• 配信日:2023.03.30
  • 更新日:2024.04.19

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人間の五感を再現する注目技術20選

五感を再現する技術2:嗅覚を再現する技術


人間の五感を再現する注目技術20選

次は嗅覚を再現する技術で弊社が注目しているものを紹介します。

VR空間に香りをプラスする技術

人間の五感を再現する注目技術20選

現在、嗅覚を再現する技術として、 VR ゴーグルなどに合わせて空間に香りをプラスするデバイスの開発が進んでいます。

主流な方法は、香りを発するカートリッジを挿入して、そこから任意の香りの組み合わせを再現するというものです。

他には香りをスプレーのように噴射する方式や、ピエゾ素子を使って振動によって香りを拡散させる方式など、さまざまなアプローチが検討されています。

素早く香りを発生させて、なるべく早く香りを消し去ることが、昨今の技術開発のポイントになっています。そのため、残り香を取り除くためのファンをデバイスに装着するなどのケースも見られます。

事例14:Hypnos Virtual の技術

人間の五感を再現する注目技術20選

Hypnos Virtual というアメリカの企業では、1 / 4 秒の精度で他の香りに切り替える技術と、数百万通りの香りの組み合わせを再現する技術を使った VR 用デバイスを開発しました。現在 VR ゲームなどへの導入を検討中とのことです。

事例15:Noar Brasil Industria e Comercio de Fragrancias Digitals の技術

人間の五感を再現する注目技術20選

Noar Brasil Industria e Comercio de Fragrancias Digitals というブラジルの企業では、香りを提示するタブレット型のデバイスを開発しました。マイクロカートリッジを用意して、最大 20 種類のフレグランス成分を充填して、デバイスの片側にある小さな穴からスプレーのように香りを噴射するという仕組みです。

この技術は、製品の匂いも一緒に感じられるようなカタログとしてマーケティングに使用することを想定して開発が進められています。

事例16:OVR Tech の技術

人間の五感を再現する注目技術20選

OVR Tech というアメリカの企業では、ヘッドマウントディスプレイに装着して、 VR 体験中に任意の香りを噴射するデバイスを開発しました。

この技術では、ピエゾ素子を使って香りの粒子を噴出させ、ミリ秒単位で匂いをコントロールすることが可能です。作動後に香りを消すという点でも、ファンを使って残り香を飛ばすという工夫も施されています。

五感を再現する技術3:味覚を再現する技術


人間の五感を再現する注目技術20選

続いては、味覚を再現する技術の中で、弊社が注目しているものを紹介します。

味覚を制御する技術

人間の五感を再現する注目技術20選

電気的な刺激を使って味覚を再現したり、特定の味を増強したりする技術が研究されており、それを実現するためのデバイスの開発が企業や大学などで取り組まれています。まだ実験段階の技術が多く、これからより注目度が高まっていくであろう分野です。

事例17:Naional Universiy of Singapore の技術

人間の五感を再現する注目技術20選

Naional Universiy of Singapore というシンガポールの大学では、箸の形をした味覚を再現するデバイスの開発が進められています。

デバイスから電気パルスを送り、パルスのサイクルの継続時間や振幅などを変えることで塩味や酸味などの感覚を再現・増強したりすることが可能な技術です。

実際にこの技術が実用化されれば、塩分を控える必要がある方が、少ない塩分でも味をしっかり感じられるようになるなど、健康・ヘルスケアの分野で展開が期待されるのではないでしょうか。

事例18:明治大学の技術

人間の五感を再現する注目技術20選

こちらの画像は、明治大学とキリンホールディングスが共同研究しているデバイスです。

箸型で、電気刺激によって減塩食を食べたときに感じる塩味を 1.5 倍に増強することができます。電気刺激を与えることで口の中の味覚(舌にある味蕾)が移動して、味の認識が変化するという仕組みで塩味を再現すると考えられています。

五感を再現する技術4:視覚を再現する技術


人間の五感を再現する注目技術20選

次は、視覚を再現する技術の中で、弊社が注目しているものを紹介します。

今回の調査では、2次元ディスプレイの高解像度化や一般的な VR ゴーグルを使った技術などは除き、裸眼で立体的な映像を得ることができる技術にどういったものがあるかを調べました。

ホログラフィックディスプレイ/ライトフィールドディスプレイ技術

人間の五感を再現する注目技術20選

10 年ほど前に日本でも、裸眼立体ディスプレイが流行し、商品化されたものもあります。最近も脈々と裸眼立体視の研究は進んでおり、特に注目されているのが、どの角度から見ても立体的に見えるホログラフィックディスプレイや、ライトフィールドディスプレイなどの技術です。

ホログラフィックディスプレイと、ライトフィールドディスプレイは混同されることも多いのですが、原理はやや異なります。簡単に説明すると、ホログラフィックディスプレイは物体から反射される光の波の形を再現する技術で、画面から飛び出したような映像を見ることができます。一方、ライトフィールドディスプレイはあらゆる方向に進む光の線を再現する技術で、画面の中に物体が立体的に存在しているように見えます。

このような技術を応用して研究を進めているベンチャー企業が、特に海外に多く見られます。

事例19:SeeReal Technologies の技術

人間の五感を再現する注目技術20選

ホログラフィックディスプレイと、ライトフィールドディスプレイは画素数を上げにくく、信号を再現する際の演算の負荷が大きいといった共通点があります。

SeeReal Technologies というルクセンブルクの企業では、信号の演算処理の負荷を下げるために、ディスプレイを見ている人間の目の位置をトラッキングし、その目の位置に届ける信号に特化して演算する技術を研究しています。このように、観察者の目の位置のトラッキング技術と組み合わせることで、より効率的なディスプレイを作ることが近年注目を集めています。