に及び、これは日本の幕張メッセ国際展示場1〜8ホールの約4倍以上に相当します。
CESが注目される3つの理由
かつては家電見本市として知られていましたが、現在では「AI、モビリティ、デジタルヘルス、サステナビリティ」など、あらゆる産業の未来技術が集結する場へと変貌を遂げています。2026年のテーマは“Innovators show up”であり、イノベーション創出の場として大きな期待が寄せられています。
CESがこれほど注目を集める理由は、以下の3点に集約されます。
1. 産業のクロスオーバー
家電の枠を超え、IoT、AI、ヘルスケア、フードテックなど、様々なジャンル・産業のテクノロジーが集結し、産業を超えた連携パートナーシップの発表の場ともなっています。
2. 大企業のビジョン発信
大手企業が中長期のテクノロジービジョンや新コンセプトを発表し、次の5年を左右する技術アジェンダを先読みするヒントを得られます。
3. ベンチャー発掘
世界中のテックベンチャーが集結する「Eureka Park」など、次の世代を担う黎明期の技術にいち早く触れることができます。
CES 2025のトレンド振り返り
CES 2025の傾向を、国別、技術カテゴリー別のデータから分析します。
国別出展組織数とアワード受賞組織数
国別の出展組織数を見ると、アメリカ(1,252社)、中国(1,209社)、韓国(941社)のトップ3カ国で、トップ15カ国の合計の約77%(約3,400社)を占めています。
特に中国と韓国の台頭が顕著で、コロナ禍で落ち込んだ2022年と比較し、中国は約7.9倍、韓国は約2.2倍に出展組織数を伸ばしました。
一方、CESのアワード受賞組織数の変遷(2020年〜2025年)では、韓国が2025年に120件と6年間で約6.3倍に急増し、米国を凌駕して単独トップの座を確立しました。これは、韓国が「量」だけでなく「質」の面でも高い技術力を示していることを意味します。日本は出展数では少ないものの、中国とほぼ同数のアワードを獲得しており、質の高い出展をしていることが推察されます。
技術カテゴリー別の動向
CES 2025の技術カテゴリー別組織数では、「Artificial Intelligence(AI)」が1,249件で圧倒的なトップとなり、「Startups(1,028件)」、「Smart Home & Appliances(930件)」と続きました。
過去5年間の年平均成長率(CAGR)と組織数をマッピングしたグラフからは、以下の3つの主要トレンドが見て取れます。
・AIが圧倒
「Artificial Intelligence」は組織数・CAGRともに高値を示し(CAGR 40.8%)、CES全体を牽引する技術であることが示唆されました。
・サステナビリティの主流化
「Sustainability」と「Energy/Power」は組織数・CAGR(45.4%)ともに高値を示し、テーマからビジネスへ変貌していることがわかります。
・新たなビジネス
「Quantum Computing(量子技術)」や「Space Tech(宇宙技術)」は件数は少ないものの高いCAGR(量子技術は30.5%)を示しており、研究室レベルからビジネスへと存在感を確立し始めています。
さらに、大手企業のビジョンの変遷からも、1. AIの偏在化、2. サステナビリティ、3. パーソナライズの3つのトレンドが主要なアジェンダとして一貫して発信されてきたことが確認されています。
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