• 配信日:2023.09.19
  • 更新日:2024.06.24

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おいしさを数値化するフードテック~味の分析事例~

フードテックの活用事例の紹介〜コレスキ〜


おいしさを数値化するフードテック~味の分析事例~

味データやおいしさの知見などを活用した新しい事例、嗜好性診断ができる「コレスキ」を紹介します。

幼少期に食べたものが嗜好性を作る

おいしさを数値化するフードテック~味の分析事例~

おいしさの側面の数値化はできても分析機械は、おいしいとは言ってくれません。

「おいしい」とは、あなたが最終的に判断するもので、あなたの中に備わっている個人嗜好性が関わっています。例えば生まれた家や幼少期によく食べたものが自分の基礎を作り、さまざまな食経験を経て“今それをおいしく感じる感性”が備わっています。

自分は食べると美味しい、でも他人には美味しくないと言われて、気分を害することもあるでしょう。海外だと青いケーキを食べるのが普通でも、日本人からみると怖いと感じることもあるでしょう。嗜好性は地域でも変わるのです。

嗜好性診断の「コレスキ」は、味データと組み合わせて自分にマッチする食かを見ていきます。個人のオーダーメイド食や若者に流行っている流行色など、味のトレンドフィルターとして使うことも可能です。

嗜好性が性格・職業に影響する

おいしさを数値化するフードテック~味の分析事例~

食の本で必ずといっていいほど登場するのがブリア・サヴァランという方です。世界で初めての美食家といわれています。

彼は「君がどんなものを食べているか言ってみたまえ。君が何者であるか言い当てよう」という箴言(しんげん)を出しています。つまり普段の食事がわかったなら、あなたの性格や職業も言い当ててみせよう、と情報から人となりがわかるとしています。 1825 年に彼はこの境地に達しています。彼の研究は 200 年前にも関わらず、科学的に裏付けができることが多く、後世にも影響を及ぼしています。

他にもアメリカのことわざ「 You are what you eat 」(あなたはあなたの食べたものでできている)があり、嗜好性であなたの人間性が見えることがわかっています。

こちらをヒントに、当社ではコレスキという嗜好性を判断できるプログラムを開発しました。

嗜好性診断「コレスキ」の紹介

おいしさを数値化するフードテック~味の分析事例~

コレスキとは、自分の味覚タイプがわかるプログラムです。主に6タイプ、さらに 22 パターンに分けた味覚タイプを診断します。

約 7500 人分のデータの平均値を元に、診断結果を出しています。コレスキで診断すれば、あなたはどれくらい酸味好きなのか、苦味好きなのか、塩味好きなのかを客観的に知ることができるのです。

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質問項目は味覚センサーの測定結果をベースに構成されているため診断結果のタイプ別で、味覚データベースから食品のレコメンドができます。例えば苦味が苦手なバランスタイプであれば A 商品がおすすめ、苦味や酸味が好きなバランスタイプは B 商品を選ぶとよいなど、予測が可能となります。

おいしさを数値化するフードテック~味の分析事例~

コレスキの結果を年代別に見ていくことも興味深いです。グラフの結果では、 20 代の男女は舌の経験が未熟なため、甘味・塩味・うま味を好む傾向が出ています。これは先天的に好きな味が甘味・うま味・塩味と言われるのと一致しています。歳を重ねるとバランス型が増えていきます。社会に出て色々な味を経験し、苦味や酸味を食べられるようになる方も多いでしょう。

30 代の男性になると、苦味を好む人が増えている傾向にあります。30代女性と比べると2倍近く異なります。付き合いでビールを飲むなど、自分の嫌いなものを相手に合わせるなどで、自然と苦手だったものが好きになっていくのです。40代、 60 代は苦味・酸味を好む傾向にあります。日々の食経験が食領域を広げていくことは、社会・文化背景も起因していると考えます。

おいしさを数値化するフードテック~味の分析事例~

地域の違いも見ていきましょう。北海道の方の嗜好性パターンは甘味・塩味が強く、甘じょっぱいもの好きだとわかります。一方、四国はうま味が強く、九州沖縄は甘味・塩味・苦味も好きの傾向が出ています。このパターン結果を味覚センサーと連動すれば、地域性を考慮したインスタント麺の開発・販促などに反映できるのです。

おいしさを数値化するフードテック~味の分析事例~

コレスキの活用シーン

おいしさを数値化するフードテック~味の分析事例~

コレスキを活用する方法として、食育や SNS の味覚コミュニティがあります。例えば、「うま味タイプ」のメンバーのみで集まれば、味の嗜好が似て仲良くなりやすいでしょう。婚活イベントにも活用すれば、日々の生活で味覚のすれ違いがなくなる可能性もあります。

EC サイトやふるさと納税で味覚診断することもでき、例えばあなたの嗜好に合った食はこの地方にあるなど、今までなかった誘導が可能です。

また、企業の製品開発従事者の食品の偏りを見ることにも役立ちます。例えば、子ども向け製品であれば子ども舌タイプのチームを作るなど、厳正な官能評価では内に秘めなければならない自分の嗜好性や感情を解き放ち、存分に能力を発揮させることができるのではないかと考えています。また様々な嗜好タイプの方をバランスよく評価員に加えれば、さまざまな意見を獲得できるでしょう。

コレスキの QR コードを自社商品につければ、購入者(ファン)の嗜好性タイプ調査もできます。例えば、ファンに向けた味の傾向を実現しているかの確認、作った新商品を購入する世代・地域別のウケを予測したり、苦味タイプの人にビターな商品をサンプリングしたりするなど、アイデア次第で新しいマーケティング手法を実現できます。

コレスキは現在、日本人に向けた嗜好性調査ツールです。これを海外向けにカスタマイズすれば、インバウンド対策にも応用可能です。また香りや食感の嗜好性も調べることも可能ではないかと考えており、研究が始まっています。

次のページでは、フードテックの活用事例「 FOODATA 」と「 FOOD NFT 」を紹介します。