• 配信日:2022.12.23
  • 更新日:2024.09.25

オープンイノベーション Open with Linkers

Web3ウェビナーレポート~各種産業で活用されるWeb3.0最新技術

差分プライバシー技術によるプライバシーの保護

関連して、個人情報の管理についてアメリカのベンチャーで Oasis Labs という会社が、ブロックチェーンを用いてプライバシー・PDS の取り組みを行っています。
データベースより取得した複数種類の統計データから差分を取り出すことで、特定個人の情報を間接的に算出できるというハッキング手法が存在します。この企業は、上記課題を解決するために、ブロックチェーンやその他の技術も含んだ色々なアルゴリズムを組み合わせていかに個人のプライバシーを守るかといったところに取り組んでいます。ブロックチェーンを ” プライバシーを守る1要素 ” として使っています。

食品領域~サプライチェーンでの利用

アメリカの余剰食糧管理を行なう取り組みを行っている 「Goodr」。自分たちの寄付した廃棄食料がどういうふうな流通経路をたどって、最終的にどこにいったかを見ることができるプラットフォームになっています。透明性が一つのメリットではありますが、対改ざん性があることから、税金の控除にも使われています。アメリカでは食料寄付が税金の控除に算入されますが、このプラットフォームを使うとちゃんと食料を寄付したことが証拠として残ることが理由です。
サプライチェーンでブロックチェーンを使った技術はかなり多く、その品物が今どこにあるのかも含めて管理します。ブロックチェーンや NFC そのものを旗印としてビジネスを作るというのも1つの手ですが、自社がすでに持っている強みとブロックチェーンを組み合わせたときに、どういう新たなソリューションになるか、総合的な答えを出せるかということを考えるうえの参考として、この例を紹介しました。

エネルギー領域~分散処理・非中央集権化

各家庭間のエネルギー取引にブロックチェーンを活用する技術を開発する公的機関「 National Renewable Energy Laboratory 」。
電力会社からの供給よりも、隣の家で今エネルギーが余っているからそこから買った方が安いよ、というようなバランスを計算し、ユーザーが買うという意思決定をするとブロックチェーンに報酬が支払われます。
このように、ブロックチェーンで金融機関などを介さずにお金のやり取りができる、という技術開発も、Web3ならではのメリットとして進められています。
この技術の場合は近隣の住民とだけで電力をやりとりすれば良いため、中央で管理する手間が省けます。
透明性だけでなく分散処理の点で、非中央集権化の WEB3 の技術として発展する方向性の一つとして取り上げました。

ドローン・ロボット領域~分散処理・非中央集権化

複数のドローンやロボットを統合管理するプラットフォーム「 Blue Earth Platform 」を提供する企業「ブルーイノベーション株式会社」。
複数のロボットの制御においてブロックチェーンが使われています。
中央のネットワークが介在しづらいところにあるドローンや、リアルタイムのドローンの制御を複数台の中で協調して行いたいときに、ブロックチェーンを用いています。従来のエッジコンピューティングに近いですが、分散処理を行うとために、AI やブロックチェーンの技術を混ぜ合わせています。
このように非中央集権型の処理を行えるといったところで、制御に関しても既にブロックチェーンは使われ始めています。

金融領域

金融領域における、少し特殊な Web3 の事例を紹介します。
ブロックチェーンを利用して、個人投資家が中央集権的な金融仲介者に頼らずスタートアップに直接投資可能な分散型資金調達プラットフォームを運営する「 DAOLaunch Ltd. 」。
ブロックチェーン上で資金調達ができますが、投資実績を NFT として各個人で管理所有することができます。そして次の投資の時にこの NFT 投資実績に基づいてお得な投資条件が設定されます。また、この投資実績を他人に貸し出すことができます。たとえば投資実績が良い人の成績を有償で借りることによって自分だったらできない良い条件での投資が可能になります。そうすると貸し出した人にも投資実績が積みあがるというメリットがあります。信用度や実績のネットワークを使った取引という点で、サプライチェーンにも関連する技術としてご紹介しました。

WEB3技術「 NFT(Non-Fungible Token)」

保険領域~紙からの解放

保険を取り扱っているアメリカの会社 IMA Financial Group,inc. では、保険証書の紙をなくすためのデジタル化の取り組みを行っています。メタバース上の店舗を持ち、全てをデジタル化しています。この取り組みの中で、 NFT を付与したデジタル保険証書を提供しています。このおかげで、その保険証書データが紙と同じく正しいものですよ、ということを担保しています。また、デジタルデータであるおかげで、従来の契約更新時の新たな証書のやり取りなどのメンテナンスの問題を解決しています。
紙ベースのやりとりが必要な重要情報取り扱いの、進化の可能性の一つと考えられます。

秘密鍵管理によるセキュリティと利便性の両立

double jump.tokyo株式会社では、秘密鍵(サイン)をセキュアに管理しましょうというソリューションを提供しています。WEB3 自体の新しいビジネスを作ったというよりは、ウェブやブロックチェーンでのデータやり取りに必要な周辺技術をソリューション化したところが1つの新規性、独自性といえます。
個人情報の使われ方の透明性やセキュリティ管理については、一般のビジネスソリューションにも使えると考えられます。

まとめ


WEB3 を主体とした製品サービスを出している会社だと、関係者に対して仮想通貨を用いた金銭的なインセンティブ設計が組み込まれているサービスが多くみられます。実際に事業に応用する際、ブロックチェーンならではの各ユーザーが win-win になるようなプラットフォームを作るのであれば、いかにみんなが報酬を得たくなるようなインセンティブ設計を行うか、がポイントになると思います。今回ご紹介した興味深い技術や取り組みから、透明性や対改ざん性という一部機能やメリットだけを取り出して既存のビジネスに付け加えることも可能ですが、自律的に運用が進む1つのエコシステムを改めて設計することで、Web3技術を各種産業へ適用する際のメリットが大きいと感じています。

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講演者紹介

Web3ウェビナーレポート~各種産業で活用されるWeb3.0最新技術

蒲原 知宏
リンカーズ株式会社 オープンイノベーション研究所 プロジェクトマネージャー 博士(工学)

【略歴】
東京工業大学大学院 理工学研究科修了。
東陽テクニカにて、自動車ソフトウェア向け静的コードチェッカーや大容量デジタルアセットの高速管理ソフトウェアの技術営業に従事。その後、シーメンスにて構造物振動計測・解析、および騒音源探査ソリューションのプリセールスを行う。
2020 年よりリンカーズに入社し、オープンイノベーション研究所のプロジェクトマネージャーとして、自動車、建設、ヘルスケアなど、多岐にわたる最新技術動向調査を行う。

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