• 配信日:2023.10.12
  • 更新日:2024.04.19

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フードサイエンスの最新技術と事例20選

フードサイエンス事例11:Zymergen

フードサイエンスの最新技術と事例20選

(画像引用元:Zymergen ウェブサイト)

Zymergen では AI と機械学習・自動化をセットにし、独自のプラットフォームで最先端の技術と DNA データベースを作っています。たとえばトンボの羽ばたきや酵母の力から、柔軟な電話のスクリーンや接着剤などの商品開発、食品に役立つものがあります。

微生物で既に 10 億ドル以上の製品販売を達成するなど、急成長しています。

フードサイエンス事例12:FOOTPRINT

フードサイエンスの最新技術と事例20選

(画像引用元:FOOTPRINT ウェブサイト)

FOOTPRINT はプラスチックの削減を本気で目指すパッケージの会社です。他の企業と違う点は、ビジネスが成功していることでしょう。植物ベースの素材を使って二酸化炭素を大幅に削減できる点で注目されています。

フードサイエンス事例13:MORI

フードサイエンスの最新技術と事例20選

(画像引用元:MORI ウェブサイト)

MORI は、スプレーのように噴射してシルクコーティングすることで、賞味期限、品質を守ります。シルクに含まれるフィブロイン(たんぱく質)が保護バリアとして、果物や野菜の新鮮さを保つのです。シルクを使うと、室内で 7日間、新鮮でジューシーないちごを楽しめると注目されています。バナナの保存期限を2倍、アボカドも3倍に伸ばせるため、冷蔵設備がない開発途上国での活躍を期待できます。リリース後4年経過していますが、コスト面が課題で、多く普及していません。良い素材のため、生産に関する企業とアライアンスを組めば一気に進むでしょう。

フードサイエンス事例14:MicroByre

フードサイエンスの最新技術と事例20選

(画像引用元:MicroByre ウェブサイト)

MicroByre はバクテリアを使って、地球上の生命体に良い活動をする会社です。バクテリアが生産する化合物を利用し、化学製品・燃料・食品・医薬品などの製造支援サービスを展開しています。医薬品の開発、病気の治療法の改善なども期待できます。

フードサイエンス事例15:Berkeley Yeast

フードサイエンスの最新技術と事例20選

(画像引用元:Berkeley Yeast ウェブサイト)

Berkeley Yeast は酵母株を開発することに特化した会社です。酵母の可能性や機能を最大限に引き出すノウハウを持ち、クライアントに合わせた酵母株を納品します。例えばビールの場合、不快な風味・苦味の除去、バター風味・フローラルな香りの追加などが可能です。顧客が望む味に合わせて酵母株をカスタマイズできるのです。

フードサイエンス事例16:Mushlabs

フードサイエンスの最新技術と事例20選

(画像引用元:Mushlabs ウェブサイト)

Mushlabs は、きのこ(菌類)をベースに、健康的で持続可能な食品の提供に取り組んでいます。きのこの優れている特徴(タンパク質・食物繊維・ビタミン等)を上手に使っているのです。成長には菌類のマイセリウムを使うことで、効率的かつ迅速な生産を目指します。牛肉の生産に比べると水の使用料が 1 / 250、CO2 の排出量が 1 / 15 程で栽培できます。

フードサイエンス事例17:NOTPLA

NOTPLA は、海藻や植物を使い、プラスチックに代わる包装資材を提供する会社です。リサイクルも可能で、捨てた場合は堆肥化します。世界中からの供給やビーチから直接海藻を集めているため、大量生産が課題です。製品展開・ブランディングのやり方、商品のラインアップなどで注目したい企業です。

同社は防水性・油に強い素材を開発しています。例えばマラソンのイベントで配る飲料用の小さなカプセル、食品包装のラベル、トイレの容器・人が乗る硬い素材など、幅広くあります。

フードサイエンス事例18:nourished

フードサイエンスの最新技術と事例20選

(画像引用元:nourished ウェブサイト)

nourished は 個々に合わせたカスタマイズ栄養補助食品を展開する会社です。個人の体質、環境、生活スタイルに合わせた商品を、3D プリンティングで作ります。毎月オーダーメイドで送るという、今アメリカで進んでいるサービスです。

日本で注目したいフードサイエンス/フードテック企業の事例


ここまで、世界の企業を紹介しました。日本にも優れた技術を持つ企業があります。その中で私が注目している企業を2つ紹介します。

フードサイエンス事例19:日本製紙株式会社

フードサイエンスの最新技術と事例20選

1つ目は、日本製紙株式会社です。「日本製紙がなぜ食?」と思う方も多いでしょう。同社は木から抽出したものを髪の毛の 1 / 10000 の細さにすり潰した、セルロースナノファイバー cellenpia を展開しています。

フードサイエンスの最新技術と事例20選

同社が取り組む CM 化 CNF (カルボキシメチル化セルロースナノファイバー)は国内唯一の食品添加物です。

フードサイエンスの最新技術と事例20選

セルロースナノファイバーをどら焼きやケーキに入れれば保形成が向上し、製造時の成形が安定します。水羊羹など細かな気泡の食感も改善可能です。他にも物の沈殿防止、離水防止、生クリームの品質保持、米粉パンの膨らみ改善、賞味期限の延長など、広い範囲で効能があります。

日本中に原材料があることが一番の特徴です。原材料を一部でも海外に頼るとサプライチェーンの問題を抱えることになります。実際にインドが小麦を輸出しない、という事態もありました。日本製紙が持つセルロースナノファイバーは、国内の7割が囲まれている森林を活用できます。

