- 配信日:2022.11.25
- 更新日:2024.09.25
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カーボンニュートラルWebセミナーレポート
カーボンニュートラル・サステナブル2022注目技術
カーボンニュートラル技術「低炭素材料 / 素材 / リサイクル技術」
バイオ燃料やバイオプラスチックなど、化石燃料を使わない燃料・素材開発が進められています。
燃料にしてもプラスチックにしても、初期はトウモロコシなど食用の材料を用いていましたが、最近は食料不足との競合が起こらない非食用の植物を用いた燃料 / 素材の開発が実用化されてきています。
さらに、次世代の技術として微細藻類などの微生物を活用した技術開発が進められています。微細藻類は農地ではなくチューブやプールで生産できるため、農地を必要とせず工場内で生産できることが大きなメリットとなっています。
こうした微細藻類や微生物由来のバイオ燃料は、ベンチャー企業を中心に研究開発が進められています。例えば、アメリカの AlgenolBiofuels Inc. は太陽光、海水、廃棄 CO2 を糖類に変換するハイブリッド藻類と、その糖類をエタノールとバイオマスに変換する技術を有しています。ただ、2015 年前後からバイオ燃料事業ではなく、パーソナルケア成分や食品などの事業を主に進めているようです。
微細藻類を用いたビジネスとして、バイオ燃料より食品や飼料分野の実用化が先に進んでいます。特に、魚の養殖や動物の飼料に必要なオメガ3脂肪酸やタンパク質は、これまで魚から製造していましたが、これらの過剰搾取が問題となっており、微細藻類がその代替手段として期待されています。
一方、バイオプラスチック分野では、バイオマス材料由来プラスチックの特性改善が顕著であり、近年では車の内装やシンクなど、人目につき、かつ化学的・物理的な安定性が求められる部分にもバイオプラスチックが用いられる事例が出てきています。特性としてもエンプラレベル性能をうたっている製品が多く開発されており、今後も実用化される材料が増えてくると予想されます。
また、別の観点として、セメントやコンクリート材料に CO2 を吸収させて固定化する技術も、建築業界を中心に期待を集めています。酸化カルシウムに CO2 を反応させて炭酸カルシウムとして固定化する手法が一般的であり、一般的なコンクリートと同等の強度を持つ材料も開発されており、多くの企業が開発に参入しています。
サステナブル社会の実現に向けた事例紹介
最後に、カーボンニュートラルというよりはサステナブル社会の実現に向けた技術として、環境汚染の低減 / 希少資源の有効活用について、いくつか事例を紹介します。
サステナブル関連技術「空気の清浄化」
BreezoMeter は、都市の空気質をマップとして表示するサービスを提供しているイスラエルの企業です。最近では iPhone の天気アプリにもその都市の現在の空気質情報を提供しているので、利用している方もいるかもしれません。PM2.5、NO2、SO2、オゾン、花粉等種類別の空気質を路上レベルの精度で提供しており、同社とコラボレーションした様々なサービスが実用化されています。
空気の清浄化もサステナブル社会の実現には重要な要素となります。
現在の空気清浄機などには、空気中の0.3μm以上の粒子を捕集することができる HEPA( High Efficiency Particulate Air )フィルタが用いられていますが、ウイルスはそれよりも小さいため、HEPA フィルタでは捕捉できません。そのため、HEPA フィルタよりさらに細かい物質を捕捉でき、さらにはウイルスの不活性化ができるようなフィルタが開発されています。
サステナブル関連技術「排水の処理」
産業排水の処理も大きな社会課題となっています。特に有機成分や油脂を排水から取り除くことは、コストがかかることが多いのですが、低コストの吸収材や長寿命の逆浸透膜などの技術が開発されており、こうした技術の普及により排水処理のコスト削減に繋がることが期待されます。
また、排水処理に用いる酸化剤として環境にやさしい酸化鉄を用いることも期待されています。資料には載せていませんが、使い捨てカイロの酸化鉄を再利用して有機汚泥を分解することに取り組んでいるプロジェクトもあり、注目度の高い技術となっています。
最後に、家庭のシャワーの排水を浄化して再利用する技術も注目されています。水が豊富な日本ではあまりイメージがしにくいですが、世界的には水資源の枯渇は大きな社会問題となっており、家庭で使用する水を節約する技術も大きなビジネスになっていくと予想されます。
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講演者紹介
浅野 佑策
リンカーズ株式会社 オープンイノベーション研究所 所長
【略歴】
東北大学工学部卒業( 2006 年)、東北大学大学院工学研究科修了( 2008 年)。
株式会社東芝 生産技術センターにおいて半導体製造プロセスの研究開発に従事。
その後、アクセンチュア株式会社にて大手製造業における工場デジタル化や業務自動化などのデジタルトランスフォーメーションを複数推進。
現職では、メーカーでの研究開発とコンサルティングの経験を活かしてエレクトロニクス領域を中心に、先端技術動向調査、技術マッチング、技術情報を効率的に収集するための技術開発など、製造業向けのイノベーション創出を支援している。
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