• 配信日:2023.08.10
  • 更新日:2024.07.24

最新技術調査事例

アクチュエータ技術の新たな可能性と顧客課題を発見~日本精工株式会社~

「 Linkers Research(リンカーズリサーチ)」は、お客様の要望に合わせて世界の先端技術動向を調査するサービスです。
日本の大手ベアリングメーカーである日本精工株式会社には、さまざまな業務目的で Linkers Research を複数回ご利用いただきました。
どのような課題からリンカーズサービスの活用を視野に入れ、複数回のご利用に至ったのか。また、実際の取り組みの中でどのような感想をお持ちになったのかを、同社 産業機械技術総合開発センター 産機新商品開発室でグループマネジャーをされている、青崎 義宏 様にお話を伺いました。

日本精工株式会社について

アクチュエータ技術の新たな可能性と顧客課題を発見~日本精工株式会社~

NSK は、1916 年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100 年にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960 年代初頭から海外に進出し、現在では 30 ヶ国以上に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、また電動パワーステアリング、ボールねじなどにおいても世界をリードしています。

私(青崎様)の所属する「産業機械技術総合開発センター 新商品開発室」は、トライボロジー技術とメカトロ * 技術の融合により、社会課題の解決に貢献するユニット・システム新商品の創出を行うことがミッションです。その中で、私はメカ・トロ・ソフト・制御の各技術を活用し、ロボティクスに関わるシステム新商品を開発しています。

*メカトロ=メカトロニクス。メカニクス(機械工学)とエレクトロニクス(電子工学)を合わせた言葉。

そもそも抱えていた課題とは

アクチュエータ技術の新たな可能性と顧客課題を発見~日本精工株式会社~

弊社が得意とする高精度・高耐環境かつスムーズな動作などを実現するアクチュエータ * 技術を、半導体製造プロセスの中でもっと活用していただくことができないかを検討していました。これまでは、お客様からの要望をお聞きして応えていく形が多かったのですが、もっと弊社がお客様の課題を積極的に分析し、技術を提案していくスタイルに変革しようとしていました。

*アクチュエータ=エネルギーを物理的・機械的な動作に変換する装置。

調査サービス「Linkers Research」の利用のきっかけ

アクチュエータ技術の新たな可能性と顧客課題を発見~日本精工株式会社~

これまでにお付き合いさせていただいているお客様の課題感は把握しているものの、今回のアプローチのためにはお客様の課題を俯瞰(ふかん)的に分析する必要がありました。リンカーズには以前技術パートナー探索を依頼したことがありましたが、技術リサーチも可能ということで声をかけさせていただきました。

今回はリンカーズにご協力いただき、半導体の動向やプロセスのトレンド・課題を俯瞰的に調査し、そこからメカトロニクスの要素部品に求められる課題について仮説を積み重ねてきました。
仮説立案においては、事実の積み上げに対して、専門知識を活用しての推論になります。この点で、リンカーズには半導体領域に詳しいコンサルタントさんがいらっしゃり、その方とディスカッションしながら仮説を構築していきました。この仮説から、弊社にとって重要度の高い仮説を選別し、より深堀りをするために半導体製造や、製造装置開発の一線でマネジメントされている方にインタビューをしていただきました。インタビュー先はグローバルに探していただき、その回はすべて海外でのインタビューとなりました。

その結果とは(利用1回目の評価、感想)

アクチュエータ技術の新たな可能性と顧客課題を発見~日本精工株式会社~

対象製品と製造プロセスのマトリクスを描き、網羅性に配慮しながら課題を抽出していただきました。課題についても、直近の課題なのか、中期・長期なのか、といったような観点で立体的な整理をしていただき、戦略立案の助けとなりました。

この中から、さらに課題・仮説を抽出したうえで、その課題に関わっているであろう業界のキーマンに対してインタビューをしていただきました。その結果、多くの課題に対して重要度・優先度をつけられたことや、新たな情報も発見できました。
これらの情報を、最終的には弊社が活用しやすいように、アクチュエータ側の視点に立った課題・打ち手としてまとめていただきました。これにより製品企画・開発の方向性を定めることができました。

また、中間報告も複数回設けていただき、弊社の狙いとの乖離(かいり)がないかなどを常に整合していただきましたので、安心してお願いすることができました。

その後の複数回のご利用の狙いについて

アクチュエータ技術の新たな可能性と顧客課題を発見~日本精工株式会社~

これまでの調査により、リンカーズにはとても信頼をしており、前述とは異なる分野での調査もお願いしました。私たちは、技術の新たな活用領域の探索や、自分たちが挑もうとしている領域について、俯瞰的に把握することと、自分たちのポジショニングを常に意識しています。そのために、リンカーズには技術動向の調査を何回かお願いしました。

その結果とは(利用2回目以降の評価、感想)

アクチュエータ技術の新たな可能性と顧客課題を発見~日本精工株式会社~

弊社保有技術を活用できる用途領域を抽出いただき、弊社保有技術との親和性とビジネスポテンシャルの視点でまとめていただきました。本情報に基づきながら、最終的にはその保有技術の転用をペンディング(保留)する、といったような判断の材料にしたこともあります。やらない判断をすることはとても難しいのですが、調べつくした感もあり社内で合意することができました。

また、もう一つの調査についてはこの領域でのチャンスが弊社にあると判断することができ、まさに現在も技術開発を進めております。

今回の取り組みをふまえて、今後取り組んでいきたいこと

アクチュエータ技術の新たな可能性と顧客課題を発見~日本精工株式会社~

自身で調査するとどうしても調査領域や内容に偏りが出てしまう部分があるのですが、リンカーズにお願いすることで我々があまり着目していない領域の発見や、活用されている技術を通して、その向こう側にあるユーザニーズを発見することができました。

リンカーズの調査に基づいて開発をスタートしたものについては、今後は弊社技術の立ち位置を明確にするような調査をしていきたいと思います。

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