【2025年】年初インタビュー「製造業を取り巻く変化について」｜ダイキン工業株式会社

2024 年も世界の情勢不安、物価高、賃金上昇の動き、日銀のマイナス金利政策解除など、外的環境の変化が著しい 1 年でした。同年、リンカーズのセミナーにご登壇いただいたイノベーション推進者、経営者、実務家の皆さまが、この変化をどのように捉えているのか。イノベーション活動に変化をもたらしたもの（こと）、注目技術、そして 2025 年の企業の役割・課題などについて、今年も 2025 年の年始インタビューとしてお話を伺いました。

本記事では、ダイキン工業株式会社 執行役員 テクノロジー・イノベーションセンター副センター長の河原 克己 氏にお話を伺いました。
※所属企業・肩書は 2024 年 12 月 20 日時点のものです。

ーー今、製造業が果たしてゆくべき役割、その役割を果たすにあたっての課題について、どのように考えていますか。

河原氏：
技術力をベースに、安全で付加価値の高いモノづくりを続けなければならない。環境配慮と共に、全ての人にとって健康・快適・安心・安全な新しい価値を創出し続ける必要がある。一方で、グローバル企業としてのコスト競争力でも負けないように、従来とは非連続な効率の高い生産システムを生み出していかねばならない。多様な技術が必要であるが、最大のキー技術はやはり AI・データ活用技術であり、DX の早期実現である。

ーー上記の役割や課題について、重要性や緊急性などは変化しているでしょうか。

河原氏：
海外企業の技術のキャッチアップ、分野によっては既に日本企業を超えていっている企業も多く出現している。緊急性は間違いなく増しており、やはりモノづくりは IoT ソリューションの要であるので、新しい価値を創出できるモノづくりの重要性も益々高まっている。

ーー今後、製造業を取り巻く環境の変化に対して、もっとも危機感を持っていることを教えてください。

河原氏：
「産業構造の大幅な変化」と「新規の競争者の出現」。DX、GX で、産業構造は大きな変化が始まっている。それに従い、当然新たなライバル企業も登場し、新たなパートナーシップも生まれてくる。空調設備業界で言うと、PV ／ EV ／ヒートポンプなどが既にシステム化され、エネルギーソリューションプロバイダーとして、テスラもエネルギー事業を始めている。
今後は、個別要素技術だけではない、ビジネスモデルレベルで統合を狙うような、大型の連携を前提とした、企業対企業のオープンイノベーションが重要な経営課題となってくる。

ーー 2024 年、貴社のイノベーション活動に変化をもたらすと考えられる外的環境変化や、技術革新はありましたか。また、外的環境変化に伴い、内的環境変化は起こりましたか。

河原氏：
外的環境変化：グローバル各地の市場での、フロンガス規制、省エネ規制。中国企業の事業規模拡大、技術力向上。ロシアの灯油・石炭の EU 輸出の減少など。

内的環境変化：代替冷媒化の加速。欧州暖房給湯用ヒートポンプ市場の拡大。量産
コストイノベーションの必要度加速。開発リソースの逼迫など。

ーー 2025 年以降、どのようなことがイノベーション活動の大きな変化につながると注視していますか。また、イノベーションをどのように捉えて、どのような変化を起こそうとしていますか。

河原氏：
ものづくりの強みを活かしながら、IoT システム化したコトづくりのシステムイノベーション、それらを活用したビジネスモデルの進化。

ーー注目している技術、技術カテゴリについて教えてください。

河原氏：
AI ・ IoT、再生可能エネルギー、エネルギーマネジメント、先端工業用材料、生体医工学、リサイクルなど。

ーーリンカーズのようなオープンイノベーション支援のビジネスマッチング仲介会社に期待する役割などに変化はありますか。

河原氏：
自社では、企画・実行が不可能なイノベーションへの、参画・サポート。提携・連携・ M&A 候補先の探索と提案。

リンカーズの実施する Web セミナーにご登壇いただいた皆さまに年始の特集インタビューとしてお話を頂戴しております。他の皆さまへのインタビューはぜひこちらをご覧ください。

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