- 配信日:2025.12.04
- 更新日:2025.12.04
ものづくり マッチング事例
2030年環境目標の実現へ|クラシエの再生素材による容器開発とLinkers Sourcingの活用
クラシエ株式会社は、トイレタリー・コスメティックス、薬品、食品などの事業を通じて、お客様の豊かな暮らしに寄り添った価値を提供しています。同社は、2030年環境目標としてプラスチック使用量を削減することを掲げ、4R(Refuse・Reduce・Reuse・Recycle)の推進や再生可能な容器包装の採用を進めています。
ホームプロダクツカンパニー ビューティケア研究所 第一研究部 容器グループ 主任研究員(グループ長)の横山様は、この目標達成に向けて、環境対応とデザイン性・使い心地を両立した容器開発をリードしています。その取り組みの一環として、Linkersの技術パートナー探索サービス「Linkers Sourcing」を活用されました。
目次
・ご経歴とご担当について
・Linkers Sourcingを利用した背景
・具体的な探索テーマについて
・利用に関しての感想
・探索の成果やその後の進展について
・Linkers Sourcingを使いこなすうえでの気づき
・今後の展望について
ご経歴とご担当について
横山様:
最初はカネボウ時代の入社で、配属は生産技術職で、愛知県のトイレタリー主力工場(津島工場)でした。現場では充填機がずらっと並んでいて、最初はそのメンテナンスなどを担当しました。
その後、現場を離れて、スタッフ的な立場で生産技術や、新商品対応、設備投資などにも関わるようになりました。
2011年に異動になり、横浜の研究拠点に来ました。2011年から現在まで同じ部署です。ずっとパッケージ関連で、品質確認や仕様確定、新商品対応などを担当しながら、研究開発も並行して行っています。
リンカーズ:
入口に展示されている様々なパッケージを拝見しました。今の部署の役割をもう少し教えてください。
横山様:
私が所属している研究所は中身(シャンプー、ボディソープ、基礎化粧品など)を作る部署が複数ありますが、私の部署は容器やパッケージを作る部門です。工場時代も中身を混ぜて作る部署ではなく、でき上がった中身をボトルに詰める「充填・仕上げ」と呼ばれる工程に携わってきました。最終製品としてお客様に届く部分なので、品質管理の観点でも非常に重要です。
Linkers Sourcingを利用した背景
リンカーズ:
今回はリンカーズの技術パートナー探索サービスをご利用いただきました。ご利用に至った背景についてお聞かせください。
横山様:
会社として「2030年環境目標」を掲げています。その一つがプラスチック使用量を削減する目標です。クラシエでは日用品・薬品・食品の3事業がありますが、容器・包装のプラスチック使用量の大半が日用品(ホームプロダクツ)で占めています。つまり、私たちが削減を牽引しなければいけません。
ただ、この削減目標はかなりハードルが高く、年々少しずつ減らしているものの、残り数年で到達するには相当の取り組みが必要で、既存のやり方や調達では難しい状況でした。
そのような中で研究所長から、過去に社内の別案件でリンカーズを使ったことがあると紹介を受け、「課題を出せば国内外の企業を探索してくれるサービスがある」と聞いて相談したのがきっかけです。自分たちの既存ネットワークだけでは限界があり、新しいルートが必要でした。
リンカーズ:
なるほど。既存サプライヤーだけでは、素材の幅が広がらなかったということですね。
横山様:
はい。容器素材は安全性や流通の観点から国内を中心に体制構築してきましたが、環境対応を考えると、国内だけではどうしても調達面やコスト面での制約がありました。リサイクル素材の活用を進めるには、世界の動向や海外メーカーの技術を視野に入れる必要があると感じていました。
一方で、海外展示会などに出向いても、限られた時間で良い企業を見つけるのは難しい。英語での技術交渉にもハードルがあります。そうした中で、国内外を網羅的に探索してもらえるLinkers Sourcingの仕組みは非常にありがたく、初回利用を決めました。
具体的な探索テーマについて
横山様:
