• 配信日:2026.03.03
  • 更新日:2026.03.03

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シュナイダーのイノベーションマネジメントシステム(IMS)の秘密:再現性を生む「4つの柱」を徹底解説

この記事は、リンカーズ株式会社が主催したWebセミナー『未来を創る産業イノベーション 〜シュナイダーエレクトリックのイノベーションマネジメント〜』のお話を編集したものです。

シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社の Senior Principal Architect 池添 剛(いけぞえ たけし)氏、Senior Design Engineer 高瀬 裕史(たかせ ひろふみ)氏、 Senior Principal Architect 濱 徹也(はま てつや)氏の3名が、イノベーションマネジメントシステム( IMS )を詳細に解説。4つの柱から成る独自の IMS の構築から運用まで、実体験に基づいた知見を紹介しています。

シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社の紹介


シュナイダーエレクトリックは、社会にとってエネルギーテクノロジーのパートナーとなることを企業のミッションとして掲げています。様々な産業や企業、住まいを、電化・自動化・デジタル化し、効率と持続可能性を追求することが私たちの使命です。

シュナイダーのイノベーションマネジメントシステム(IMS)の秘密:再現性を生む「4つの柱」を徹底解説

こちらの画像は、弊社インダストリアルオートメーション事業部で取り扱ってる製品群です。本セミナーで登壇する私たち3名は、画像左上に示している HMI (ヒューマンマシンインターフェース)製品の企画開発を担当している HMI 事業部に所属しています。 HMI 製品は、装置と人との間をつなぐ重要なインターフェースであり、私たちはその製品開発を通じて、より使いやすく、よりスマートな操作環境の実現を目指しています。

シュナイダーエレクトリックのイノベーションマネジメントシステム(IMS)の事例


シュナイダーのイノベーションマネジメントシステム(IMS)の秘密:再現性を生む「4つの柱」を徹底解説

弊社にとって、イノベーションは単なる技術開発ではなく、企業文化そのものです。「ビジネスの変革とイノベーション活動とをしっかり連携させていく」という考え方をしています。単なる業務改善や効率化だけではなく、新しい価値を創造するイノベーションを軸に、会社全体の変革を推進するという考え方が経営層から明確に示されています。

また、イノベーションの価値を最終的に判断するのは、市場です。そのため、弊社では、イノベーションを事業戦略と連携した価値創出のプロセスとして位置づけています。

まず、マーケットの構造や変化を分析し、顧客が示している課題だけではなく、まだ顕在化していない潜在的なニーズにも目を向けます。ここで重要なのは、どこに成長の機会があるかを見極めることです。その上で私たちは、オープンなテクノロジーと相互運用可能なソフトウェアを活用し、持続可能で、回復力のある産業の未来を支えるソリューションへとつなげていきます。

シュナイダーのイノベーションマネジメントシステム(IMS)の秘密:再現性を生む「4つの柱」を徹底解説

こうした一連の流れを組織として継続的かつ確実に実行するために必要なのが、イノベーションマネジメントシステム( IMS )です。 IMS は、単なるアイデアの管理ツールではありません。社内外の人材の力を生かし、アイデアを製品へと展開するプロセスや、戦略と整合したガバナンスなどといった複数の要素を統合し、イノベーションを偶然ではなく再現可能な成果として生み出すための仕組みです。

市場の変化が激しく、技術のライフサイクルが短くなっている今、個人のひらめきや一時的なプロジェクトに頼るのではなく、組織全体としてのイノベーション能力を体系的に高めることが不可欠です。 IMS はそのための仕組みであり、継続的な価値創出を支える運営モデルといえます。

シュナイダーエレクトリックのイノベーションマネジメントシステム(IMS)を構成する4つの柱


シュナイダーのイノベーションマネジメントシステム(IMS)の秘密:再現性を生む「4つの柱」を徹底解説

弊社の IMS は、次世代の産業世界を構築するための4つの柱で成り立っています。

  • 1. 人材のマインドセットとスキル
  • 2. 外部との連携と顧客共感
  • 3. アジャイルかつリーンなプロセス。
  • 4. ビジョンと戦略に整合したガバナンス

弊社の IMS の特徴は、特定の産業分野に深く特化し、その領域での顧客ニーズと技術課題に対する最適解を顧客や外部パートナーと共同で創出することにあります。自社の技術や強みを分析・活用しながら顧客価値共創型のエコシステムを構築することで、単なる製品開発ではなく、産業の未来をともに形づくることを目指しています。