セルロースナノファイバーは牛のエサとしても活用可能です。木から高純度・高品質のセルロースのみを抽出し、濃厚飼料と粗飼料のハイブリッドな飼料を展開でき、とうもろこしの代替となるのです。食べた後の牛は病気しにくい、乳量が増加する、繁殖率が高くなる、牛のゲップに含まれるメタンガスも削減する、などの効果もあります。

他にも魚のエサ、豚や鳥の餌、また畑に蒔いて(まいて)成長促進にも応用できます。

フードテック界隈で、これほど一気に売上が増加し、大きな規模で成長し続けている日本の素材を展開する企業は他にないでしょう。

日本製紙が 30 年近くかけて開発したものがようやく世の中に出ており、私が日本国内でとても注目している企業です。

フードサイエンス事例20:株式会社CO2資源化研究所

2つ目は、株式会社CO2資源化研究所です。同社は水素細菌・水素・ CO2 を培養し、タンパク質や化学品を作っています。

代替肉・魚粉・魚の餌・プラスチック製品・バイオジェット製品・魚の餌・牛の餌・飼料分野、さらにプラスチックへの活用もできます。また工場を動かす、畑を耕す装置のエネルギーとしても役立ちます。

大きな課題としては、海外からの水素調達と、培養するための環境整備です。量産化が課題ですが、世界に羽ばたく技術の一つと考えています。

水素菌は魚粉よりも粗タンパク質含有率も高いです。

最大の特徴として、スプーン1杯の量を培養すると 24 時間で 16 トンまで増えるなど、圧倒的に繁殖スピードが早いことです。

フードサイエンス/フードテックに取り組むならパートナー選びが重要


世界中の一部企業や、日本の企業も紹介しました。多くの中で、パートナーの選び方、情報収集の仕方について、悩む方もいるかと思います。

フードサイエンスの最新技術と事例20選

重要なのはビジネスとして成り立つか、です。売り手・買い手が決まっていること、量産体制を確立していることが大切です。

例えば、年間何百トンの数量が必要な場合、材料が足りなければその企業と組んでも未来がありません。ストーリーではなく、産業になり得るかを重視して技術・企業を見ましょう。

フードサイエンスの最新技術と事例20選

フードテックは世界中で広まっており、各国の特徴があります。例えば、アメリカは世界の中心、オランダは世界有数の植物工場地帯です。代替肉や植物由来の食品ではイギリスとカナダが強いでしょう。各国の取り組みを確認することもおすすめです。

IT系企業の投資先も参考になります。例えば Softbank はフードテックに全部で 50 数社、合計 5.4 兆円投資しています。アリババも 26 階建ての養豚場を持っています。IT 系企業は巨額な資金を使って、今後伸びるフードテックの領域に出資しているのです。

フードサイエンスの最新技術と事例20選

原材料が高くなり、生産者が苦しい思いをして倒産件数も増えるなど、食の生産が大きな問題を抱えています。数年後には食を作る人がいなくなるかもしれません。多くの企業で様々な取り組みをしていると思います。テクノロジーを使って日本の危機を救う取り組みをしていただきたいです。

講演者紹介

フードサイエンスの最新技術と事例20選

大野 泰敬 氏
株式会社スペックホルダー 代表取締役社長 / 農林水産省 農林水産研究所 客員研究員

【略歴】
複数企業を経営する事業家兼投資家。
ラジオNIKKEIの情報番組「ソウミラ」、FM 軽井沢など人気 FM ビジネス情報発信ラジオ5番組のメインパーソナリティを務める。
ソフトバンク株式会社で新規事業などを担当した後、CCC で新規事業に従事。
2008 年にソフトバンクに復帰し、当時日本初上陸の iPhone のマーケティングを担当し、シェア拡大に貢献。
独立後は、企業の事業戦略、戦術策定、M&A、資金調達などを手がけ、大手企業 14 社をサポート。
テクノロジーに精通しており、東京オリンピック大会組織委員会ITアドバイザー、農林水産省農林水産研究所客員研究員、明治大学客員研究員にも就任。
ご当地イノベーションを提唱し、省庁、自治体などの外部コンサルタントとしても活躍。
事業実績 500 億円、独立後個人事業で 10 億円のビジネスを作り出す。
著書は「ひとり会社で6億稼ぐ仕事術」「予算獲得率100%の企画のプロが教える必ず通る資料作成」など。

オープンイノベーションを支援するリンカーズの各種サービス

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Linkers Sourcing は、全国の産業コーディネーター・中小企業ネットワークやリンカーズの独自データベースを活用して、貴社の技術課題を解決する最適な技術パートナーを探索するサービスです。ものづくり業界の皆様が抱える、共同研究・共同開発、試作設計、プロセス改善、生産委託・量産委託、事業連携など様々なお悩みを、スピーディに解決へと導きます。

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Linkers Marketing は、貴社の技術・製品・サービスを、弊社独自の企業ネットワークに向けて紹介し、関心を持っていただいた企業様との面談機会を提供するサービスです。面談にいたらなかった企業についても、フィードバックコメントを可視化することにより、今後の営業・マーケティング活動の改善に繋げます。

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Linkers Research は、貴社の業務目的に合わせたグローバル先端技術調査サービスです。各分野の専門家、構築したリサーチャネットワーク、独自技術DBを活用することで先端技術を「広く」かつ「深く」調査することが可能です。研究・技術パートナー探し、新規事業検討や R&D のテーマ検討のための技術ベンチマーク調査、出資先や提携先検討のための有力企業発掘など様々な目的でご利用いただけます。貴社が調査にかける手間や時間を短縮します。

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