探索テーマは「特定の環境対応素材」です。PETなど一部の素材はリサイクルの仕組みとして確立していますが、当社が求める再生プラスチック素材は品質面でまだ難しさがあります。容器メーカーに問い合わせると「取り扱っています」とは言うものの、サンプルを入手しても当社基準では使えない品質のものが多かったです。メーカー頼みで良い材料が出てくるのを待つ時間はありませんでした。
国内では特定の再生プラスチック素材の分別回収が十分ではなく、扱うメーカーも限られます。
一方、海外では再生素材の開発や規格化が進んでおり、品質・価格ともに日本とは異なる水準にある企業も多いと聞いています。そこで、海外企業を含めた探索を行い、国内では得られない情報を得ることを狙いました。結果的に、Linkersの探索では海外企業も候補に挙がり、幅広い視点で比較検討ができました。
利用に関しての感想
リンカーズ:
実際にLinkers Sourcingを使ってみた印象はいかがでしたか。
横山様:
まず候補企業の数が非常に多く、順次候補先をご提示いただけたのが良かったです。Linkers Sourcingの専用サイト(Linkers.net)では、候補企業からの回答を一覧形式で比較検討でき、候補企業との面談を進める・見送る判断もしやすかったです。
私の部下にも専用サイトの共有機能で、候補企業からの技術提案内容を共有。分担して気になる企業をピックアップできたため、効率的に精査を進めることができました。
探索の成果やその後の進展について
リンカーズ:
探索の成果面はいかがでしたか。
横山様:
最終的に、国内企業を中心に複数社と継続的なやり取りに進みました。商社経由での提案も多く、品質保証・やり取りの面でも助かっています。海外企業とも接点は持てましたが、言語のハードルもあり、現時点では国内企業を中心にやり取りを進行しています。
特定の環境対応素材の採用決定まではまだ至っていません。5~6社から提案を受け、当社独自の評価を実施中で、品質改善のリクエストを差し戻している段階です。サンプルのバージョンアップをお願いしているところもあります。一度で決まるテーマではないですが、今後のパートナー候補として前向きにやり取りできています。
リンカーズ:
探索の「質」はいかがでしたか。
横山様:
質は高かったと思います。我々だけでは見つけられなかった企業ばかりでした。採用グレードに到達したものはまだありませんが、前向きに改善・検討できる企業が揃ったという手応えがあります。
この取り組みだけで2030年目標の全てを達成できるわけではありませんが、確実に前進する一手になっています。
Linkers Sourcingを使いこなすうえでの気づき
横山様:
企業探索では、事前にリンカーズ担当者に課題や探索要件を丁寧に聞いていただき、そのうえで探索してもらえる点が非常に良いと思いました。一方で、別件で簡易の事前調査サービスの相談をした際、情報の“粒度”が当社でも取得できるレベルに留まることがありました。
リンカーズ側からも「公開情報ではこの程度が限界」と正直に情報共有いただいたので、テーマごとに「何を求めるのか」と「Linkers Sourcingで到達可能な情報の粒度や探索範囲」を事前にリンカーズ側とすり合わせることが重要だと感じました。使いどころを見極めれば、非常に有効なサービスだと思います。
今後の展望について
リンカーズ:
今後、どのような展望をお持ちでしょうか。
横山様:
環境に優しいだけでなく、使う人が“わくわく”するような容器をつくりたいと考えています。感性と技術の両面から価値を高め、クラシエらしいものづくりを進めていきたいです。
Linkers Sourcingは、新素材や新技術の調査などで行き詰まった際に相談できるサービスだと思っています。リンカーズは事前に“できること・できないこと”を明確にしてくださる点も信頼できます。
ビューティケア研究所が目指すのは、機能と感性、そして環境価値を融合させた“これからの容器づくり”です。
Linkers Sourcingは、その挑戦に寄り添いながら、同社の未来志向の研究開発を静かに後押ししています。
聞き手、文責:リンカーズ株式会社CMO 小林 裕
クラシエ株式会社にてご利用いただいた、
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