1つ目の柱〜人材のマインドセットとスキル〜

シュナイダーのイノベーションマネジメントシステム(IMS)の秘密:再現性を生む「4つの柱」を徹底解説

1つ目、人材のマインドセットとスキルについて。イノベーションを生み出すには、人材のマインドセットとスキル向上が不可欠だと考えています。その考えのもと、私たちはイノベーション文化を育てるために、以下のような取り組みを行っています。

まず土台として、いつでも誰でもアイデアを投稿できる「アイデアボックス」というプラットフォームを用意すること。ここに投稿されたアイデアはコミュニティでスコアリングされ、高く評価されたものは次の段階へ進みます。しかし、投稿する場所だけがあっても活用されなければ意味がありません。そこで、アイデア生成セッションやハッカソンを定期的に開催し、コンテストやワークショップを通じてアイデアを生み出す機会を設けています。

それから組織において失敗を許容する文化を作ることが重要です。失敗を許容するリーダーシップがなければ、挑戦を後押しする文化は作れません。弊社で数日かけて行われる管理者向けのトレーニングでは、このことが徹底されます。

また、全従業員に向けて、イノベーションに関する意識向上とトレーニングを提供しています。

さらに、全従業員から定期的にイノベーションに関する意見を収集し、経験やベストプラクティスを共有することも欠かせません。誰もがイノベーションに参加できる文化を作ることも大切です。

過去にはイノベーションアイデアを考える専門チームも存在しましたが、どうしても独立部隊のような立ち位置になってしまい、良いアイデアがあってもなかなか製品化に至れないということが頻繁にありました。現在、弊社では経営事業の中心にイノベーションを据えるという考えに基づき、システムとプロセスを確立しています。

2つ目の柱〜外部との連携と顧客共感〜

シュナイダーのイノベーションマネジメントシステム(IMS)の秘密:再現性を生む「4つの柱」を徹底解説

2つ目の柱である外部との連携と顧客共感について見ていきましょう。イノベーションのスピードを加速させるために最も大切なのは、社内だけで完結しないことです。弊社は、外部のパートナーや顧客、新しいテクノロジーを積極的に取り入れることで、より関連性が高く、スピード感のあるイノベーションを実現しています。

まずは、顧客の声を取り入れること。顧客の課題や期待を理解し、イノベーションの出発点にします。次に、パートナーとの協業。大学やスタートアップ、戦略的サプライヤーと連携し、新しいアイデアを素早く市場に投入します。そして、新しいテクノロジーの活用。テクノレーダーやテクノプランを通じて、社会的なイノベーションを可能にします。

シュナイダーのイノベーションマネジメントシステム(IMS)の秘密:再現性を生む「4つの柱」を徹底解説

イノベーションのゴールは、顧客のニーズや期待に本当の意味で応えることです。そのために、まず顧客の課題を深く理解する必要があります。インタビューやフォーカスグループ、現場観察などを通じて、顧客のペインポイントを把握します。ここで重要なのは、アイデアの段階で顧客を巻き込むことです。ストーリーテリングやスケッチ、プロトタイプモデルを使って、早い段階で顧客と一緒に検証を行います。場合によっては、顧客の現場で試作品を試すこともあります。そして、インタビューや観察を通じて顧客の本質的な課題を把握します。

シュナイダーのイノベーションマネジメントシステム(IMS)の秘密:再現性を生む「4つの柱」を徹底解説

では、そのアイデアの実現を支えるパートナーについて見ていきましょう。パートナーとの協業によって外部の視点や専門知識を得ることは、弊社の強みを広げてくれます。

例えば、大学や公的研究機関は専門知識や研究成果を提供してくれます。スタートアップは新しい技術やアイデアの源泉です。戦略的サプライヤーは革新的な部品やノウハウを持っています。これらのパートナーと連携することで、オリジナルなイノベーションの機会を広げ、市場投入までのスピードを加速するのです。

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最適な「共創パートナー」を、独自のネットワークでスピーディに特定。
Linkers Sourcing」は、自社にない技術やノウハウを持つ最適なパートナーを、全国の産業ネットワークから探索します。技術的なミスマッチを防ぎ、市場投入までのスピードを加速させます。

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次に、新しいテクノロジーの活用について。新しいテクノロジーの活用が破壊的なイノベーションを生み出す鍵となります。弊社はテクノレーダーを使って有望な技術を早期に特定することにより、広い視野で技術動向を把握し、ギャップやシナジーを見つけます。

さらに、テクノプランで、まだ習熟していない成長中の新興技術を探索します。これにより、実現可能性を確認。そして必要なスキルを獲得し、知的財産を保護します。

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Linkers Research」は、世界中の先端技術動向を徹底調査するサービスです。社内での「テクノレーダー」活動を補完し、自社リソースだけでは網羅しきれないグローバルな変化の兆しや新興技術を、専門家の知見を交えて深く掘り下げます。

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