• 配信日:2023.03.30
  • 更新日:2024.04.19

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人間の五感を再現する注目技術20選

拘束力を実現する技術

人間の五感を再現する注目技術20選

次は、圧力を与えたり拘束したりする力覚を再現する技術を紹介します。

基本的に、ワイヤーや電磁ブレーキなどを使って物理的に手の動きを拘束し、例えば仮想空間上でも壁や机などを触ったときに、指がめり込まない感覚を再現することなどに使われます。

事例6:Carnegie Mellon University の技術

人間の五感を再現する注目技術20選

最もイメージしやすいのが、 Carnegie Mellon University の技術でしょう。

ワイヤーで指が動く範囲を制限して、硬いものを触ったときにそれ以上指が奥に進まないよう制御する技術が開発されています。

事例7:Lodz University of Technology の技術

人間の五感を再現する注目技術20選

異なるアプローチで指の力覚を再現する技術として、ポーランドの Lodz University of Technology という大学では、手袋に粉体を詰め込んだチューブが付いており、そのチューブの中を減圧すると粉体が硬化し、それ以上曲がらなくなるという技術を研究しています。

事例8:SenseGlove の事例

人間の五感を再現する注目技術20選

SenseGlove というオランダの企業では、電磁ブレーキを使ってそれぞれの指の動きを制限する技術の開発を行っています。

この技術は VR と併用して、工場でのアセンブリのトレーニングや、消防・救急医療を行うときのトレーニングなどに使うことを目的としています。

反動を得ることができるデバイス

人間の五感を再現する注目技術20選

力覚に関連して、反動を得ることができるデバイスを紹介します。例えばテニスでボールをラケットで打ったときの反発力や、拳銃を撃ったときの反動などを再現する技術として研究が進み、主に VR ゲームに導入することが想定されています。

近年多いのは、プロペラやエアノズルを使った空気噴射を利用して反動を得る技術です。

事例9:Korea Advanced Institute of Science & Technology の事例

人間の五感を再現する注目技術20選

Korea Advanced Institute of Science & Technology という韓国の大学では、非常に速い応答で動くプロペラを使って空気を押し出すことで、反動を得る技術を開発しています。シューティングゲームに使う技術として研究を進めているようです。

事例10:National Taiwan Universiy の事例

人間の五感を再現する注目技術20選

National Taiwan Universiy という台湾の大学では、ノズルによるエアジェット噴射を利用することで衝撃を再現する技術を研究しています。テニスや卓球などのゲームに使うことを想定しているようです。

従来の振動によって得られる衝撃と空気噴射によって得られる衝撃を検証したところ、バドミントンやテニスであれば空気噴射の方が好ましいと答えたモニターが多かったとのことです。

事例11:グラスゴー大学の技術

人間の五感を再現する注目技術20選

イギリスのグラスゴー大学でも空気圧を使った力覚再現技術を研究しています。反動というよりは、モノを触った感覚を空気流によって再現しようとしている技術です。

ユーザーの指や手の動きを、ハンドトラッキングセンサーを使って追跡し、可動式のエアノズルを使って仮想空間上のモノに触れたように感じる空気を噴射します。

この技術が進歩すれば、将来的にグローブなどを使わなくても空気流だけでモノの触感を再現できるようになるかもしれません。

温冷感を再現できるデバイス/技術

人間の五感を再現する注目技術20選

続いては、温冷感を再現できるデバイス / 技術の紹介です。

温かい感覚を再現する技術としてはヒーターを使うなどの方法があるためそれほど再現は難しくないのですが、冷たい感覚をいかに再現するかは、工夫が必要な分野になります。代表的な技術はペルチェ素子で冷感を再現する技術です。最近のペルチェ素子を使ったデバイスのトレンドとしては、小さなペルチェ素子をフレキシブル基盤に並べ、柔軟なシート状に成型することで手袋やリストバンドなどにすることなどがあります。

他には、電気通信大学で研究されている技術で、額に電気刺激を与えて冷感を伝えるという物があります。東京大学では、超音波振動子を使って、ユーザーの手がある位置でミストを気化させることで、気化熱により冷感を再現する技術を開発しています。

事例12:TEGWAY の技術

人間の五感を再現する注目技術20選

TEGWAY という韓国の企業では、硬い熱電材料を柔軟な基盤に実装することで、フレキシブルな形に変形できる技術を研究しています。

冷感を伝えるウェアラブルデバイスのフロントランナー的な立ち位置にある企業として注目されています。

事例13:東京大学の技術

人間の五感を再現する注目技術20選

東京大学では、超音波によってミストを気化させて冷感を与える技術を研究しています。画像にあるように、例えば手の特定の位置だけ温度を下げるといったことを実現し、デバイスではなく自由空間上で再現できる点が特徴です。