• 配信日:2023.04.12
  • 更新日:2024.04.19

オープンイノベーション Open with Linkers

イノベーション事例~KOAのIMS導入と試行錯誤の事例

イノベーションに向けた長年の試行錯誤


イノベーション事例~KOAのIMS導入と試行錯誤の事例

KPS-3を開始したのは、実は 10 年以上前で、当初は仮説検証活動とは何か、何をすれば良いのかすら分からないまま試行錯誤していました。やりはじめた当時は、KPS-3がなかなか全社に浸透しない、成果がなかなか上がってこないという悩みを抱えていました。それでも活動をつづけながら、新規事業を行う社長直下の部署を発足するなど、価値創出の活動をやりながら体制や仕組も徐々に構築し進めてきています。

そんな中、2030 年ビジョンを掲げたことで、急速に全社活動として浸透しはじめています。

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イノベーション事例~KOAのIMS導入と試行錯誤の事例

イノベーションマネージメントシステムがあればイノベーションが生まれるかというと、そうではありません。企業や個人の目的と、実現するための意志が必要です。そのうえで、共通認識を作っていくことが重要で、弊社も苦労した部分でした。

イノベーション事例~KOAのIMS導入と試行錯誤の事例

KPS-3をスタートして 10 年、『 Windgraphy 』を上市するまでに 7 年かかっています。この話をすると、なぜ継続できたのか、なぜこれほど時間がかかったのかよく質問されます。この点について、私の意見をお伝えします。

KPS-3を継続できた理由

イノベーション事例~KOAのIMS導入と試行錯誤の事例

KPS は弊社の DNA となっていて、経営も含めて、全社員が変化が必要なことは理解していたと思います。時間がかかったのは、具体的に何を、どうすれば良いのかが分からなかったことが大きな要因だと思います。それでも経営陣が、社員たちのチャレンジを理解し、容認・支援してくれたことが継続につながったのだと思います。

また、何があっても絶対に新規事業を諦めないイノベーターとなる社員がいて、少しずつ仲間が増えて行ったことも、継続できたことに影響していると思います。

KPS-3に時間がかかった理由(その他)

インターネットで検索すると、新規事業がうまくいかない理由が山のようにヒットします。弊社も同じようなことがネックになっていました。

具体的には、

  • ・関係者と意見交換や調整をするも、誰に承認を得れば良いのかが分からない
  • ・相談できる人、組織がない
  • ・他部門の協力が得られない
  • ・試作品を必要以上に作り込みすぎる
  • ・既存の社内ルールを当てはめようとする。
  • ・自前主義

などが挙げられます。

イノベーション事例~KOAのIMS導入と試行錯誤の事例

さらに事業として人材不足だったことも否めません。電子部品の技術者は化学系の人が多いので、『 Windgraphy 』で活用しているようなソフトや回路設計が弊社にできる人がほとんどおらず、開発当初は苦労しました。さらに新規事業開発を経験してきた人も少なかったので、勉強しながら活動する状態でした。

仕組みについてもルール・判断基準が無かったことがネックで、特に社内の既存のルールだった品質マネージメントシステムは、新規事業には不向きな組織風土だったと感じています。

社員の意識も時間がかかった要因の1つで、変化に対する抵抗感や不明確なゴールを探して活動することへの不安などにより、新しいことにチャレンジする人がなかなか出てきませんでした。社員同士の認識の相違も影響しており、共通言語を作ることや言語の定義を統一することにも時間がかかったと感じています。

IMS導入の経緯


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弊社がさまざまな取り組みを行う中で、最も苦労した部分は「共通認識の醸成」でした。課題や方向性などを全社員で共有するまでが大変です。しかしそれさえできれば、あとは参考書やコンサルなどを利用することでやり方は見つけられると思います。

私の体験上、共通認識の醸成において最も厄介なのは「無関心」です。異なる意見を言ってくる人は議論がしやすいため、むしろ共通認識を作りやすい相手といえます。無関心な人は議論すら生まれないため、巻き込むのが非常に難しく感じました。

イノベーション事例~KOAのIMS導入と試行錯誤の事例

そして、他部門と話し合うときに、新規事業を進めているメンバが使う聞き慣れない用語が山ほどあり、既存事業をやっている人は当然理解できません。そのため、意見交換や議論をしたくてもうまくできないことも障壁になったため、本来ならば専門用語や新事業創出に関する教育をもっとやる必要があったと今になって思います。

さらに時間軸の認識合わせにも時間がかかりました。既存事業の担当者は製品開発の段階からしか経験がないため、新規事業の担当者が行っている事業企画を作るまでの活動について理解してもらいにくかったのです。議論をしていても、お互いに認識している時間軸が全く違っていたということがよくありました。

イノベーション事例~KOAのIMS導入と試行錯誤の事例

IMS の導入にあたってさまざまなことを行ってきましたが、導入背景としてのポイントは大きく2つあります。

新しい仕組み化の活動

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1つは新しい仕組み化の活動です。 これまでの活動で苦労してきたことを仕組化しようとして、2018 年ごろからスタートし、まずは会社活動方針で「仕組みづくり」を明文化しました。 2019 年に IMS の存在を知り、経営層に提案をしながら 2021 年に JINが行っているIMSAPスタジオ に参加しました。

2030年ビジョンの提案

イノベーション事例~KOAのIMS導入と試行錯誤の事例

もう1つが、2030 年ビジョンの提案です。弊社の若手、中堅社員を中心に経営層へ将来の会社の在り方を提案し、その提案をもとに経営層がビジョン具現化ワークショップを実施しました。そのワークショップで、 2030 年に弊社がどのような会社になっていたいか、全員が共通の認識を持つために1年以上にわたって徹底的に議論しました。

KOAにおけるIMSの役割


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これまでの弊社の活動や IMSAPスタジオ に参加したことで、自社独自の IMS を作成することができました。これにより、社員同士で時間軸の認識を合わせることができ、活動のマイルストーンが明確になったことが大きな成果です。

イノベーション事例~KOAのIMS導入と試行錯誤の事例

大きな企業がイノベーションを行う場合、自社のリソースがふんだんに使えるという強みがあり、そのリソースを生かす仕組みを作ることにスタートアップとは異なる魅力があると考えています。

弊社としては、画像左にあるグラフの、右上の領域を目指しており、そのためには活動を行う会社・個人の目的、すなわち共通認識と意志が必要です。単に仕事として新規事業を行うのではなく、志事(しごと)として活動できるメンバをいかに増やすかが鍵になると思います。

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そして私個人としては、新規事業に取り組むうえで「楽しむ」ことを重視し、仲間に対しては内発的な動機付けを行うことを心がけ、経営層には根気強く自分たちの気持ちを伝えることを意識しています。

講演者紹介

イノベーション事例~KOAのIMS導入と試行錯誤の事例

坪木 光男 氏
KOA株式会社 KPS-3イニシアティブ IMS 推進センター ゼネラル・マネージャー

【略歴】
長野県生まれ 横浜国立大学 工学部
1999 年、大手電機メーカより KOA へ転職。微生物を使った新事業の R&D に従事。
2010 年、KPS ( KOA Profit System )と名付けられた経営改善活動の第三ステージを推進するための新組織に異動し「仮説・検証活動をベースとした価値創出」にチャレンジ。
2015 年に新事業を行う部門を提案し、新事業の活動と仕組創りを同時進行。
2022 年に IMS 推進センターを提案し、全社的なイノベーション活動とすべく試行錯誤中。

オープンイノベーションを支援するリンカーズの各種サービス

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