
- 配信日:2025.04.16
- 更新日:2025.09.26
オープンイノベーション Open with Linkers
エージェンティックAIとは?Deep Research機能と活用事例を徹底解説
エージェンティックAIとDeep Researchの関係性
Deep Research とは、リサーチ分野で特に注目されている、エージェンティックAIを活用した高度なリサーチ機能の総称です。これは特定のサービス名というより、 OpenAI 、 Google 、 GenSpark 、 Perplexity などの各社が同じ名称で発表している機能です。
Deep Research の内部プロセスは公開されていませんが、スタンフォード大学の『 STORM 』のようなアプローチを採用していると推測されます。エージェンティックAI の特徴は、特定の目的に対して最適化された一定のプロセスフローを持っていることです。
例えば『 STORM 』では、Wikipedia 風の文章を書くために、まず全体のアウトラインを生成AI が作成し、並行して様々なエージェントとの議論を行います。その議論結果を踏まえてアウトラインを改良し、最終的に文章を作成するというプロセスを踏みます。
Deep Research も同様に、決まったプロセスの中で「ここは AI に自由に考えさせる」というポイントを設けつつ、全体として一貫したフローで動いていると考えられます。
エージェンティックAIの課題と今後の展望

Deep Research機能は非常に強力なリサーチツールですが、あえて課題をあげるなら、以下のようなものがあります。
- 1. 一問一答、伝言ゲーム:途中で誤った要素が入ると引きずられ、最初のルールが忘れられることがある
- 2. 検索ベースでの情報収集:特定サイトの情報を網羅的に調べる、特定業界の会社を全て調査するなどの方法は現状難しい
- 3. 大規模調査のコスト:数千・数万件の情報ソースを調査すると、トークン量が膨大になり費用が跳ね上がる
- 4. 調査対象や目的の見直しができない:最初の命令に縛られ、より良い調査方向への逆提案ができない
- 5. プロセス最適化の課題:1〜4の課題を踏まえてどうプロセスを最適化するかも課題
プロセスの最適化について1つ事例を挙げます。
例えば「 CES 2025 でアワード受賞した企業の中で」という頭文字をつけて先ほどと同じプロンプトで調査を依頼すると、 AI は「 CES 2025 生成AI 受賞」などの検索式で情報を集めようとします。しかし、人間なら CES の公式サイトのアワードページに行き、そこで 「生成AI」 というキーワードでフィルタリングすれば効率的に情報が得られます。
このように、特定領域や目的に合わせたちょっとしたノウハウを導入することで、現状の Deep Research を超える機能が比較的容易に作れます。今後、特定の領域や目的に特化した、汎用的な AI よりも性能の良いエージェンティックAI が爆発的に増えていくでしょう。
こうしたエージェンティックAI を開発する際に必要なのは、専門知識や専門家の効率的なノウハウ、プロセスのすり合わせ、各プロセスのプロンプトの調整など、非構造的な要素の擦り合わせです。これは日本人が得意とする分野かもしれません。日本人はカチカチとシステム化されたものより、車のエンジンや新素材開発のような要素間の結合が強く擦り合わせが重要な分野で強みを発揮してきました。エージェンティックAI の開発も同様に、複雑に結合された要素をうまく調整して最適解を見つけていくプロセスであり、日本人が得意とする領域になる可能性があります。
リンカーズのサービス紹介とまとめ:AIを活用した次世代リサーチを支援

リンカーズでは、 Deep Research などの AI だけでは難しい調査にも対応したサービスを提供しています。例えば、数万件の特許・論文から技術トレンドを網羅的に分析し、価値あるインサイトを提供する「 Linkers Trend Map 」や、AI だけではなく人間の調査ノウハウと知識を活かした「 Linkers Research 」などがあります。

最近は「機能性素材」、「表面処理技術」、「テキスト生成AIの産業活用」など、多くの方に興味を持っていただけそうな技術分野について、直近5年の論文を網羅的に調査し、技術トレンドを解析したレポート(「 Linkers Trend Map – 技術総覧 – 」)も提供しています。R&D や新規事業企画の基礎資料として、効率的に世界の研究動向を把握することが可能です。
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講演者紹介

浅野 佑策
リンカーズ株式会社 イノベーション推進事業本部
【略歴】
東北大学工学部卒業( 2006 年)、東北大学大学院工学研究科修了( 2008 年)
株式会社東芝 生産技術センターにおいて半導体製造プロセスの研究開発に従事。
その後、アクセンチュア株式会社にて大手製造業における、工場デジタル化や業務自動化などのデジタルトランスフォーメーションを複数推進。
現職では、メーカーでの研究開発とコンサルティングの経験を活かして、エレクトロニクス領域を中心に、先端技術動向調査、技術マッチング、技術情報を効率的に収集するための技術開発など、製造業向けのイノベーション創出を支援している。
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