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- 配信日:2025.02.14
- 更新日:2025.02.14
オープンイノベーション Open with Linkers
生成AI技術の最新トレンドと用途〜論文・特許データ分析〜
AI(人工知能)とは
AI(人工知能)は、人間の知能を模倣し、機械が学習、推論、問題解決を行う技術です。データからパターンを学び、予測や最適化を実現することで、新規事業開発や業務効率化において革新的な役割を果たしています。
この記事は、リンカーズ株式会社が主催した Web セミナーより、論文・特許データの分析に基づき、AI の用途や、それを支える技術のトレンド、さらにはビジネス変革における AI の重要性について解説したパートを書き起こしたものです。
記事の最後では、セミナー講演時に使用した資料の一部を無料にてダウンロードいただけますので、あわせてご覧ください。
目次
● AI(人工知能)とは
● AI 技術と論文・特許データで、ファクトベースで技術トレンドを分析する重要性
● 生成AIの用途分析結果
● 製造業・ソフトウェア開発分野における生成AIの主な用途
● 生成AIの用途を支え進化させる技術
● 生成AIによるビジネス変革と価値創造
AI技術と論文・特許データで、ファクトベースで技術トレンドを分析する重要性
リンカーズの浅野より、論文・特許分析から見るテキスト生成AIの実用化トレンドについて、最新のファクトから仮説を立てるときに役立つ分析事例を紹介します。
最新テクノロジーを使ってイノベーションを創造するためには、ファクトを入口に仮説を立てていくことが大切だというのは1つの事実かと思います。もちろんファクトやデータから仮説を立てるだけでは不十分で、その仮説からしっかりと意思や目的を持って事業につなげていくためのヒトの活動も重要になります。しかし、やはり入口でファクトをしっかりと理解して仮説を立てるということは必要となります。
テクノロジーに関するファクトというと、その源流となるのは論文・特許です。しかし論文や特許を読み解いて技術トレンドを分析するのは骨が折れる作業となるでしょう。
最近は LLM(大規模言語モデル)など自然言語処理の AI が急速に発展してきているため、人間が多大な時間や労力をかけずとも、全体としてどういうトレンドがあるかを俯瞰的な情報を見ることができるようになってきています。その事例の1つとして「テキスト生成AI技術の利活用」について用途と技術を組み合わせて分析した結果を紹介します。
生成AIの用途分析結果
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生成AIに関連する直近 10 年の論文・特許は、大体 20 万件あり、その内、生成AIの具体的な用途に関する言及がある論文・特許は3万 3,000 件ぐらいありました。そこで、その3万 3,000 件の論文・特許が生成AIをどこに使おうとしているかについて7つのグループに分類しました。
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- ● ライフサイエンス
- ● インダストリー(製造業・ソフトウェア開発分野)
- ● コマース
- ● エンバイロメント
- ● パブリックサービス
- ● オフィス
- ● エンターテイメント
それぞれのグループにどれぐらいの論文・特許が当てはまるかという分析を、生成AIを活用しながら行いました。
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こちらの図がそれぞれの分野と、その分野での AI の使い道を検討している論文・特許の数をバブルマップで出したものです。オレンジ色が論文で青色が特許を表しています。
2023 年以降、どの分野でもバブルが急激に大きくなっているのは、多くの方の想像範囲かなと思います。細かく見ていくと、例えばパブリックサービスやライフサイエンスは赤色の割合が多いため、論文ベースで生成AIをどう使っていくかという新しい技術開発が主に進められている分野だとわかります。一方でオフィスやエンターテイメントは比較的青色の割合が大きい、つまり特許が多いので、基礎研究が進められつつ、それをどう事業に使っていこうかというようなフェーズであることが見て取れます。
今回は時間が限られているので、インダストリー(製造業・ソフトウェア開発分野)についてのみ少し深掘りをしていきます。
製造業・ソフトウェア開発分野における生成AIの主な用途
インダストリー(製造業・ソフトウェア開発分野)に関連する生成AIの用途について、さらに6つの用途カテゴリーに分解しました。
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- ● 生成AIによるコード生成・バグ修正・テスト自動化で開発効率向上
- ● AI によるソフトウェア開発プロセスの最適化とAI-人間協働
- ● 機械学習モデルの最適化・セキュリティ強化によるソフトウェア品質向上
- ● 大規模言語モデルによるロボットのタスク遂行能力向上と製造業への応用
- ● AI・NLP 活用による製造設備の運用・保守効率化
- ● 自然言語を SQL クエリに変換する技術でデータ操作を容易化
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こちらのグラフは、横軸に直近5年でそのカテゴリーがどれぐらい伸びたかという増加率をプロットしています。縦軸はそのカテゴリーの論文・特許数です。グラフを見ていくと、「大規模言語モデルによるロボットのタスク遂行能力向上と製造業への応用」と「 AI ・ NLP 活用による製造設備の運用・保守効率化」のカテゴリーが、特に伸びていることがわかります。
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具体的にどのような技術が開発されているかというと、例えば大規模言語モデルを使ってロボットのタスクプランニングをする技術。人間とのインタラクションの部分で LLM を使うことで曖昧な言葉でロボットを動かせるようになる技術の研究が増えてきています。
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それから、ロボット向けのプログラミングには専門知識が必要ですが、それを LLM を使って簡単に開発できるようにする研究もあります。
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また、大規模言語モデルを使って設備の保守・故障診断ができるようになってきています。数値データだけではなくて過去の故障履歴について文章で書かれていたデータも反映してどういう故障が起こりそうか判断することなどが LLM を使ってできるようです。